現在閉店中のうれしの橋近くの居酒屋金龍の店内を撮った写真が残っていた。
10年近く前に呑みに行った際に店内の昭和そのものの雰囲気がなんとも味わい深くて撮ったのものだ。上段の「通いとっくり」の大きさと形が微妙に違うのがろくろ引きされたものであるとわかる。そして右端の所有者表示の「嬉野駅」の文字に大正時代から昭和初期まで塩田地区と嬉野温泉を結んだ電気軌道の面影を見た。路線は塩田側が市役所庁舎近くの居酒屋どん兵衛の裏あたりに、嬉野側は佐賀銀行あたりに駅があったそうだが、今ではそれらを偲ぶことができる痕跡はない。酒がガラス瓶で流通する以前に酒屋と消費者の間を通ったとっくりには、確かにその痕跡を見ることができた。