のほほん書斎(日高茂和)

武士がいたから、だと思う。

今から、百年ほど前に、明治時代が終わる。

このころ、武士の家系に生まれた四十代半ばの人は、幕末の最後の武士らから家庭教育を

受けて育ったと言える。

武士たちは、人の上に立つ者として、幼少期より人倫の理想を学ぶ四書五経を素読・暗記するという教育を受け、それに準じた教えを庶民も受けた。

黒船来航以来、日本をあわよくば植民地にしようともくろんでやってきた欧米人たちは、日本人の識字率や礼節のゆきとどき、ユーモアのセンスなどに驚嘆したという。

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この三月の震災で、関東以北の方々の非常時における行動の美しさに、世界から賛嘆の声があがったということを幾度か聞き、天皇陛下のお見舞いのお言葉にも、このことについて触れられていた。

私は、天皇陛下がこのことにふれられたのは、日本人の日本人らしさや日本人がもつ美徳を再認識し、自信と誇りと勇気を持って進んでいくようにという励ましのメッセージと受け取った。

百年前には、およそ武家の家庭環境にあったものが、日本の人口のおよそ一割弱と考えられる。

まだまだ日本人には、人倫の理想を生きようとする美しい心と態度があることが、大災厄のなかで証明された。

この、美しいDNAを廃れさせないようにするには、敗戦後に忘れる努力がなされているかに見える、仁義礼智信を明らかにするための教育が、あえて必要である。

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