明治時代発刊の漱石の本の復刻版。当時の装丁をそのまま復刻した、ページを切り開きながら読む作業は、思ったより厄介だった。
今では目にすることもない「ペーパーナイフ」でないとうまくいかない性質のようで、カーーターナイフだと切れすぎて、歯が思わぬ方向に入って行って、本を傷めてしまった。
『漾虚集』
は漱石が新聞連載を書く以前の作品集だが、「漢学が好きだった英文学者」の難解でもあり、ペダンティックでもある文字から感じ取る絵のような文章、そして活版ならでは(?)の誤植や脱字の数々に、時代の香りを味わうことができた。