のほほん書斎(日高茂和)

レバ刺し禁止について・・・東京新聞の社説より

以下は、東京新聞7月1日の社説の後半部分です。
私は、強く共感をおぼえています。

「一連の調査の中で、牛の肝から腸管出血性大腸菌O157が見つかった。胆管から肝臓内部に入り込んでおり、加熱では処理できない。このため厚労省は、ユッケより重い提供禁止の断を下した。
 食べ物としての生肝(なまぎも)は万葉集にも登場する。滋養が高く、権力層に好まれた。戦前にも、モダンな食材として、洋食店のメニューに載った。最近では、美容にいいと「ホルモンヌ」と呼ばれる若い女性の間にも広まった。
O157の危険を否定するわけでは無論ない。しかし、食べ物は文化でもある。長く、多くの人に親しまれてきた食材が、一片の通知で簡単に葬り去られてしまうことには違和感がある。
 昨年一年間に発生した食中毒のうち、牛レバーの占める割合は約1%。生鮮魚介類によるものの二十分の一以下だ。生卵のサルモネラ中毒よりも下回る。
 生食は、日本食文化の華だ。禁止の波が「卵かけご飯」に及ばないとも限らない。米国では生卵の提供が原則禁止されている。すき焼きに生卵は添えられない。折しもカリフォルニア州では一日から、世界三大珍味の一つ、フォアグラが出せなくなる。飼育法が残虐だからという。
 口に入れるものである以上、食品に危険はつきまとう。私たち消費者は、食べ物に対して受け身になりすぎてはいないだろうか。どれほど知っているのだろうか。危険すなわち禁止では、かえって正しい食習慣や選択眼が身に付かない恐れもある。消費者も食文化の担い手なのだ。
 国などが食に関する正しい情報を提供し、業者、消費者はそれを正しく学んで、実行する。禁止は最後の手段である。」

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「のほほん所感」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事