わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

微妙覚悟で「ジオストーム」

2017-10-29 | 映画・ドラマ・本
 反トランプ映画に見えたのは、私の深読みしすぎ、トランプ嫌いすぎの所為でしょうか。ここから下は、ネタバレするほどのお話じゃないけど、かなり内容をバラしているので、未見の方はご注意ください。



 予告で見ただけで、CGは今時稀なほどに雑、ディーン・デブリン監督にジェラルド・バトラー主演ってだけで話の筋が読めるけど、その期待(?)を全く裏切らないストーリーの災害映画。日本では来年新春に公開だそうです(公式サイト)。黒幕は、最初からこいつやな、と、思った正にその人物。結末もお約束通り、こいつ死ぬな、と思った人物はきっちり死に、こいつ悪人やろと思った人物はきっちり小悪党。ちなみにRotten Tomatoesの評価は15%

 2019年、大規模な自然災害が地球各地で起こり、人類の存続が危機に晒される中、国際気象宇宙ステーション(ICSS)を司令塔として、人工衛星を地球上空に張り巡らせて気象コントロールするシステムが、アメリカと中国が率いる18カ国の協力で完成しました。ここで「チャイナ」と聞いた途端に、わたしゃ脱力したけど、この一言で大市場、中国さんへの義理は果たした感じ。その後は香港と、アメリカの大学出た香港人しか出てこない。

 このシステム、通称ダッチボーイ(私はオバサンなので、すぐダッチワイフと引っ掛けているのだろうかと疑ったけど、実際、なんでオランダの少年なんだろう??)を、一人で作ったと言ってもいい人物が、総責任者のジェイク・ローソンなのですが、ジェイク役はジェラルド・バトラーなので、いつものジェラルド・バトラーのキャラをやってクビになり、その後を実弟のマックスが継ぎます。

 相当に優秀な筈なのに、そう見えないマックスくん役のジム・スタージェスは、瞳がいつも真黒で空虚に見え、なんか不気味な映り方。バトラーのカリスマに食われっぱなしなのも、大事な人物にしては、存在感が薄かった。関係ないけど、影の薄そうな役の多いライアン・ゴスリングって、「ブレード・ランナー2049」で、あのハリソンくんと同じ画面にいても劣らぬ存在感を示してた。ジムくんには悪いけど、やっぱスターってのは違うもんだ、と、変に感心。

因みに作中にこんな場面はない


 マックスの恋人で、シークレットサービスのサラ(アビー・コーニッシュ)は強くてかっこよく、マックスの国務省の部下でハッカーのデイナ(ザジ・ビーツ)は、私的にこの映画で唯一の魅力的なキャラクター。この二人が主役で、ローソン兄弟の専門知識と権力を振回して地球を救うお話だったら面白かったかも。

 映画では、トランプとは似ても似つかない民主党の大統領をキューバ系のアンディ・ガルシアが演じています。初の中南米系かつ身長6フィート無い大統領ですか。加えて、地球上で異常気象が猛威を振るい、メキシコ人が活躍ってのが、今のアメリカを風刺していると思えないこともありません。

 父と娘(インターステラーの真似?)の約束やら、兄弟間の確執とかって人間ドラマ部分は邪魔でしかないし、脚本や設定にポカがありすぎて突っ込む気にすらなれないけど、派手な爆発や災害シーンは、安っぽいCGでも、それなりに面白く、結果は明白でも、私は単純なので、十分にハラハラ、ドキドキ。アフガニスタンはいきなり凍結し、香港ではガス管が大爆発。東京には巨大な雹が降り、モスクワは熱線で溶け、リオは凍り、サウジアラビアには津波が押し寄せ、ムンバイではトルネード。んなアホなwwwの連続が、だが、それがいい!(「だがそれがいい」は花の慶次の名文句だけど、画像検索すると、キアヌってカテゴリーがあるの、知ってた?)

 日曜日に一日一回だけ5ドルで見られる映画パスが、3回分を残して来々週に切れるので劇場に足を運んだのですが、お天気の悪い日曜の午後を、頭使わない映画で楽しむには、十分5ドルの価値ありました。期待してないぶん結構楽しかったし、なにより、犬が助かったんで、私的には良い映画。でもIMAXとかで2千円以上払うのは、私的には無理なレベルだった…

犬と自転車は禁止です

2017-10-22 | アメリカの街の暮し
 10月も末に近いのに、コロンバスは未だ夏のような気温です。三寒四温ならぬ三温四寒で、朝は霜が降りているかと思えば、昼過ぎには汗ばむほどになったり。今日も晴天で、犬と散歩に行きましたが、歩いていると長袖を来てきたのを後悔するほどの暖かさでした。

 コロンバスにもメトロパーク・システムが有り、多くの公園に幾つもの遊歩道が設えれれているのですが、殆どがハイキングとジョギング専用でペット禁止です。例えば、今日訪れたブレンドンウッズ公園では、7箇所あるトレイルの中でペットOKなのは、1.2マイルの殆ど影のないトレイル1本だけ。物足りないので、帰りにいつものドッグパークに寄りました。私は、5~7マイル程度の森の中の川沿いが一番好き。途中に滝があると更に良し。


ペットと自転車は禁止のサイン


ここから向こうは行けません


 でも、この周辺には、そんな公園はないので、あまり寒くならないうちに、昨年夏に行ったホッキング・ヒルズ州立公園に行きたいなと思っています。昨年は車で2時間半でしたが、今は1時間弱の場所だから。


ここは犬もOKのGoldenlot Trail。雲一つない空と陽光に輝く紅葉が素晴らしい

また、微妙な映画を見てしまいました『ヴィクトリア女王 最期の秘密』

2017-10-21 | Museumsとイベント
「Victoria and Abdul(ヴィクトリアとアブドゥル)」作家シャラバニ・バスによる、実話を元にした本、「ヴィクトリアとアブドゥル:女王の最も親しい秘書の真実の物語(Victoria and Abdul: The True Story of the Queen's Closest Confidant)」の映画化です。予告がとても面白そうだし、実話を基にした女王とインド人召使との友情が描かれるというのも興味深い。Rotten Tomatoesでの評判も高いし、なにしろ名優ジュディ・デンチがヴィクトリア女王を演じるとなれば、外れはないだろうと安心して劇場に足を運んだのですが…


 英国領インド州アグラの刑務所吏員アブドゥル・カリームは、一番背が高いという理由で、女王の在位50年を祝うゴールデンジュビリーで、インドの感謝を示すための特別な金貨を差し出す役を仰せつかります。女王とは決して目を合わせるなと言われていたにも関わらず、思わず平伏して女王の足にキスしてしまったアブドゥルは、女王に強い印象を植え付けました。

 前半は、孤独な女王が、ハンサムなインド人青年と友情を育くみ、笑顔を取り戻す一方で、この二人に振回される王子や側近達がコメディー調で描かれ、美しい風景や豪奢な宮殿内、絢爛なドレスと軽妙な会話で楽しかったのですが、女王がアブドゥルが結婚していたことを知って激高する辺りから、話が妙な方向に… 



 女王激高の理由は、アブドゥルの語った「インドの大反乱」に関する話が大ウソだったと知ったからもありますが、私にはそれ以上に、彼が結婚していると言ってなかったから、と、思えました。実は、女王は、アブドゥルの語る異国やコーランの世界、ウルドゥー語に憩いを見出していただけではなく、老いらくの恋だったのか。女王はすぐに後悔して、アブドゥルに妻を連れてくるよう命じ、ますますイスラムへの興味をつのらせていきます。

 今のイギリスやその周辺国での移民状況や、ISISによるテロ、イスラム教徒への恐れや嫌悪の状況を考えると、このタイミングで、女王がイスラム教に入れ込んでた映画を持ってくるとは、なんか小賢しいものを感じる。ターバンを巻いてるし、服装や容貌では正にインド人っぽいのに、実はモスリムとか、この時代はまだ厳格に別れてなかったのかな?

 インドから呼び寄せたアブドゥルの妻が黒いブルカを脱いで顔を見せるまでの息をのむ表情や、彼女が丸顔でぽっちゃり型の「絶世の美女」ではなかったと分かった時には、安堵の表情(と私は感じた)を浮かべます。なんだか、この辺りから映画は生臭く、女王の寵愛と、それをやっかむ息子のバーティー(後のエドワード7世)達のドタバタが、気軽く笑えない状況になってきます。

 輪をかけるのが、アブドゥルが家族を呼び寄せ、立派な一軒家を与えられた一方で、一緒にインドから呼び寄せられたモハメドの末路。インドに帰りたいと言い続けていたのに、顧みられないままに寒い屋根裏部屋で弱って亡くなってしまいます。最初はコミックリリーフだったモハメッドの寂しい埋葬は、陽光にあふれていた映画前半とは対照的に薄寒いグレーの空の下でした。元々はアブドゥルより高位のモハメッドの哀しい末路には、身につまされました。だって私は、先生が贔屓する可愛いクラスメートや、上司がちやほやする美人の同僚を、羨ましく思ってた方なので。

 ヴィクトリア女王は、ぞっこんだった御主人のアルバート公と結婚する前にはメルバーン子爵、亡くなってからは使用人のジョン・ブラウンを厚遇しすぎて周囲を辟易させましたが、ブラウンの死後に寵愛したのが、このアブドゥル。女王は彼を「ムンシー(精神的な師みたいな意味らしい)」と呼んで特別扱いします。ナイトの称号を与えると言い出した時には、周りは女王の精神状態を疑い始め、宮殿の使用人が一斉に辞めると言い出しても、女王は態度を変えません。一方でアブドゥルも、女王の寵愛を盾に横柄に振る舞い、周りから憎悪されるようになります。

 その女王も高齢には勝てず、臨終を迎えます。自分が死ぬ前にインドに帰れという女王の忠告は受け入れず、アブドゥルは最期まで女王に付き添いました。女王の死の直後、アブドゥル一家は家から追い出され、二人の友情を証明する女王からの手紙を全て燃やされてしまいます。インドに帰った彼は、英国に行く前の明るくハッピーな男とは別人でした。彼は女王の死後、8年後に42歳で亡くなりました。因みにWiki先生によれば、彼の妻はインドへ帰る航海中に亡くなったそう。

 カワイ子ちゃんを贔屓して、能力に見合わない重職に付け、贅沢を許すのは、男の権力者だけじゃないってお話でしたが、この頃のアメリカは、ハリウッドの大物プロデューサーのセクハラで持ち切り。日本語でも「まくら営業」って言葉があるじゃありませんか。最初に警鐘を鳴らしたモデルさんが称えられるのは解るけど、そのあと続々と出てきた、私も、私も組が「勇気ある」とか言われてるのは解んないなぁ… この件については、後日。


女王とアブドゥル

通訳者の悪夢、またです

2017-10-19 | 英語
 Yahoo!Japanに「パリ人肉事件」の佐川一政を負ったドキュメントが完成したとの記事が載っていました。なんとも悪趣味なことだと思いましたが、この記事に関するコメントの中に、彼が精神鑑定で無罪になり、今では年金生活を送っているのは、「フランス警察が「腹膜炎」を「脳膜炎」と誤訳しちゃったから」とありました。

ホントに?!?と、思ってネットで検索したら、いくつかのサイトが引っかかりましたが、「Wiki先生から借用すると、取調べにおける「昔、腹膜炎をやった」という発言を通訳が「脳膜炎」と誤訳したことから[5]、精神鑑定の結果、心身喪失状態での犯行と判断され、不起訴処分a>(鈴木邦男『続・夕刻のコペルニクス』扶桑社、1998年、p.171より)」んだって。折角なんて調べてみると、脳膜炎はMéningite、腹膜炎はPéritoniteっていうんだって。そんな似てない気がするんけど…

 フランス側の自尊心が許さなくて、資料等を出してもらえなかったって言うけど、後からでも間違いが判ったんだし、写真等の証拠はソロ店だから、日本で新たに起訴することはできなかったの?って、素人としては思うんだけど、一時は時代の寵児扱いされて、印税も稼いだらしいけど、今は生活保護で暮してるのだとか。

 そこは、誤訳とは少し話が離れるけど、その通訳者の人って、この事を知ってるのか、って、気に掛かります。自殺とかしてないかしら?なんか、もー、いたたまれないだろうな、って思うの…

猫がデカい

2017-10-19 | 犬と猫、たまに人間の息子
 日参している刺繍deねこさんちで、猫の肉球測定をしているので、私もうちの黒らいよんの前足を測ってみました。4.2cm…

 以前は少なくとも庭に出たり、地下室に降りては、色々なプレゼントを持ってきてくれましたが、今ではアパート暮らし。登る木も、駆け上がる階段も、追っかけまわす蛇や鳥もいません。お腹タップンタップンだし、先々月に検診のために獣医さん行った時は体重も増えてたし、母は気になるんだけど、獣医さん曰く、肥満じゃないですよ、お腹は皮ですよ、なのだそうですが、ホントなの~?触っても、結構ずっしり来るんですけど?


自分のお腹が気になるからって、僕のお腹まで一緒にするなみゃ!


えー、だって、凄い存在感ですよ、そのお腹…


前に18cm定規を置いてみた。あまり役に立ってない

ブレードランナー2049(ちょっとだけネタバレ?)

2017-10-08 | 映画・ドラマ・本

とても楽しみにしていた映画です。この世代では一番のご贔屓、ライアン・ゴスリング主演だし、「メッセージ」や、「複製された男」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作、それに何と言っても、30年ぶりのブレードランナー続編です。

 先行公開したLAの評判や、批評家の評価も高い。アメリカの映画評論サイトの大手、Rotten TomatoもIMDBの評価も高いし、LA Times等の新聞も褒めちぎってる。ハリウッドでは、公開までは期待の大作でバンバン広告されてても、開けてみたら散々な評判で大コケという映画も多いので、安心して観に行きました。結果、正直、微妙…

映像、演技、世界観を含む設定、そしてお話も、私的に文句の付けどころ無し。どのシーンのCGも凄かったけど、特にホログラムと物理的に存在している女性が一体化するシーンがすごいっ!って思った。それから、蘇ったレイチェルを、本物のショーン・ヤングが演じ、CGで補正されてるというのも驚き。完全にCGかと思ったよ。あの頃のショーン・ヤングの美しさは神がかってたと思う。

 「複製された男」で印象的だった黄色くざらついた画面が、放射線に侵されて荒廃したラスヴェガス… 砂に敗北したかつてのソドムにも、デッカードが潜むホテルにも使われていました。酸性雨が降り続くLAはもちろん、ゴミ溜めとなったサンディエゴも、レプリカント達が住むLA周辺も、くすんで濁っているのに、記憶を編む女性のいる隔離された世界だけが、クリアで光に満ちています。

 ライアン・ゴスリングの色々な感情を内に秘めた表情は、レプリカントにも人間同様、もしかしたら人間以上の感情があることを訴えかけているよう。ハリソン・フォードはここでも「味がある」という言葉がぴったりの存在感を示していました。

 そして、主人公Kのホログラムの恋人、ジョイ役のアナ・デ・アルマスがすっごくチャーミング。クルリとした丸い眼、ぽってりした唇が可愛くって、コケティッシュでセクシー。日本人にも受けそうな感じ。私はこういう可愛い女の子大好き~

 鑑定屋はちょっとしか出ないけど、どっかで見た顔だなと思ったら、「キャプテン・フィリップス」で海賊のボス役だったのバーカッド・アブディ。しっかりハリウッドに居付いちゃったのね。出番はほんの数分だけど、あの顔だし、雰囲気だし、オリジナルの屋台の親父みたいな強烈な印象。オリジナルの頃は、日本人は未だエクゾチックな存在だったけど、本作では、LA市警の公用語が日本語だし、日本がすっかり異国情緒やミステリアスさを失った今、時代はアフリカか?

 お話は既に、ネットで色々と語られているので省きますが、私はネタバレを見ずに行ったので、しっかりプロットに振り回されて楽しみました。そう、お話も設定も映像も役者も設定も何もかもがすんばらしい。にも関わらず、なぜ微妙かといいますと、長い! 2時間で十分ですよ…

 今どきのジェットコースター的な早いテンポでどんどんお話が進んでいく映画に毒されてしまったか、途中、早送りしたいと思ったシーンが何か所かありました。延々殴り合ってるデッカートとKとか、いつまでも新機種レプリカントの周りをぐるぐるしてる小石型探知機とか、早く次に進んでくんなかな…とか思っちゃいました。


 オリジナルを継承しつつ、屋台街は自動販売機に取って代わられた街の感じも、とっても良かった。日本語や韓国語の文字が溢れ、娼婦たちや、スクリーンの向こうでゴーゴーガールが踊るいかがわしい繁華街も、オリジナルを継承していました。立体ホログラムの浮かぶ街は、甲殻機動隊の実写版では、やり過ぎで失敗してたと思ったけど、この映画では未来の都市を表現する小道具として良いお味加減でした。


あやな…


ともあれ、私的には、犬が無事だったのが何より。これ凄い大事。あと、延々11分のエンドクレジットの後には何もありませんので、ご参考まで。