わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

大統領就任式に思う

2017-01-20 | アメリカのニュース
 米共和党のドナルド・トランプ新大統領が、議事堂前で就任宣誓、第45代大統領に就任しました。行政経験も軍歴も全く無い史上初の大統領で、しかも1期目としては70歳と最高齢。就任演説では、「国を再建し、ワシントンから国民に権力を移す」とし、選挙中に連呼したAmerica Firstを基に、国内雇用を増やし、社会インフラを修復すると共に、イスラム過激派を排除すると宣言しました。

インフラ投資拡大に想定される投資規模は1兆ドルが見込まれていますが、その収入源は、環境保護の為に制限されている国有地での、シェールガスや石油の採掘です。アメリカが護り続けてきた自然、オバマ大統領が在任中に拡大し続けてきた至宝を蹂躙しようというのです。

 トランプは、オバマ大統領の就任時にしつこく、オバマはアメリカ生まれではないから大統領にはなれないと言い掛りをつけ続け、結局笑いものになりました。だから、自分が大統領になって、前任者のオバマ大統領の功績を尽く無き物にしたいとでも謀っているような気すらします。個人の怨恨で国を動かされるなどあってはならないことですが、この男なら…と、思える程度の器なのが不安です。

 経済政策は、ミクロレベルでの人気取り政策ばかりで、マクロな視点が見えない。大規模投資や減税、保護主義的通商政策による、景気刺激と雇用創出で中間所得層の強化といいいますが、肝心の具体策や日程も発表されていない。

 保護主義によって費用が上がり、また、メキシコや中国が対抗策として自国の関税を上げる可能性も高く、逆に消費者の負担が増える可能性のほうが高いと私は思ってる。


 トランプは、母親から贈られた聖書と、リンカーン元大統領が1861年の最初の就任式で使った聖書に手をかけて、就任宣誓を行いました。移民やイスラム教徒、女性への侮辱や排他的な発言を繰返す男が、リンカーンの聖書に触れるなど、烏滸がましいことこの上ない。

 この就任式では、「下院(定数435)で194議席を占める同党議員の4割近く」である、約70人の民主党議員が欠席しました。明日には、大規模な反対デモが国内のみならず、世界中で予定されています。

 日本のサイトや、ニュースに対する意見を読むと、自分達で選んだくせに、とか、だったらヒラリーが当選するように努力すべきだったと書いている人が多い。そんな人達には、一般選挙に投票数で勝ったのはクリントン候補であり、大衆の意思に反して、時代遅れの選挙人制度によって当選したのがトランプだという事実を知って欲しい(このブログ内の記事、アメリカの選挙人制度の是非も参照して下さい)。

 選挙での得票率が46.1%と大きく過半数を割り込んだことなど、トランプ氏は大統領としての"正統性"さえ疑問視された。選挙人では304名と圧倒的な数を確保したが、得票率はヒラリー・クリントン候補の48.2%に及ばなかったのです。しかも、ロシアの選挙介入サイバーテロも確実視されている。

 これが一体どれだけの異常事態なのか?今のアメリカの問題は、深淵にまで及んでします。華やかな就任式の光景とは裏腹、今日の天気のように、将来を危惧してのどんよりと重い気持ちが晴れません…


President Obama, we will miss you!

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