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ロバート会議規則(6)

2022-03-11 07:54:32 | 日記

動議という言葉

 多くの会議では議案は、会議の前に予定されていることが多いのではないかと思います。このような会議で、「動議」は、予定されていなかった議題を会議中に提出することというニュアンスがあるように思います。動議はおそらく英語のmotionの訳だろうと思います。motionの動詞は、もちろんmoveです。Merriam Webster辞書は、このmoveには次の意味があるとしています。

to propose formally in a deliberative assembly

つまり、moveは審議するための議案(議題)を公式に(つまりチャンと、あるいは手続きを踏んで)提出することだと示されています。したがって、motionは議案(議題)ということになります。

 余談ですが、その昔、motionという言葉に出会った人が、move/motionにある動きのニュアンスに引っ張られて「動議」という訳を作り出したのではないかと思います。会議は議題によって進んで行くわけですから、議題提出にmoveという言葉が用いられるようになったのではないかと推察しています(素人の勝手な推察ですが)。

 私のこのシリーズでは、moveは議案を提案する、motionは議案として説明を進めます。なお、「民主主義の文法」では、動議という言葉が散見しますが、多くは議案という言葉を訳に充てています。おそらく、校正抜けではないかと思います。


ロバート会議規則(5)

2022-03-11 07:39:32 | 日記

 会議に関連する権利

 先に紹介した、「民主主義の文法」及びRobert's Rules in Plain Englishには、ロバート会議規則には、次の権利が保障されていると書かれています(ただし、原文は保護(protect)となっています)。

 ・多数派が意思決定をする権利

 ・少数派の意見が傾聴される権利

 ・構成個人の権利

 ・欠席者の権利

 会議規則という観点からは、1つ目及び2つ目のポツは直ちに納得できます。3つ目のポツも会議であろうがなかろうが守られるべきもので、これもまあ、納得できるでしょう。しかし、4つ目のポツは今一つ釈然としません。欠席した者の権利とは何なのでしょうか?

 Robert’s Rules of Order Newly Revisedには次のような記述があります。

「議事規則は、次の権利への配慮に基づいている。

 ・多数者

 ・少数者、特に大勢いる(1/3以上)少数者

 ・個々の構成者

 ・欠席者

 ・上のすべて」保障

 つまり、会議規則は欠席者への権利も考慮して作られていると言っているだけで、保障や保護などを言っているわけではありません。これならある程度納得ができます。

 また、Robert’s Rules of Order Newly Revisedには次の記述があります。

 「グループの誰かが(会議を)欠席した場合は、定例会議または臨時会議に出席した者は、そのグループを統率する規則によって決められた制限だけに従って、グループ全員のために行動する。」

 つまり、誰かが会議を欠席しても会議は欠席者を含めたグループの全メンバーのために行われるということであり、このことが「欠席者の権利」ということだと考えられます。ようやく腑に落ちました。