1996年(平成8年)に奥村遊機(モナコ)から登場した時短デジパチ「スーパーヤジキタ」
ご存知、「弥次さん、喜多さん」の凸凹コンビがコミカルな活躍を見せた、液晶搭載の現金機。スペック違いの兄弟機もあるが、本機は「七」で当ると出玉大幅増のチャンス(その他の図柄も40回時短が付く)。
CR版よりも確率は甘く、それでいて一発逆転のチャンスもあった。個人的には、兄弟機の中でもっとも「勝ち易い」と思えたのが、本機である。
(「七」(小判)で当れば、嬉しい「SP時短」突入)
CR版よりも設置率は劣る為、本機の実戦店はあまり多くないが、1997年~99年にかけて、新宿・神楽坂の「神楽坂センター」(神楽坂21)という今はなきパチ屋で、打つ機会があった。
この時期、私は、とある国家試験の「答案練習会(論文試験用講座)」を受ける為、週一回のペースで、仕事終りに飯田橋に通った。
講座は午後8時半頃に終わるが、その後は、飯田橋駅近く、神楽坂下~神楽坂上の「神楽坂通り」(早稲田通り)に点在するパチ屋に、足を運ぶのが恒例だった。まぁ、閉店まで2時間ちょっとの「ちょいの間勝負」。国家試験を受ける割に、随分と不真面目なスタイルだが…。
当時、神楽坂下交差点の付近には、2軒のホール(「ニューパリー」と「オアシス」)があった。
さらに、交差点から神楽坂通りの坂を真っ直ぐ上ると、途中には「アイランド(旧スズヤ)」「おおとり(後のゴードン)」「神楽坂センター(神楽坂21)」と、3軒のパチ屋があった。
(あの界隈は、パチ屋以外だとディスコ「ツインスター」が目に付いた。1Fには、同じ名前のゲームセンターもあって、講座帰りに「鉄拳3」なんかをよくやった…)
また、神楽坂通りから細い横道に入り、黒塗りの車が並ぶ料亭の裏通りを抜けて、熊谷組の本社がある大久保通りに出た辺りに、「どさん子ラーメン」というラーメン屋があった。メガネをかけた脱サラっぽいオヤジさんが一人で切り盛りしていたが、ここで味噌チャーシュー(大盛)をよく食べた(どさん子ラーメン跡地は、現在「みそ神楽」という別のラーメン屋になっている)。
さて、本機を置いた「神楽坂センター」(神楽坂21)は、神楽坂駅近くという立地にしては、随分マッタリとした「場末」の雰囲気が漂っていた。客はガラガラ、店内の有線やマイクの声も、ほとんど聞こえない静かな店。まぁ、私が顔を出す時間が、大抵「夜9時過ぎ」と遅かった事も、関係したかもしれない。
ともかくも、難解な答練会を終え、心身ともにヘトヘトな自分にとっては、そんなマッタリ感が却って心地よく思えた。静寂な店内で無心に玉を弾くと、脳に蓄積された疲労感も、自然と取れる感じがしたのだ。
ハッキリ言って、「七」で当ると大連チャンの可能性もある本機で、残り二時間チョイの勝負は、明らかに「ナンセンス」だった。ただ、あの時期は勝敗など二の次で、「好きな台を、やりたいように打つ」という感じだったから、それも納得済みで楽しんでいた。
この店は、本機以外にも、プリンセス物語やエキサイトクリスタル3、モンキッキといった、香ばしい現金機を置いていた。CR主導だった当時、こうしたラインナップは重宝した。
余談だが、学生時代の90年代前半、「神楽坂センター」の隣では、「スロットルおおとり」という小さなスロ屋が営業していた(1992年のフジテレビ・ドキュメンタリー番組「コインの魔力777」で、コンチIにモーニングを入れていた店)。
学生時分は、講義が終わると東西線に乗り込み、隣の神楽坂駅で下車して、ここのスロ屋に入る機会もあった。その後、しばらく疎遠となったが、久々に出向いたらゲームセンターに変わっていて、ちょっと寂しかった。
そうそう、神楽坂下から早稲田通りではなく、メインの外堀通り沿いに神田川(首都高の高架)方面に向かった先の大きな交差点近く(大久保通り)には、やはり90年代前半、「アスカ」という地味なパチ屋があった。こちらも、答案練習会に通った1997~99年頃には、すでに閉店していたと記憶する。
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(基本スペック)
★賞球…6&13
★大当り確率…1/247.6
★最高16ラウンド継続
★デジタル停止順…左⇒右⇒中
★大当り図柄…七(小判)、石松(片目)、駕籠(かご)、通行手形、同心(十手男)、芸者、姫、銭(寛永通宝)の計8図柄。ハズレ図柄は、団子とおにぎり(おにぎりは中デジのみ)。
★有効ライン…中段、右下がり、右上がりの計3ライン
★時短機能搭載
⇒特定図柄で当たると爆裂し易い「夢幻伝説」タイプであり、同時に、全図柄で時短に突入する「エキサイトレディ」タイプでもあった。まぁ、スペックとしては、かなり良心的な方であろう。
・「七」以外で初当り…大当り後、必ず40回転の時短が付いてくる。
・「七」で初当り…「石松」「同心」「銭」の3図柄(終了図柄)で当たるまで、時短継続(突入率1/8、継続率5/8の「SP時短」)。終了図柄で当たっても、大当り後は40回の時短が付く為、引き戻しのチャンス。
⇒SP時短の平均連チャン数は約3.7回。ヒキ次第で、さらにドル箱を重ねる事も可。
★小デジ変動時間
・通常時=23~28秒(保留の点灯状況により変化)
・時短中=約3秒に大幅短縮
★小デジタル当選率…3/8(通常時、時短中ともに同じ)
(ヘソ下にある蟹爪型の電チューは結構大きめで、玉の拾いも良い印象)
★平均出玉…約2200個
⇒アタッカーの賞球数は「13個」と少なめだが、時短突入のタイミングは、大当り後ではなく、「大当りした瞬間」となっていた。つまり、ラウンド開始直後から電チューが頻繁に開いたので、出玉の上乗せが期待できた。その為、15個戻し(2300個)に引けを取らない出玉だった。さらに、大当り後の40回転も時短というサービスぶり。もちろん、「七」を引けばさらに大チャンス。
★兄弟機…CRヤジキタ(CR機)、ヤジキタチンドウチュウ3(現金機)
CRヤジキタ(1996年)…大当り確率1/398.5、1/3確変ループのフルスペック。図柄不問で、有効3ラインのうち「中段」で揃うと、プラス2回の確変に突入。兄弟機でもっとも設置が多く、ホールに出回ったのがコレだ。私自身は、鶴川「ダイヤモンド」、登戸「いろは」、新宿「カレイド」、渋谷「マルハンタワー」などで対峙した。ただ、こういった初当りのキツイCR機は苦手で、本機や「チンドウチュウ3」と比べると、実戦頻度・収支ともにイマイチ。
ヤジキタチンドウチュウ3(1996年)…本機と同じく、時短付きの現金機だが、大当り確率や賞球数、時短スペック等が異なる。コチラは大当り確率が1/237.5で、賞球は7&15。
時短の内容は、七で「100回」、カゴと通行手形で「60回」、花魁と姫で「40回」、同心、石松、銭で「20回」の時短が付く。新百合ヶ丘「ジアス」で、連日打っていたのがコチラ。収支的にもまずまずだったので、心象は良い方だ。
★多彩なリーチアクション
配列上、「ダブルリーチ」が多いのが特徴。また、シングルリーチとダブルリーチでは、出現するリーチの内容に、やや違いアリ。
(七と銭のダブルリーチ…どちらが揃うかで天地の差。但し、「七」で当ってSP時短に入った後は、どちらで当ってもSP時短は続くので、安心できるダブルリーチ。もう一種類、姫と芸者の「女ダブルリーチ」も、やはりSP時短の終了図柄を含まない、安心ダブルリーチ。)
※ダブルリーチは、以下の4パターン。
「七の右下がりと、銭の右上がり」
「カゴの右下がりと、石松の右上がり」
「同心の右下がりと、通行手形の右上がり」
「姫の右下がりと、芸者の右上がり」
⇒本機は、「七」で初当りが来ると「5/8」で時短ループする仕様だが、SP時短の終了図柄は「石松」「銭」「同心」の三種類。よって、SP時短中に終了図柄を含むWリーチが掛かると、「逆の図柄で当たれ!」と、念を送らずにはいられなかった。
・シングルリーチ時のアクション
1種類のノーマルリーチと、2種類のSPリーチ(ヤジキタ、ひっぱり)が存在。当然、ノーマルのままだとハズレ易いが、いったんハズレで止まった後に、中デジが再始動すれば、必ず大当りする(二段階は鉄板)。
一方、ノーマルの途中でサウンドが変わるとSP発展、ヤジ・キタ両名が窓から身を乗り出す。「ヤジキタリーチ」は、2人がリーチ図柄に手を合わせたり、お金に目がくらんだりする。
「ひっぱりリーチ」は、ヤジキタが中デジの大当り図柄を持ち上げる。計5回引っ張り上げれば大当りする。
シングルリーチで大当りする場合の、リーチ選択率
ヤジキタ⇒7/16 ひっぱり⇒4/16 ノーマル(二段階含む)⇒1/16
左右同時停止(ノーマル、ノーマル二段階、SPのいずれも選択)⇒4/16
・ダブルリーチ時のアクション
左右クロスのダブルリーチが掛かると、中デジ上下の窓には、必ず「おめでたリーチ」と表示される。
(CR版だと、確変の「中段リーチ」時に、必ず「おめでたリーチ」と表示)
ダブルリーチも、ノーマルが1つと、SPリーチが2種類。やはり、ノーマル二段階なら鉄板。
SPはヤジキタリーチと「火消しリーチ」。「火消しリーチ」もノーマルの発展型で、おめでたリーチの途中で、中デジが炎に包まれてから、くすぶり⇒消火と切り替わり、デジタルが停止。
ダブルリーチで大当りする場合の、リーチ選択率
⇒火消し⇒9/16 ひっぱり⇒3/16 ノーマル(二段階アリ)⇒1/16
左右同時停止(ノーマル、二段階、SPいずれも選択する可能性アリ)⇒3/16
なお、シングル、ダブル何れのリーチも、左右のデジタルが同時停止してリーチが掛かれば、必ず大当りとなる(通常は、左が停止してから右デジが止まる※)。
※リーチ時、右デジに大きな「スベリ」が入る事もあるが、リーチ信頼度は変わらない。
(おまけ…「CRヤジキタ」絡みのTVネタ2つ)
(C)テレビ東京
1996年11月21日OAの「パチンコスタジアム・旅情編」(テレビ東京、MC:斉木しげる)では、バカルディー(現・さまぁ~ず)をゲストに迎えて、自腹一万円パチンコ勝負を決行。対戦台は、CRヤジキタと「CRアラビアンハーレムEX1」(京楽)。ロケ地は、横浜市中区長者町「グランドホール」。希望の景品は、斉木名人が卓上クリーナー、大竹がGショック、三村がカシオトーン(キーボード)だったが、果たして結果は…?
(C)TBS
1997年7月11日OAのTBSドラマ「最後の恋」第1話(主演:中居正広、共演:常盤貴子)。オープニングテーマ(小田和正「伝えたいことがあるんだ」)の終了後、いきなりこのカットからスタートした。もちろん、CRヤジキタのデジタル接写画面である。
実は、常盤演ずるヒロインのアキが、「パチンコ屋の店員」という設定で、勤務先のパチ屋のシーンの出だしがこれだった。ロケ地は、新宿西口ガード交差点前の「カレイド」。
詳細は、こちらの過去記事を参照。
中居演ずる医学生・夏目と、アキのこんなやり取りも面白かった。
アキ「OLなんて嘘。本当はパチンコ屋に勤めているの。パチンコなんて、しないでしょ?」
夏目「やるよー。CRヤジキタ。」
アキ「うそー!じゃあ、今度来てよ。出る台、教えるからさ。」
広域放映されたTVドラマの台詞で、「CRヤジキタ」なんてキーワードが入ったのは、おそらく、これが最初で最後ではなかろうか。まぁ、メディアや社会的な風潮が、パチンコに対して概ね「好意的」だったことが、こういう演出を可能にしたのだろう(1996年には、松本明子主演のパチンコドラマ「グッドラック」も放映されたし…)。今では、ちょっと考えられないね。