平成3年のパチスロ3号機ブームにスポットを当てたドキュメンタリーの名作。
「コインの魔力777」(1992年)レビュー
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PART1
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/5a2d9ab714efa11dc08237afc311a2f3
PART2
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/6fae0bdda059a8919f20ef59e1129071
(東京・羽田。パチンコ店「ニューポート」の新装に並ぶ風景)
ナレーション「パチンコ店の新装開店に詰めかけた若者たち。午後6時の開店をひたすら待つ。」
(開店、客が一斉に店内になだれ込む)
ナレ「彼らが我先にと駆け寄るのは、決してパチンコ台ではない。今や、ホールの主役はこの「パチスロ」なのである。昭和52年頃、沖縄の米軍を経由して日本に上陸したスロットマシーンが、7年前の新風営法でパチンコと同様の遊技機として扱われるようになった。そのパチスロに、今20代の若者を中心として、一大ブームが起きているのである。」
(東京・小岩。パチスロ店「ビッグスター」の新装の風景。店の前には客の行列とチンドン屋)
ナレ「パチスロ専門店も、続々誕生している。こちらは、下町のパチスロ専門店の新装開店。ここでも、午後6時の開店を今か今かと待つ若者たちがいる。」
(新装待ちの若い男二人にインタビュー。右の男はかなりチャラチャラしている。)
取材班「これ、整理券何時くらいから並んでるんですか。」
左の男「3時。」
取材班「3時。どのくらい稼ぐつもりでしょう。」
右の男「元取れればいい。今まで負けた分の。」
取材班「元取ればいい。今まで負けた分の。どんくらい負けてるの?」
右の男「ベンツ一台分。」
左の男「ハッハッハッ(笑)」
(開店。若者客たちが次々と入店。店員「はい、ゆっくり、押さないで下さいね。」)
ナレ「パチスロの魅力は、ギャンブル性の高さにもある。パチスロでは、一日に10万円以上勝つ人も、珍しくないのである。但し、当然負けも大きい。」
(開店前、思い思いの台に着く客達。店内のアナウンスが期待感を煽る。アメリカーナマグナムに座り、千円分のコインを買う客。「勝てますように」と、コンチの盤面を千円札で撫でる女性。カウンターにいる店長が、コンポのスイッチを入れる。店内に「TRUTH」の音楽が鳴り響き、午後6時の開店を迎える。)
店長のマイクパフォーマンス「はい、いらっしゃいませ(×5)。ありがとうございます。さあ、本日はパチスロパーラー・ビッグスター、さあパチスロ・ビッグスターへと、多数様ご来店…(後は聞き取れず。)さあ、自慢のコンチネンタルIコーナーからは、56番台、60番台、63番台、66番台、さあ68番台、70番台、さあ続きまして73番台と、どちらも7・7・7と揃いましてのビッグボーナスゲームスタート、おめでとうございます!」とイブニングが入っている台を連呼。自分の台にイブニングが入ってない客は、「入ってないよ~」と落胆。
取材班(連チャン中の客に)「凄い調子いいね。これでいくら位?」
客「(ドル箱2箱を積んで)これで、二万五千円くらい。」
取材班「二万五千円。」
ナレ「一枚当たり20円で買ったコインは、換金すると一枚が12円から15円というのが相場である。」
取材班(出てきた客に)「今日は、いくらくらい勝ちましたか。」
客「三万八千円です。」
取材班「三万八千円。えー、元手はどのくらいだったの。」
客「えーと、四千円です。」
取材班(別のカップルに)「どうでしたか、結果は?」
男「ハマ○×※〒☆※ました」(噛みまくり)
取材班「え?」
男「ハマらせて頂きました。帰って、飲み行って、もうガンガン騒いで(連れの女、笑っている)ふざけんなって感じで。飲み行く金もねえって感じかな。」
(パチスロを打つ女性の手が映る。音はバニーガール。ビッグが揃ってファンファーレ。)
メガネ女「やったぁ~!」と立ち上がり、どこかへ走り去る。777の揃った台を残して…。
(バニーのBGM「草競馬」に合わせて「コインの魔力777」のタイトルバック。)
(新宿・高層ビルの遠景。)
「朝。開店前のパチスロ店に、モーニング狙いの客が続々とやってくる。モーニングとは、ビッグボーナスがすぐ出るように、ホールが仕込んでおく客寄せの為のサービスである」
(「ミラノ2」、「キングス」など、池袋東口界隈の店が映る。)
(次いで、神楽坂「スロットルおおとり」、朝一開店前の風景。店内でダルそうに煙草を吹かす店員。店の前には革ジャンの若者や、サラリーマン風の男、主婦など、15人ほどが開店待ち。軍艦マーチとともに開店。ガヤガヤと店内のコンチネンタルに群がる客達。)
ナレ「いきなり、ビッグボーナスを出した客がいた。」(←仕込み臭いw)
(コンチネンタルの角3台。モーニングで、淡々とビッグを消化する若者。)
ナレ「Uさん(本名で紹介されているが、伏せる)。彼は、一回のボーナスゲームで早々と引き上げた。」
(コインを持ってカウンターへ。しばらくして、路地裏の換金所から出てくるUさん。)
取材班「いくらになりました?」
U「6000円ですね。1000円使ったから、5000円の勝ちです。」
取材班「5000円の勝ち。いつも、朝は大体これくらいで止めるんですか?」
U「連チャンする時は、もっと取れますよね。あそこのコンチネンタルは連チャンしないんですよ、あんまり。」
取材班「あんまり(連チャン)しない?」
U「はい。」
ナレ「あっという間に5000円を稼いで、仕事場へ向かう。」
(一軒のビルに入るUさん。とある事務所が彼の仕事場。)
ナレ「彼の勤務先は、パチンコ、パチスロの専門誌を作っている編集プロダクションである。」(パチンコ攻略マガジン1992年2月号の表紙が映るので、「プラ〇トピア」社である事が判る。)
ナレ「パチスロ関係の雑誌は、現在20種以上。それぞれ、10万から30万部が売れている。」
取材班(同僚に)「ここで一番勝っているのは誰ですか?編集部で。」
同僚「ここで、ですか?(辺りを見回して)Uさんじゃないですか。」
U「そんなことはないですよ。」
取材班「そんなことはない?」
U「ええ。」
同僚「生まれながらの強運の持ち主。一番の。」
U「違うよ…。勝っているように振る舞うのがうまいんでしょ。じゃあ。皆さんそう仰るなら。」
ナレ「これだけのブームを作っているパチスロ。基本的な遊び方を紹介しよう。1ゲームにつき、通常3枚のコインを投入する事により、スロットの上中下段と対角線、5つの有効ラインができる。このライン上に指定の絵柄が揃えば、コインの払い戻しがある。特に、777が揃ったスリーセブンは、一般にビッグボーナスと呼ばれる。これだけで、コイン約350枚、金額にしておよそ5000円が約束される。勝負は、ビッグボーナスをいかに多く出すかにかかっている。」(説明に使われている台はリバティベルIV。)
ナレ(中段に77ピエロと並んでいる)「これは、レギュラーボーナス。通称オバケと呼ばれ、90枚のコインが出る。
2枚から最高15枚までの払い戻しがあるのが小役。
ボーナスゲームには、必ずその前触れとなる目がある。それは、リーチ目と呼ばれている。パチスロ雑誌は、様々な機種のリーチ目を競って掲載する。ビッグボーナスの目安となる、リーチ目。覚えていて損はない。
そして、勝つ為の基本テクニック、目押し。パチスロのドラムには、21枚の絵柄があり、これが約0.75秒で一回転する。目押しとは、この回転するドラムの絵柄を見分け、狙った絵柄で止めるテクニックである。」
(攻略ビデオ…「パチスロ必勝法」を紹介)
「(タイトル:「目押し。STEP1…切れ目を見る」)ナレ「切れ目とは、各ドラムの絵柄の張り合わせ部分、つなぎ目の事である。回転するドラムを見てみよう。一瞬、左右に広がって見える部分、それが切れ目である。ビデオのポーズボタンを使って、止める練習をしてみよう。」(センチュリー21で説明)
ナレ「コンピュータに制御された現在のパチスロでは、目押しが出来るからと言って、いつでも7を揃えられる訳ではない。しかし、いざという時、必ずこの目押しが必要になる。」
(再びU氏に密着。P社の解析ルーム。)
U「ここが、仕事の部屋です。で、パチスロの機械とコンピューターを繋いで、それでまぁ、解析の仕事をするんですけども。(アラジン2のビッグボーナスを消化する。)」
ナレ「Uさんの仕事は、パチスロの目の出方をコントロールしている、コンピューターの解析である。パチスロもまた、一種のコンピューターゲームなのである。」
取材班「パチスロで、なんかあのー、貯金が増えたってことあります?」
U「まあ、あんま色々言いたくないんですけど、数百万くらい…。まあ、その貯金のベースが出来たのが2か月くらいですか。」
取材班「2か月で数百万。ご自分で、パチスロというのは、あのー、どの程度のレベルだと思いますか?」
U「うーん。ある程度まで達しちゃうとレベルもクソもないですね。まぁ、目押しが出来て、もう何も信じないっていうか。他のこう、波とか色々言う人いますよね。好不調がどうのこうのとか、突っ込んだからどうのとか。まぁ、今の台にはそれが通用するものもありますけど、完全確率じゃ何があってもおかしくないと。」
(羽田「ニューポート」の閉店後の店内。店員が設定を変更している。)
ナレ「パチスロにも、パチンコと同じように出る台、出ない台がある。それを決定するのが、設定値である。設定値には1~6まであり、数字が大きいほど、ビッグボーナスの出る確率が高くなる。」(アラジン2の設定値を5に変更する店員。多分撮影用。)
(神楽坂「スロットルおおとり」の朝の風景。左隣は「神楽坂21」)
ナレ「勿論、設定値を外部から知ることはできない。我々は、ある台の一日を追ってみた。午前10時3分、一人の男性がこの台の前に座った。そして、一ゲーム目でビッグボーナス成立。モーニングが入っていた。11時10分、コインがどんどん飲み込まれていく。11時42分には、ついにコインが無くなってしまった。12時20分、ここまでに2万7000円をつぎ込んだ。(中段にチェリー付の7がいきなり揃う。裏確定。)やっと来た。ビッグボーナス。続けてビッグボーナス2連チャン、3連チャン、4連チャン。たった20分で負けを取り戻した。連チャンこそ、パチスロの醍醐味である。(PM3:16)しかし、またしても飲み込まれてしまった。(PM4:48)その後、何度かビッグボーナスがかかるが…(PM7:30)すぐにまた飲み込まれるという繰り返し。投入金額は増えるばかりであった。(PM10:20)そして夜10時20分(すっかりヤラれたオヤジが席を立つ)。ゲーム時間12時間20分、休憩食事なしの格闘の結果は、5万7千円の負けであった。実は、この台の設定値は1。もっとも出る確率の低い台だったのである。29回のビッグボーナス、4連チャン2回。しかし、それを上回る勢いでコインは飲み込まれていった。やはり、コンピューターの支配には勝てないのであろうか。」
(パチスロメーカー「オリンピア」の建物が映る。)
ナレ「都内のあるパチスロメーカー開発部。メーカーでは、新機種の開発の為、常にさまざまな分析、実験が行われている。(怪しげな機械が並んでいる部屋)ここでは、128台のパチスロ機の基板を取り出し、同じ設定値でシミュレーションを行っている。設定値は、勝ち負けにどこまで影響するのだろうか。」
開発部員(データの表示されるモニターを指差しながら)「投入枚数、そして払い出し枚数、で、大当り、それからオバケですね。で、還元率。まだ、枚数は行ってないんで何ともいえないんですけど、設定の5辺りでも、その、百パーを割る機械ってのもありますね。(データの書かれた紙を見せ)こちらが、その全台のデータですね。全部(設定)3でも、めいめい一日営業分を打ってみますと、結構バラついていますよね。まぁ、同じ設定でも、勝つ人と負ける人っていうのが必ずいる。」
(写真週刊誌「FLASH(フラッシュ)」の表紙が映る。ユニバーサル世界全滅打法の記事。見出しには「一日20万稼ぐ猛者も!プロVS業界の戦争~対策と新攻略のいたちごっこ…禁断の秘技「セット打法」の出現でホールは戦場に」とある。)
ナレ「だが、パチスロには100%勝てる裏技があった。ある変則的な手順でプレイすることにより、強制的にビッグボーナスを呼び込む「セット打法」である。パチスロ機のコンピューター制御の欠陥を衝いたこのセット打法は、昨年パチスロ界に一大センセーションを巻き起こし、一般のファンからプロまで荒稼ぎする人間が続出した。」
(再びU氏登場。センチュリー21の電源を入れる。)
ナレ「代表的なセット打法の一つを、Uさんに実演して貰った。」
U「とりあえず、コインを一枚入れます。で、精算ボタンを押しながらレバーを叩きます。と、ランプが点灯したら手を放して、それで7を狙う。(上段に7がテンパイする)で、二つテンパイしたところで、2枚追加投入します。普通は受け付けないんですけど、何故かこういうやり方をやると受け付けてしまうんです。(有効ラインが増える。右にも7を狙うとビッグがスタート)」
取材班「どの位、稼がれました?」
U「ほんのちょっとしか出来なかったんで、10数万円位ですかね。ほとんど、もう、二日目、三日目はホールにマークされてっていうか。対策(漏れ?)の台を見つけた時はもうホールが知っていたらしくて、ホールに囲まれちゃいまして、店員に。」
取材班「囲まれて、なんて言われたんですか?」
U「いや、何にも言わないですよ。実際、店員のいる前でやんないですからね。他の客の対応に行った隙にやったり、大変でした、いろいろ。」
ナレ「セット打法は、決して違法行為ではないが、多大な不利益を被るホール側は、変則打法を封じる防御策を講じてしまう。一つのセット打法が通用する期間は、非常に短い。」
(渋谷センター街。老舗パチンコ店「白鳥」の前に並ぶ客達。一人の若者を追う。)
ナレ「しかし、実行さえできれば、誰でも百%勝つことができる。Yさん(22)。フリーター。彼もまた、セット打法で荒稼ぎをした一人である。半年で300万円。セット打法さえあれば、働く必要などなかった。しかし、今では、彼のセット打法は全てホール側に封じられ、今日も勝てない。(夜、自宅に戻るYさん。部屋にコンチがある。)彼の部屋には、一台のパチスロ機があった。しかし、これで新しい攻略法を研究しよう、というのではないようだ。」
Y「僕のやっていた台も、もうじきなくなるだろうと思ったから、したら、その辺で見切り付けようかなって、一応思っていたんですけど。」
取材班「稼げるだけ稼ごうと?」
Y「まぁ、稼げる分には多く稼いだ方が…。」
取材班「稼いだ時っていうのは?」
Y「いやぁ、それは、どん位かな…まぁ、5、60(万)位とか、その位行った時もあるし。」
取材班「今でも、そんだけの金は…」
Y「いや、もう全然ないですね、今は。」
取材班「これから、パチスロまだ続けていこうと思う?」
Y「いや、分かんないですね。もう、とりあえず、いや別に、これといって稼げる自信はないし…。あんまり行ってないし。やる気っていうのはないですね。ハッキリ言って、今は。特にないです…。」
ナレ「彼は、セット打法とともに情熱も失ってしまった。」
ナレ「しかし、一方で、限りないバイタリティと情報ネットワークを武器に、勝利を呼び込み続ける人たちもいる。」
(板橋区「スロット成増会館」の店内。2号機「バニーガール」で7を揃えるアラレちゃんメガネのふくよかな女性、笑顔でカメラにピースサイン。)
Mさん(27)。彼女は、40数人からなるパチスロマニアグループのリーダーである。(Mさん、隣に座る仲間の女性の7を目押し。カメラに向かって「目押し」とやっている。店内のいたるところに仲間がいるらしい。)彼女たちのテリトリーは、新宿、練馬、池袋。今、どの店が出ているのか、仲間同士でこまめに情報を交換する。(仲間にちょっかいを出すMさん。店員とも親しげに会話。と、別の男仲間が呼びに来る。代打ちさせた自分の台にビッグが入ったようだ。7を狙うMさん「7がない」といいながら、ビッグを揃える。下皿のコインを掴んで、足元の大箱にジャラジャラ投げ込んでいる。閉店時、大箱2つを抱えて「重たーい」と嬉しい悲鳴を上げるMさん。)」
ナレ「どうやら、今日も大勝利のようである。(「10万だよ。10万」という仲間の声。大量の特殊景品を手に、店の前で仲間と話すMさん)」
取材班「楽しそうにパチスロやってるんですけど。」
M「やっぱ、楽しまなきゃねぇ。フフフ。」
取材班「楽しい?どんな所が楽しいですか。」
M「いや、やっぱ7が揃った瞬間とか」仲間1「まあね。」
取材班「グループの中に負けてらっしゃる方います?トータルで見て。」
M「え、いないんじゃないかな?」
仲間2「とりあえず、出てた台を打つのが鉄則。ハマってる台にいくら突っ込んでも出ないから。」
仲間3「その日一日出たら、次の日には設定下げちゃう店だったらダメだけど、2,3日そのままだったら、出た台を次の日に朝から打つとか。」
取材班「絶対負けない方法っていうのは、あると思います?」
M「ないよね。」仲間2「打たない事(笑)、やらない事。」M「そうだよね(笑)」
(電話の呼び出し音。繋がった瞬間「ロッキー」のテーマが流れる。ダイヤルQ2に掛かった模様)
Q2の声(男)「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、有難うございます、いらっしゃいませ。本日は、当・パチンコ倶楽部東京に、ご入場、ご来店頂きまして、誠に有難うございます。」
ナレ「パチスロブームは、ダイヤルQ2にも、攻略情報番組を続々登場させた。」
別のQ2の声「さてさて、今回は、パチスロファンならだれでも知ってる、ユニバーサルの2号機、センチュリー21、リバティベルIVの、おー、対策機にも通用する、超過激ビッグボーナスセット攻略法を紹介しよう。えー、聞き逃しの無いよう、耳をかっぽじって、よーく聞いてくれ。」
(攻略会社「キャッツタイムス社」の入口の扉が映る。)
ナレ「パチスロの情報には、一般のファンが知る事の出来ない情報もある。パチスロ攻略情報会社、キャッツタイムス。この会社が情報を提供するのは、5000人の会員にのみ。その全てがプロである。(リバティベルIIIの攻略法らしき文面をパソコンで打ち出している。)」
キャッツ社・T田氏「(攻略内容の書かれた書類を見せて)こういう形で、まぁ、会員の方に、手紙で…」
ナレ「一つの攻略法が、10万から40万円という高額で、希望する会員に販売される。しかも、会員たちもまた、この情報を売る。攻略法がネズミ算式に全国へ広がり、一般のファンの知るところとなるまで、僅か5日。この間、巨額のカネが動くことは、言うまでもない。」
(コンチの中段「バーバー7」揃いの画面に切り替わる)
ナレ「昨年、まさに、そのようにして日本中に広まった攻略法が、コンチネンタルの4枚掛けセットである。」
T田「えー、この機種ですね、えー、単純にコインをまず3枚こうして入れます。で、スタートレバーを叩いた後に、コインを一枚新たに投入するんですけども、スタートレバーを叩いた後に、このドラムのストップランプがつきますので、つく前ぐらいの時に入れてやるような形ですね。それで、えー、コインが台に飲み込まれれば、えー、成功です。(実演する。)このタイミングですね。(と、コインを追加投入。目押しすると、赤7が右下がりに揃う。)」
ナレ「しかし、この打法も既に使えなくなってしまった。」
T田「えー、今、(攻略を)やる人間が非常に多いですし、あっという間に広まるっていうのが、現状なんですね。ちょっと前までであれば、それが一か月、二か月持つってのは、当たり前だったんですよ。その辺の実戦期間が、やはり現在では短くなってきてますね。」
(畑の見える住宅地。一台の車がやって来る。)
ナレ「攻略法を見つける側と封じる側。いたちごっこは、激化する一方である。プロにとっては受難の時代ともいえる。」
(車から出てきたのは、一人の若い男。自宅アパートへと帰ってきた所だ)
ナレ「彼は、そんな冬の時代に、妻と子供をパチスロだけで養う、若きプロである。」
プロ「ただいま。」妻「お帰り。パパ帰って来たよ。」プロ「(赤ん坊に)ただいま~。」妻「(赤ん坊に)お帰りって。雨、止んでた?」プロ「うん、止んでた。」
(TV、オーディオ製品などがズラリと並ぶ、綺麗な室内。プロと、子供を抱いた妻がくつろぐ。)
取材班「大体でいいですけど、今年の、その、パチスロによる年収というのは、どの位になります?」
プロ「えー、まだ計算してないんですけど、うーん、恐らく800(万)以上は行ってると思います。」
(収支手帳を見せるプロ)
プロ「まあ、汚い字でね、走り書きみたいに書いてあるんですけど…。これ、鹿児島に行った時なんですけど、まぁ、47万位、一週間で勝ってですね。これは、7月ね…78万位。リノっていう機種ですけどね。これは、セットの攻略があったんで、そん時に…。これ、9月ですね。」
取材班「あー、99万7千円…。一週間で。」
プロ「はい、はい。43万勝って、45万勝って、9万勝って。これは、あのー、リバティIIIとセンチュリーって機種なんですけど。まぁ、こういう美味しいのは、すぐ終わっちゃうんだよね。数日で終わっちゃいますんで。」
(リノを置くホールの場面。場所は不明。リノの青パネルがずらっと並ぶ。)
ナレ「彼の仕事を取材した。プロが今日狙いを付けた機種は、リノ。彼の使う攻略法は、通じる台と通じない台がある。まず、それを判定しなくてはならない。(丁寧に毎プレイ上段に7をテンパイさせるプロ。)」
ナレ「プロは、どうやって台の判定をしているのだろうか。どうやら、この台は違うようである。実際には、最初の1ゲームで判定は終わっている。しかし、それで移動したのでは、店員の注意を引いてしまう。必ず、2,3ゲーム打ってから台を替える。(相変わらず7の目押しを続けるプロ。レバーオン時、清算ボタンを押しているのが見える。)」
ナレ「この台も、攻略法の通じる台ではないようだ。(次の台に移るプロ。丹念に7の目押しを続ける。)それにしても、実に正確な目押しである。しかし、この台も違った。(プロ、煙草をふかしながら席を移動。)」
ナレ「6台目、とうとう見つけた。右手に注目してほしい。コイン投入後、清算ボタンを親指で押している。その状態でスタートレバーを叩くのである。では、もう一度。今度は、右上のクレジット表示に注目。…数字が消えた。三つ目のストップボタンを押した時、クレジット表示が一瞬消えれば、それが攻略可能な台なのである。しかし、これはあくまで、攻略が可能かどうかの判定法に過ぎない。プロは、我々にここまで見せて、ホールを後にした。攻略法は、明らかにして貰えなかった。」
(店外へ出て、インタビューを受けるプロ。外は雪が降っている。)
取材班「動作でね、プロっていう風に見破られないようにしたりしますか?」
プロ「ええ、例えば、あのー、都内なんかでも、あのー、オフィス街なんか行くときは、スーツ着て行きますし、却って地方なんか行くと、まぁ、その地方の僕ぐらいの年代の人が着てる服を選んで着たりとか。後は、まぁ、押し方とかですね。あの、狙ってるって思われると、すぐバレますんで、コインを両手で入れたり、こぼしてみたりとか。で、押すときも、こうね、真剣にこうバンバンッてやるんじゃなくて、指先で軽く押すとか、まぁ、そういう所は、神経使ってますけど。」
(再び自宅のプロ。赤ん坊を抱え、鏡に映してアヤしている。「首が座ったなぁ」などつぶやくプロ。妻にもインタビュー。)
取材班「友達とか、なんか言います?」
妻「うん…、やっぱ、じっくり話さないと…。何ていうのかな、あ、いいね、凄いねって、そんな負ける日なんてないんでしょって、そういう捉え方で向こうが、こう、話してくるから。そうするとやっぱり、なんか、あのー、ただ羨ましがられるだけで終わっちゃうんだけど。だから、あんまり話すの嫌なんですよね、うん。」
取材班「辛い事もある、みたいなこと…」
妻「うーん。ていうか、なんか、なんていうのかな。甘く、そういう、なんかプロのそういうアレを甘く見られちゃうっていうか。うーん、なんか。」
取材班「(プロに)今だいたい、月に平均どの位稼いでますか?」
プロ「え、まぁ、まちまちなんですけどね、今現在でいうと一番苦しいんですけど、まぁ、50万ぐらいじゃないですかね。メーカーさんの方もね、だんだんプロとアマの差をなくそうとしてますんで、まぁ、勝ちにくくなってるっていうのがありますんでね。で、まぁ、プロの数が凄い増えちゃってますんで、一つ美味しい、まぁ情報が入っても、こう、一週間位しか持たなかったりしますんで。うん、細く長く持つ攻略ってのは、もうないんでね。かなり、これからプロの人は苦しいと思いますね。」
取材班「どんなことを守れば、あなたの情報を私に教えて頂けますか?」
プロ「うーん。フフフッ。まぁ、プロの数がかなり多いんでね。で、僕の中でプロって思ってんのは、あの、パチンコだけで生活を立ててる人で、技術的にうまいとか下手とかなくしてですね、その、パチンコだけで生活立ててる人を、僕自身プロって呼んでますんで。まぁ、あの、大学生であったりとか、バイトをしてその片手間にっていう人は、自分の中では、あの、プロって思ってないんですね。で、そういう人には、まず教えないですね。」
(ソファで新聞を読むプロ。妻は子供をあやしている。ここにも一つの家庭があった。)
(ところ変わって、ユニバーサルの本社ビルが映る。)
ナレ「昨年11月、ある事件が起きた。業界最大手のパチスロメーカー、ユニバーサル社系のマシンが、検定取り消し処分を受けたのである。検定後に違法な改造が加えられ、ギャンブル性が異常に高められていた、というのが処分の理由であった。通常では考えられない程のビッグボーナスの集中が、メーカーによってプログラミングされていたのである。しかし、検定取消処分を受けたコンチネンタルは、人気機種として、今も市場に出回っている。」
(警察庁が映る)
保安部保安課・H警視「えーと、今ある機械はですね、恐らく検定時の状態に全て治っていると。したがって、まあ、著しく射幸心をそそる性能のものではないと。それは全て確認しております、ええ。」
(WSCビルが映る。保通協が入っている建物。)
ナレ「保安電子通信技術協会、通称・保通協は、風営法に基づいてパチスロ機の試験を行っている。ここでは、一つの機種について、17500回の打ち込みを行い、ビッグボーナスの異常な集中がないか調べている。要するに、出過ぎる台はダメだという事である。」
(再び警察庁)
取材班「なぜ、それ(出過ぎる台)が規制されるんでしょうかね?」
H警視「ああ…。いわゆる、えー、賭博を誘発したり、それから助長したりといった事で、ひいては、あー、いわゆる、善良な風俗に悪い影響を与えるといったようなことで、えー、そういった事を防止するためにですね、えー、必要な規制を加えていると。」
取材班「賭博であるか、賭博でないかという線は、どこら辺で決まるんですか?」
H「え?それ、これカメラ入ってる、今?(笑)ちょっと、それはカットしてくれませんかね。」
ナレ「コンチネンタル以降、検定取消になった機種はない。しかし、通称連チャン機と呼ばれる射幸性の高いパチスロ機は、数多く存在する。今や、連チャン機であることは、人気機種の条件にもなっているのだ。」
(キャッツタイム社。顔の上半分だけ映ったT田氏がインタビューに答える。赤と黒の派手な縞々シャツを着ている。)
T田「連チャンするって事態が、今の確率方式の中で起こるのは、まぁ、偶然の確率論で連チャンであれば、分かるんですけども。明らかに、実際、確率方式なのに10連チャン、15連チャンという感じで連チャンしていますので、絶対に何かあるなという事で。」
(続いて、顔にモザイクのかかった男性がインタビューに答える。字幕では、あるパチスロ機メーカーの営業マン、と紹介されている。)
営業マン「あれは、改造屋っていうのが、ホールへ売り込みに行くんですよね。まぁ、あの、営業が良くなると、連チャンをするだとか何だとか、言葉巧みに、ですね。その…ホール間の競争っていうんですか、要するに、沢山、あー、客を引きたい。そういう所からの、もう要望が、一番の根源だとは思いますけど。」
ナレ「これが、パチスロの頭脳、ROMである。このROMを改造する事によって、パチスロ機の性格を簡単に変えることが出来るのである。」
(とあるマンションの一室。玄関には段ボールが無造作に積まれ、室内にはパチスロ機などがあちらこちらに置かれている。パソコンなどの大掛かりな機械もある。)
ナレ「我々は、実際にROMの改造を請け負っている裏ROM師に接触した。」
(部屋の奥には、PCのモニターを睨む一人の中年男性。スポーツ刈りのこの男は、裏ROM師の下田一仁氏(43))である。
下田(一台のパチスロ機=ビッグベンハーの前で)「ほして、最初にやるんが、このCPUいうのを外すんですね、ハンダから。外したこの機械を付けるんですよ。これ使って○○じゃ困る(聞き取り不可)。」
ナレ「彼は、ホールからの依頼で、改造されたコンピューター基板、いわゆる裏ROMを作っている。」
下田「ほとんどの場合、連チャンですね。いや、いかに良く玉を出そうかゆう事ですよ。パチンコでいえば玉、スロットでいえばコインよね。」
(CPUを取り外した後、ROMライターにかけてモニターを見る下田氏。ズラッと数列が出てくる。「これがプログラムですね。中身はこうなっとるという…。」)
下田「6時から、例えば8時の開店でね、あの、お客さんどうしてもコインを出してあげたいが、何とかその時間だけ出るように、あのデモの機械を作ってくれんか、とか言えば、あ、いいですよって、作ってあげるっていう…。」
ナレ「彼への注文は、後を絶たない。」
(客と思われる相手と電話をする下田氏)
「うーん、そこらの面が、ワシが立場が悪うなるのう、そりゃ。まぁ、○×※?▽☆(聞き取り不可)ヒッヒッヒッハッハッハと大笑い。あー、その方はまぁ判らんにしても、ワシの立場でね、やっぱり、あのー、気まずうなるじゃ。」(何を話しているか気になる…)
取材班「ご自分では、罪悪感みたいなものは…」
下田「それはないですね。罪悪感いうたら、国がやっとる事の方が、よほど罪悪ですよ。プリペイドカードなんかも、そうじゃしね。回り回って、ファンの人に、みんなそのツケを持ってこいゆう事を言うとる訳ですから。国がそんなことをやって、あの、ましてや、個人が、要するにファンの人がプラスになるであろうゆう事の手助けしとるに過ぎん訳ですから。それが、あの、罪悪いうのは、私は合点がいかん。あの、出す、要するに、いかにしてお客さんに、より以上出すかゆうだけですからね。だから、出すのはいいじゃないですか(笑)。」
(続いて、池袋駅前。東口「キングス」の看板が映る。)
ナレ「もちろん、当りが大きければ、損も大きい。それでも人は、パチスロの魅力に次々と吸い寄せられていくのである。」
(とあるパチスロ店の入り口前。池袋西口の「コスモ」と思われる。開店前、入店を待つ常連風の男たち。)
ナレ「東京・池袋。パチスロ店の前で開店を待っている彼らは、いずれも外国人である。」
(開店、ドアが開く。BGMの「TRUTH」が店内に響く。男たちは入店後、狙い台を悠然と確保する。店内には初代アラジンが数シマ。)
ナレ「開店と同時に、それぞれ迷わず目的の台へと向かう。」
(コインを買い、慣れた手つきでアラジンを打ち始める、青ジャンパーの男。BGMが軍艦マーチに変わっている。その後、間もなくアラチャンを引く。)
ナレ「彼は、常連の韓国人。」
(順調にドル箱にコインを入れる男にインタビュー。)
取材班「なんで、この台を選んだんですか?」
韓国男「(韓国なまりで)昨日、ずっと他の台をやって、まぁ、この台ずっと見てたんですよ。」
取材班「見てた?」
韓「(得意げに)そうです。」
取材班「じゃあ、この台をやるって、もう今日決めてたんですか。」
韓「そうです。」
取材班「普段は、何をやってらっしゃるんですか。」
韓「普段はですね…、仕事は、まあ、やってないです。」
取材班「生活できますか?」
韓「できます。大丈夫です。」
取材班「パチスロ、面白いですか?」
韓「面白かったから、今やってます(笑)。」
(男の台に、中段単チェリーが出現。)
ナレ「リーチ目が出た。ボーナスゲームも近い。」(※これは表現がおかしい。)
(淡々と打ち続ける韓国人。煙草をふかし、かなりウザい打ち方。しかし、コインは順調に増えている。)
ナレ「特に中国人の多いこの店では、禁止事項も中国語で書かれている。」
(続いて、池袋西口の通りや、北口の階段などが映る。)
ナレ「一方、パチスロの裏の世界に足を踏み入れてしまった外国人もいる。ゴトといわれるイカサマの技術を使って稼ぐ人たちである。」
(池袋西口のパチ屋「フジ」の上の喫茶店が映る。和光証券の看板もある。店の中には取材班とモザイクのかかった男。)
「我々は、一人の中国人ゴト師を取材する事が出来た。」
(男は、西口の路地を歩いてパチスロ店に向かい、「かめ」に入る。向いにもパチ屋がある。西口「キング」と思われる。)
ナレ「ゴト師たちは、ホールのリサーチを怠らない。店内では、店のレイアウト、店員の人数、カメラの位置、細かい所までしっかりとチェックする。」
(「かめ」の店内を歩き回った後、一台のコンチに腰を下ろす男。シマの端では、不審に思った年配店員がマークしている。男は、「オレンジ・7・オレンジ」のノーフラグ目から7を狙ったりしている。)
ナレ「セット打法の登場以来、ホール側の監視の目はかなり厳しくなっている。ゴト師にとっても、決して楽な状況ではない。」
(台を打ち終え、店外へ出る男。換金所に向かう所を見ると、幾ばくかのコインを出した模様。換金所の横には「ビデオ」の看板…裏ビデオ屋だろうか。)
ナレ「我々は、ゴトの手口を見せて貰う事になった。」
(狭いアパートの一室に案内される取材班。中には、仲間と思われる男もいる。そこに置いてあったのは、リバティベルIVであった。この台でゴトを実演するようだ。コイン投入口に何やら仕掛けを施した後、返却レバーを連打すると、クレジット表示がグングン上がっていく。取材班に、大きなセルロイドのシートを広げて見せる男。)
ナレ「ゴトの道具は、ペラペラのセルロイドである。」
(「民主中國」と書かれた雑誌を下敷きにして、セルのシートにサインペンでラインを引いていく。そのラインに沿って、ハサミでセルを切り取っていく。どうやら、ゴトの道具を作っているようだ。カーブに合わせて切り取ったセルの先端に、アルミ箔のような薄い金属板を接着する。)
ナレ「たったこれだけで、道具は完成した。」
(作ったセルの道具を、Gジャンの袖の中に隠し入れる。そして、セルをコイン投入口に挿し込む)
ナレ「セル板をコイン投入口に挿し込み、返却ボタンを押すと、クレジットがどんどん上がっていく。」
(クレジットは30、40、と上がり上限の50を超えて「52」の表示が一瞬出る。その直後、清算ボタンを押すとクレジットされたコインが全て下皿に吐き出される。)
ナレ「ゲームをする必要はない。ただ、マシンの中のコインを抜くだけである。」
(リバIVのコインセレクターを取り外す男。セルの先端がセレクターに触れると、コイン抜き放題になるようだ。男は「この場所がね…この穴、穴二つに当ったらね…」と言っているように聞こえる。)
取材班「いくらですか、それで?」
男「5000円」
仲間の男(中国訛りがない)「5000円を、今の五分も経たないで…。これは、実用的じゃないですからね。あまり使えない。あぶないでしょ。他にいい方法がある。」
(今度は、コインを一枚投入すると、2枚、3枚とクレジットが余計に上がる方法を披露。「50万」という言葉が聞こえるが、ひと月に稼ぐ額だろうか。)
ナレ「ゴトは、明らかな犯罪である。パチスロを取り巻く様々な人々。彼らを駆り立てる情報は、今日も動いている。」
(再び、キャッツタイムス社)
「我々の取材中に、攻略情報会社、キャッツタイムスが、新しいセット打法を開発した。現在でも、まだ有効な台はある筈だという。新打法は、センチュリー21の49枚掛けセットである。」
キャッツのスタッフ「えーと、まずメダルを49枚投入して貰います。最初に3枚入りますんで、52枚ですね。52枚まず投入したら、一回目は普通に流して下さい。流しましたら、クレジットを49にして、有効ラインの方は2にして頂きます。そうしましたら、今度は手に2枚持ちまして、今度また同じことを繰り返すんですけども、その際に、レバーと清算ボタンと2枚投入を同時にやる訳ですね。」
(同時操作を実演するスタッフ。タイミング的には、レバーと清算ボタンを同時に押し、その直後に2枚を流し込む感じか。すると、ジャラジャラとクレジットのコインが下に落ちてくるが、リールは回転している。))
スタッフ「このように、えー、溜まっていた49枚、プールされていたコインがすべて戻ってきて、ドラムが回転して、なおかつ1の有効ラインが残ったならば、成功です。」
ナレ「後は、インサートランプの点灯を確認後、左と中央のドラムを目押しでテンパイさせ、コインを2枚投入後、7を揃えるだけである。パチスロ攻略法を巡る熱狂は、どうやら、まだまだ醒めそうにない。」
(変わって、オリンピアの本社入り口前。ドアには正月の飾りや謹賀新年のポスター。)
ナレ「激しい開発競争を繰り広げるメーカーからは、今年もまた、続々と新型機が発表される。」
(一台のパチスロ機=新台「バニーXO」を打つ若手社員。台には「只今テスト中。さわるな!」の紙が貼られている。)
ナレ「ここでも、一台のマシンが出番を待っている。」
取材班「打ち続けるんですか?」
オリンピア社員「打ち続けるんですよ、一日中。はい、もうキツイですよ。だからみんな目が腫れちゃって、はい(笑)。」
取材班「(社員の指を見て)固くなってますよね。」
社員「あー、結構なってるかもしれませんね。」
取材班「職業病ですか?」
社員「いや、そこまではいかないですけど、はい(笑)。」
取材班「あのー、パチスロ、好きですか?」
社員「(真顔で)いや、やっぱり好きですよ、はい。」
取材班「パチスロの魅力ってなんですか?」
社員「やっぱり、この、何ていうんですか、7が揃った時の爽快感っていうんですか、はい。」
(バニーXOのビッグボーナス。ウィリアムテル序曲のBGMが鳴り響く。)
(冒頭登場した羽田のパチ屋「ニューポート」が映る。)
ナレ「ホールに足を運ぶファンのうち、勝っている人は僅か1割と言われている。しかし、それでも、パチスロファンはやって来る。」
(店内にいた一人の年配女性にインタビュー。化粧が濃い。)
取材班「毎日来られているんですか?」
女性「(うなずいて)毎日。」
取材班「毎日勝っています?」
女性「(首を横に振って)今日も、今日も15000円位やって、これくらいだよ。やっとこれだけ。(女性の手にはドル箱半分ほどのコイン。900枚程か。7枚交換でトントン程度。)」
取材班「明日も来ますか、ここ?」
女性「(笑顔で)来るよ。毎日来る。あの、用事がない限りは。やっぱりさ、こういうバカがいるから、パチンコ屋さん儲かるのよ(笑)。」
(閉店後の「ニューポート」店内では、大量の1000円札をサンドから回収する店員。事務所の紙幣カウンターでは、大量の万券がパラパラとカウントされる。「600」の表示があるので600万。しかも、傍らに別の紙幣の束もある。今日も店は大儲けしたようだ。)
(若い客たちがアラジン2を打つ様子、スーバニのビッグのBGMも聞こえる。頭上に光るパトランプ。そして、エンドロールが流れて番組は終了。)
夜中から整理券貰いに並んだりしました
俺も同じ気持ちで見てた。笑