三共の旧要件ハネモノ「グレートキャノンI」(1989年)
★賞球…オール13
★ハネ開閉時間…オトシ0.35秒、ヘソ0.45秒×2
★最大8ラウンド継続
★当時の実戦店…新宿日拓3号店(歌舞伎町・西武新宿駅近く)、新宿コスモ(歌舞伎町・花道通り)、いろは(登戸駅前)、タイガー(渋谷・井の頭線ガード下)
★ゲーム性
ヤクモノのキャラが個性的、ヤクモノアクションが特徴的、BGMがド派手…そんなハネモノは、時が経っても記憶に「刺さった」ままのものが多いが、本機も、まさにそんな一台といえる。
テーマは「宇宙戦争」で、盤面イラストにデカデカと描かれているように、「キャノン砲」搭載の宇宙戦艦がモチーフだ。いかにも当時のハネモノらしいコンセプトで、特に、この時代の三共や平和のハネモノには、こうした「メカメカしい」ものが多かった。
センター役物は、上、中、下段の三層構造で、Vゾーンは下段の手前中央に位置する。
上・中・下の三層とも大当りと密接な関連性があるが、ビジュアル的に一番インパクトがあったのは、やはり、下段で左右にスイングし続ける、銀色のキャノン砲(大砲)であろう。上が小口径の3連砲、下が大口径の主砲と二段重ねで、互い違いに振り子の要領で左右を往復。これら大砲の動きが、通常時・大当り中ともに、V入賞に多大な影響を与えた事は、言うまでもない。
余談だが、本機の3連砲を見ると、少年時代に精を出した「戦艦模型(プラモデル)」を思い出す。武蔵、大和、信濃、日向など…設計図とにらめっこしながらの細かい作業だったが、当時はワクワク感が先行して、さほど苦にもならなかった。今では、完成させる自信も全くないが…。なお、大口径の主砲は、新要件初期の爆裂ハネモノ「サンダードラゴンGP」に引き継がれた。
(ヤクモノの動き・通常時)
ハネに拾われた玉は、まず、上段ではなく中段ステージに乗る。ヤクモノ内の玉の動きが、「上→中→下」ではなく、「中→上→下」というのが、本機の特徴であった(時には「中→下」と動く)。
「ハネ」といえば、本機は通常のウィング型ではなく、手前にパカッと開くアタッカータイプだった。「スーパーブラザース(旧)」、「おジョーズランド(旧)」、「ふんどし大将(新)」(いずれも西陣)、それに平和「ビッグウェーブ(旧)」も、アタッカーハネの代表格である(おジョーズランドは単独アタッカー)。なお、本機登場後、平和から「スーパーキャノン」という類似名のハネモノも出たが、コチラはアタッカーハネではない(ヤクモノ構造も、本機と大きく異なる)。
※(旧=旧要件、新=新要件)
因みに、本機は先行機「スペースキャノン」(1988年)の改良機である。スペースキャノンも同じアタッカーハネで、三共ハネモノでアタッカー式ハネを初採用したのは、本機ではなくコチラだ。ただ、スペースキャノンはヤクモノに種々の不具合があり(特に、玉を打ち上げる発射装置のバネが劣化し易かった)、またV入賞率もキツめだった為、その「改修版」として本機が登場した…という経緯がある。
このテのアタッカーハネは、長らくハネモノを打ち込んでいたファンにとっては、かなり斬新な印象を受けた筈だ。しかし、私は初心者時代からスーパーブラザース@西陣に傾倒したクチで、同社のおジョーズランドも頻繁に打った。その為、本機のアタッカーハネに、さほど「真新しさ」を感じる事もなかった。ただ、ウィングタイプの羽根に比べて、「玉を拾いにくい」イメージは付きまとった。
中段ステージに乗った玉は、大半がステージ奥に転がる。奥には、左・中・右と3分割された発射装置が待ち構えており、ここに入賞した玉を、バネの力でポーンと上方に打ち上げる。
この発射アクションが個性的かつ豪快で、あたかも宇宙戦艦が搭載する砲台をイメージさせた。前身機スペースキャノンでは1個だった砲台も、ヤクモノ内の動きを多彩にすべく、本機では3つに増やされた(結果的にV入賞率も上昇)。ハネに拾われて中段奥に転がった玉は、3つの砲台の何れかに入った後、上部に発射される。
ただ、ヤクモノに入賞した全ての玉が、中段奥に向かった訳ではない。中段ステージ手前には、軽い傾斜が付いており、ハネに拾われた際に勢いがないと、ステージの手前側に転がる。こうなると砲台を経由せず、ダイレクトで下段に落ちる。
中段奥から砲台に入り、勢いよく打ち上げられた玉は、上段ステージ奥から手前に乗り越えて、そのままV方向に落下する。砲台は左・中・右と3つあるが、一番大当りし易いのは、やはり真ん中の砲台から発射された場合だ。特に、上段ステージ中央にはV字型のレールが付いていて、真ん中から発射された玉は、このレールを通って手前に落下、そのままVに飛びこむパターンが多かった。
但し、Vの真上で左右に動き続ける大砲がちょうど真ん中に来ていて、すんでのところでV入賞を邪魔する事もあり、最後まで油断できなかった。なお、この「黄金ルート」を通って大砲をかいくぐったとしても、V穴の淵に蹴られる事があったが、これは明らかに「クセ悪台」の挙動であろう。
一方、左右の砲台から発射された玉は、上段両サイドから、レールを通らずに手前へ落下する。また、スイングする大砲の動きも受けやすく、Vを外し易かった。しかし、発射された玉の軌道は多彩で、ヤクモノのカベに跳ね返ったり、動く大砲にぶつかったりして、たとえ左右から発射された玉でも、意表をついてVに飛びこむ事があった。
また、中段ステージから手前に直接落下した場合は(砲台を経由しないケース)、下段で動く大砲が邪魔をしてVを逃す事が多かったが、大砲が左右にある時に角度よく当って、V入賞する事もあった。即ち、本機は砲台を経由した玉、手前に直接落下した玉のいずれも、V入賞の可能性があった。
余談だが、本機のセンターチャッカー(ヘソ)の釘配列には、ある特徴があった。通常、ヘソの頂点は「一本釘」だが、本機は、三角釘の頂点が、縦に「二本」打たれていた。平和「プラトーンII」も、同様のゲージ構成だった。もちろん、各所の調整次第ではあるが、見た目では玉が絡み易く見えたのも事実だ。
(ヘソ周辺の釘配列…三角釘の頂点が二本。)
(ヤクモノ内の動き・大当り中)
大当りすると、ヤクモノ奥の砲台は発射を一旦中止。ハネに拾われて中段ステージ奥に流れた玉は、3つの砲台内部に貯留される。また、貯留されて砲台が塞がった後も、その上に積み重なる形で、次々と貯留される。
ハネが7回目の開閉を終えると、砲台が発射を再開、貯留された玉を、立て続けにポーン、ポーンと上部に弾く。この「ダイナミック」で「破壊的」な玉の動きこそ、本機の「真骨頂」といえた。ヤクモノ内を「乱れ飛ぶ」感じで、ド派手なBGMと相まって迫力満点であった。新要件初期に西陣の「ニューナパーム」(やはりヤクモノ内の発射装置が特徴)と出会った時も、これに似たような感覚があった。
この時、貯留が十分(3つの砲台に貯留された状態)なら、貯留解除によるV入賞率は高く、継続率も良好といえた。但し、貯留解除タイミングがやや早め(ハネ7回開閉後)の為、寄りが悪いとピンチになり易い。
(幻のV入賞)
本機を打っていると、砲台から打ち上げられた玉が、せっかくVに入ったのに、大当りする事なくスルー…という不条理な場面に、しばしば出くわした。
これは、当時の規定上、始動チャッカー入賞から2秒以内にVに入らないと「無効」となる、いわゆる「2秒ルール」があった為である。すなわち、様々な要因でヤクモノ内の玉が「もたつく」ことで、砲台から打ち上げられた玉が遅めにV穴へ飛びこんでも、既にチャッカー入賞から2秒以上経っており、「タイムオーバー」で大当りと認められなかったのだ。後に、このルールは「ハネ開閉から2秒以内」に改正されたが、すでに、本機は大半が外された後だった。
(サウンドCD)
本機の通常時・大当り中のサウンドは、三共から1991年(平成3年)にリリースされた、「ザ・パチンコ・ミュージック・フロム・三共II」というパチンコ音楽CDに収録されている。
通常の実機サウンドは、前半の「バイオレンスメドレー」に収録(レオパードI、エンタープライズI、ウォーリアーIIといった「戦闘モノ」のハネモノBGMが、メドレー風に流れる)。
また、本CDのみの特典音源として、RPGテーマソング風にアレンジされた軽快なバージョンも、後半に聴くことができる。今も楽しめるアイテムなので、アマゾンやオークション等で手に入れるのもアリだろう。