私が十歳くらいのころの映像作品である「日本沈没」を見終わった。
「こうなったのは戦後の日本人が自然を大切にし守らなかった罰なのか」
と、沈み行く東京タワーから日本列島終焉の日のラジオ放送でアナウンサーが語る。
環境変動の意識も萌芽もなかった当時に語られたこのセリフは、まさに現代がSF化していることの証のようだ。
「日本沈没」というSF仕立ての小松左京文学は重い問いかけだ。
癖のある激しい性格の田所博士だが魅力のある人物だが、惹かれた。心が動いた。
信念とは、愛国心とは、正義感とは、義侠心とは、誠実さとは、思いやりとは・・・いくつもの大切なものを教えてくれる作品だった。
近年、時代にあった演出で新たな作品づくりもされているようで、名作が受け継がれるのを喜ばしく思う。
原作は中学生か高校生の頃に読んだが、最後のほうで五島列島福江島の自宅から毎日見ていた鬼岳が噴火しているシーンがあったこともあり、親しみも覚えた作品だった。
いづれ原作を再読したい。