形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

神泉村(2)・横着カマド?

2012-08-27 18:19:42 | Weblog

村役場で契約したあと、補修がいるところを見て、次に材料を
持ってこようと、もう一度借りた家を見に行ってみた。

囲炉裏の部屋の床板は、そこらへんに落ちていた木を拾って
いい加減に打ち付けたとしか思えなかった。 小銭を落としたら、
全部床下に落ちるぐらいの隙間だった。 上に畳を敷いて使って
いたのだろうと思った。 次にベニヤ板を張るつもりで寸法を測った。

土壁がすごかった。 昔、東京の家の壁も多くは同じ土壁だったが、
土の上にさらに海草などの化粧材を混ぜたものを塗って仕上げていた。 
この家は土だけで、芯に割いた細竹を組み、それに土を厚く塗って
固めてあった。 だがボロボロに風化し、あっちこっち竹が出ていた。 
一部は外の景色が見えた。

囲炉裏は自在鉤が付いていて、すぐにでも使えそうだった。
この家で私たちは面白いことに気づいた。
入り口の戸を開けると、目の前1メートルもしないところに、
いきなり土を固めた、薪用のカマドが据え付けてあるのだ。 
なぜ入り口の真ん前にあるのだろう? と不思議に思った。
あとになってその使いかたを聞き、私たちはおかしくなった。

薪は長い木を短く切ってつくる。 でも木を切るのは面倒だ。
そこで長いまま、戸を少し開けて、そこから木の先を
カマドに入れて燃やす。 カマドに入らない他の部分は、
ドターッと家の外に長々と出たままだ。 先が燃えたら、
その分、中に引き込む。 私たちも枯れ木で試してみたが
手間いらずで素晴らしいアイデアだった。 
横着というより合理的か。

私はそれまで、薪のカマドは実際に見たことがなかった。 
テレビや映画で見ただけだが、おぼえている限り、土間の奥に
あってそこで煮炊きしている光景しか見ていない。 
玄関の真ん前につくられたカマドなんて、他でもあるのだろうか?
                    
-続く-


からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/



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