ゲイリー・ギディンス著「セレブレイティング・バード チャーリー・パーカーの栄光」(バベル・インターナショナル訳、JICC出版局、1989年5月初版)を入手。大判(A4サイズ)、128ページ。全ページにコート紙を使用し、掲載写真も大判で豊富。大変良く出来た本である。
原書は、Gary Giddins ”Celebrating Bird / The Triumph of Charlie parker” (1987)
早速、第1章「バード・リブズ」」と第2章「アーリー・バード」を読んでみた。翻訳も良く、読みやすい。第2章が大変興味深く、チャーリー・パーカーの13歳から17歳までのことについて、新発見の事実がかなり多く書いてある。そのほとんどは、最初の妻だったレベッカ・ラフィンの話に基づいたもので、信憑性も十分である。レベッカの居所を突き止めて、最初に彼女にインタビューし、その談話を発表したのはスタンリー・クラウチという黒人の作家・ジャズ評論家だった。1982年頃のことで、雑誌か何かに発表したのだろう。それで、この本の著者のゲイリー・ギディンスは、友人で仕事仲間でもあるスタンリー・クラウチの許可を得て、そのインタビューを参照し、またギディンズ自身もレベッカから直接話を聞き、それらをまとめて第2章を書いたようだ。本のまえがきを読むと、スタンリー・クラウチのパーカー研究資料のほかにも膨大な資料を参照したと書いてあり、この本の発行時(1987年)でのパーカー研究の決定版だと思う。2013年11月に著者自身が訂正・加筆したこの本の改訂版が米国で出版されている。アマゾンで購入しようと思っている。
ついでに、著者について、米国のウェッブ・サイトで調べてみた。
ゲイリー・ギディンズGary Giddins
1948年、ニューヨークのブルックリン生まれ。1970年、アイオワ州のグリネル・カレッジ卒。1974年より週刊新聞「ヴィレッジ・ヴォイス」にコラム記事を長期にわたり連載。ジャズおよび映画を専門とする著名な評論家。著書多数。受賞歴も多い。チャーリー・パーカーのほかに、ルイ・アームストロング、ビング・クロスビーの著述もある。映画の製作も手がけ、「セレブレイティング・バード」は著書だけでなく、1987年に映画化もしている。