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storytellerです。本当に短い物語を書いたり、思い出話や日常の諸々について綴ります。

空の旅で出会った人々

2024-08-07 07:18:10 | 思い出

若い頃、空の旅が大好きだった。究極の非日常を経験できるから。空の上は、日本でも特定の国でもない、ただ、空の上だった。それが刺激的で、何度も飛行機に乗って旅をした。

旅先での出会いは忘れられない人生の宝物。でも、飛行機の中で出会った人の中にも、印象深い人達がいる。小説や映画のように、機内で隣り合わせた人と恋に落ちるという経験は、残念ながらなかったけれど 笑。

23歳の時(5月)。東南アジアを旅した帰り、隣に座ったのがシンガポール人の母と娘。娘さん(メリッサ)はわたしより1つか2つ年上で、彼女もお母さまもシンガポール航空の社員。今回は社員特典を利用しての空の旅だと言う。目的地は日本。お互い旅好きと分かり、意気投合して盛り上がる。2人が日本に滞在中、連絡を取り合い、帰国の途に就く直前、我が家へ遊びに来てくれた。メリッサとはそれから10年近く文通を続けるほど親しくなった。

23歳の時(8月)。アメリカのシアトルへ向かう機内にて。隣に座った長い黒髪の女性は、離陸前から静かに泣いていた。飛行機が順調に飛行し始めても泣き続けているので、さすがに気になったわたしは、「大丈夫ですか」と声をかける。すると、彼女はわたしに身の上話をしてくれた。

遠距離恋愛を続けていた人と結婚することになり、その日は彼が住むシカゴへ向かうところだった。英語が苦手で海外旅行もしたことのない彼女は、日本の家族や友人との別れが悲しかったのと、言葉や文化の違う国での生活に馴染めるか不安で、涙が出てきてしまったという。

わたしは彼女と逆で、日本を脱出して海外で暮らしたい願望が強かったのだが、余計なことは言わず、ただ彼女の話に耳を傾けるだけにした。しばらくして機内食が出ると、彼女の表情が明るくなり、食べながら2人で楽しくおしゃべりをした。泣くだけ泣いたらすっきりして、おなかがすいたのだろう。大丈夫。あなたならちゃんとシカゴでうまくやっていけるよ。恋しい人との新しい生活を楽しんでね!

24歳の時(8月)。ヨーロッパの旅を終えて、イギリスのヒースロー空港から飛行機に乗り帰国の途に就く。隣に座ったのは、おそらく50代かと思われる白人男性。物静かな雰囲気の人だが、長旅の間、時々言葉を交わした。彼はノルウェーの人で、今回は日本の大学との共同研究に参加するため日本へ行くことになったという。わたしはその当時、ある大学の研究所に勤務していたので(研究員ではなく事務職員)、彼の話に興味を覚えた。彼も、わたしの職場が研究所だと知って急に饒舌になり、話が盛り上がる。

そして、まもなく日本に到着するという時に、彼はわたしに一冊の本を手渡してくれた。

彼の住む都市ベルゲンの紹介本である。日本の研究員へのお土産として何冊か持参したというが、そのなかの貴重な一冊をわたしにくださったのだ。しかも、最初のページにわたしへのメッセージをペンで書いてくれた!To Mrs.(名前の部分は隠してある)となっているが、わたしはこの時は独身だった。念のため。

中を開くと、写真がたくさんあって、解説文は英語、ノルウェー語、フランス語の3か国語で記載されている。

結婚後、国内外で15回以上転居を繰り返し、そのたびに断捨離をしてきたが、何故かこの本だけは処分せずに持っていた。外国への興味をさらにかきたててくれた貴重な出会いの思い出だ。



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6 コメント

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恐怖症 (storyteller)
2024-08-09 19:15:22
旅人さんへ

交換留学生だったのですか!?すご~い。
あの頃は交換留学生に選ばれるのは本当に優秀な生徒のみでしたね。
海外赴任も経験されたとは、英語も堪能なのでしょう。
今まで知らなかった旅人さんの素顔が見えてきましたよ 笑。

閉所恐怖症、わかります。わたしはそれに高所恐怖症も加わって、
そのせいで飛行機酔いするようになってしまいました。
若い頃は全然平気だったのに、体質って変わるものなんですね。
でも、船旅はもっと嫌なので、海外へ行くなら
やっぱり飛行機に乗らないと・・・。

コメントありがとうございました♪
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◇私の場合、なんの面白くもありませんが◇ (faraway 旅人)
2024-08-09 16:31:46
私が初めて飛行機に乗ったのは1960年代高校3年生の時。JALは延々とハワイ、アンカレッジを経由してのNYへ。交換留学制度での米国だった。同乗者120人はみんな同じ高校生だし、不安と高揚感いっぱいで、誰と座っていたかは全く覚えていない。あのキャンザスへ行きました(笑)。1年後の帰国時は余裕がでたのか、隣の女子学生のことはよく覚えている(笑)。

海外赴任を経験しても、50代でLDNへの出張が辛かった。閉所恐怖症が出てきて、飛行機に乗るのが怖いのだ。で、乗る前に漫画本をいっぱい持ち込んで、10時間以上漫画に集中していた(笑)。て、ことで皆さんのように、隣の方と会話を楽しむ状況ではありませんでした。

もう20年近く、飛行機に乗るのは避けています。はい、キャンピングカーで移動しています。
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 (storyteller)
2024-08-07 19:09:48
fairyさん、こんばんは。

本当に縁ですよね~。不思議なもの。
fairyさんは離陸が好きなんですね。
ETの気分になりきって楽しめる余裕、いいわ~。
わたしは中年になってから体調が変わり、乗り物酔いしやすく
なっちゃったんです。情けな~い。
だから、離陸は苦手、着陸前の降下と回旋はもっと苦手。え~ん。
若かった頃に戻りたいわん。涙。

コメントありがとうございました♪
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Unknown (fairy333)
2024-08-07 09:52:31
storytellerさん

飛行機で座席が隣り合わせになるって、これも縁ですね。
一人で乗ると三人席の通路側という事が多く、隣の二人はカップルか夫婦or友達同士で、なかなかお話しできない事が多かったです。
でも一度、お一人さまの三人が隣り合わせになり(同じツアー)、一人は偶然にも同県で、帰ってからも再会しました。
私は残念ながらstorytellerさんみたいな出会いはなかったな。

飛行機🛩が離陸する時のふわっとなる瞬間が好きでした。
ETが自転車で空を駆け上がるようでした。

storytellerさんは数え切れないほどのフライトをされてるから、忘れられないエピソードが沢山ありそうですね。
また聞かせて下さいね
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素敵な縁 (storyteller)
2024-08-07 09:44:23
ひいこさ~ん、おはようございます!

ひいこさんも空の上で素敵な出会いをたくさん経験しているのですね!
それにしても、その出会いが仕事につながったり、
舞台に招待されたり、というのはすごい。
縁なのでしょうね。
ひいこさんには何か人を惹きつける力があると思います。
わたしもひいこさんに惹きつけられた一人ですもん♪

コメントありがとうございました♪
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Unknown (ponkd7171)
2024-08-07 08:25:38
storytellerさーん
おはようございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

雲の上
不思議な空間ですね〜
そして素敵な出会い!

私も思い出しました!
フライトで隣り合わせた人と仲良しになり
日本に帰ってからも仕事に結びついたり、またある方とは、ある舞台に招待されたりと!
数時間の空間で話すだけのご縁だったり、奥様手作りのお菓子をいただいたりと、いろいろと思い出すものですね❣️

空の上にいると全てを忘れてしまうくらい不思議な空間です〜
あ〜旅に出たくなってきました(o^^o)

素敵なお話をありがとうございました😊
ひいこ🥰
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