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この「あんばい」には他にも、同義の言葉も含めて按配、案配、按排といった書き方がある。
この、塩梅という言葉については、味加減についても言うが、現代では料理や味覚についてはあまり使わない言葉になっていると思う。
今年、初めて梅干を漬けた。
これまでは売っているものを買っていたが、ありとあらゆる調味料を使った梅干の、甘ったるい妙な味に嫌気がさしていたので、まともなものを手に入れたいと思っていたのだ。
しかし、春を過ぎて、梅が出回るにつれて、自分で漬けてみようという気になってきた。
幸いにも、このところ、「知恵袋軍団」がまわりに居るので、いろいろと暮らしの知恵を授かることができるのである。
思い立ったら吉日と、作り方を聞いてやってみた。
ただし、赤紫蘇の「もみ漬け」の工程は省略して、市販のものを使ったのでまだまだ修行が足りないのではあるが。
「知恵袋軍団」の国の宝(年寄り)の面々は、紫蘇を植えて育てるところからやるのだから、筋金入りの本物である。
つくづく、昔の人の知恵と、その知恵を脈々と、実践のなかに伝えてきたご婦人たちはエライと矢鱈滅多ら感心してしまうのである。
さて、はじめの工程で、梅を水に漬けてアク抜きをしたものを塩漬けして「梅酢」を出すのだが、家に重石がなかったので、梅酒瓶に水を入れて重石にするアイデアがうまくいって、「知恵袋軍団」の教え通り、一週間経つとたっぷりと梅酢がとれた。
この梅酢は、本来ならば全部漬け込みに使うところだが、市販の紫蘇酢の袋に、梅酢が余ったら調味料に使えると書いてあったので、いったいどのような調味料になるのかと興味が湧いてきて、醤油差しに小分けにしてとっておいた。
とりあえず、アジの刺身をこれに浸して食べてみた。
塩気がややきつく感じるが、違和感はない。魚の臭みを感じることなく、さっぱりといただけた。
当然ながら、塩と酸味と梅の香りがし、また、日持ちもするものだから、あらゆる料理に応用がきくものと思った。
また、これは醤油などの原型ではないかと想像をたくましくした。
こういうものを、麹の力などで発酵したものが、醤(ひしお)になっていったのではないかと思う。
醤(ひしお)のなかでも麹と大豆などの穀物から作ったものが世界に誇る調味料の醤油であろう。
話を梅酢に戻す。
梅と塩のバランス加減で食べ物の味を引き立て、美味しくいただけるようする。
まさに塩梅の意味を、味覚をもって知ることができた。
さて、梅干つくりの最後の工程は、この、土用前後に三日三晩乾燥させる、「土用の三日干し」である。
しないならしないでも食べられはするらしいが、実行すれば、風味と色がよくなるそうである。
梅干には、長い年月の、暮らしの知恵が詰まっている。
(写真は拙作梅干の「土用の三日干し」の図)
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のほほん
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