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先週の土曜日、山谷のMC{マザーテレサの修道会の略}のボランティアのHさんから聞いた話しを紹介する。
Hさんはその日、翌朝ブラザーたちの移動の手伝いをするため、MCの施設に泊まっていた。
エアコンなどない施設である、その日はとても暑く寝付けなかったので一階のフロアにあるテレビを見ていた。
すると、玄関のチャイムが鳴った。
時間はすでにPM11:30である。
「どうかしましたか?」Hさんが玄関のドアを開けて、外に立っていたおじさんに聞いた。
「ダニエルさんはいますか?」
ダニエルはすでに8年くらい前に山谷からフィリピンに移動し、現在は家族のケアのためにイタリアに帰っていた。
そのことをHさんはおじさんに伝えると、彼はこう言った。
「ダニエルさんに洋服をもらおうと思って」
良く見ると、そのおじさんはバスタオル二枚、腰と胸に巻いていた。
「さっき、向こうで身ぐるみをはがされて・・・」
「えぇ、そうなんですか?とりあえず、中に入ってください」とHさんは言い、おじさんを施設のなかに入れた。
また良く見ると、そのおじさんは靴も履いていなく、服をあげると、バスタオルの下は、ほんとうに何も着ていなかった。
さて、不思議である。
おじさんはどこから来たのだろか?
どこで身ぐるみをはがされたのだろうか?
何よりも、その二枚のバスタオルはどこで手に入れたのだろうか?
もしバスタオルが手に入るのであれば、靴ぐらいは履いていても良いのではないだろうか?
不思議である。
だけど、面白い。
そのおじさんはダニエルが居なくなったのを知らなかった。
と言うことは8年ぶりくらいにMCの施設に来たのである。
それも深夜。
バスタオルだけを巻いて。
おじさんは優しいダニエルなら、いつでも助けてくれると思ったに違いない。
ダニエルはほんとうに優しい男であった。
その記憶はこのおじさんのなかにも未だに消えてなく、愛の炎となり、輝ていているのかも知れないと、私はHさんの話しを聞きながら思った。
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