私のふるさとの五島の福江では、城や寺や神社などにある石の階段を「がんぎだん」と呼んでいた。同い年の友人たちも使う人はまれな古い表現だった。
あまり聞かない言葉ではあるが、石でつくった階段状の港湾施設を「雁木」というそうだ。
時おり、出かけた先や散歩の途中に「がんぎだん」を見かけるたびに、この言葉を思い出す。
子供のころ、家の近所の観音寺の、広くて大きな「がんぎだん」で遊んだこと、和尚さんに叱られたことなども、合わせて思い出す。
今思えば、冬の外遊びの定番のコマまわしで使う「たぐりひも」の糸くずを散らかし放題にして逃げ散った後の掃除をさせてしまったことなど、和尚さんが怒るのも当たり前だと赤面汗顔の限りだ。
・・・・・・
(写真は、佐賀県嬉野市塩田の古刹で撮ったものです)