わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

Sherlock The Abominable Bride

2016-01-31 | 映画・ドラマ・本
 BBCのお正月スペシャル(イギリスでは1月1日に放映)、人気シリーズの「シャーロック」1時間半特番「The Abominable Bride(忌まわしき花嫁)」を、ネットで観ました。シャーロックとワトソンがタイムスリップとか、特番なのでキャストをオリジナルの時代に据えてみました、ってだけのお手軽作品だけではありません。流石の趣向と、いつもながらのスタイリッシュな演出で、期待通り、いえ、それ以上に面白かった!

 ただ、日本では劇場公開?って、ネットで読んだんだけど、あくまでも特番的な内容なので、これを劇場でやるの?という気もしました。TV版をシーズン3まで観てないと、置いてかれるストーリーですから。でも一方で、何しろ舞台がビクトリア朝だけに、ファッションやお城がとても素適。これは大きくて明るい画面で堪能したかった。以下、私には珍しく(?)ネタバレはなしです。

 左のB級ホラー映画のポスターから伺われる通り、殺人を繰返す死んだはずの花嫁の謎に、シャーロックが挑みます。勿論、モリアーティー教授の影もチラつき、背後には秘密結社の存在も。過去と現在が行き来する中で、ポスターにある通り「友情、冒険、殺人」が。なんか少年ジャンプの三大原則みたい。ゴシックな雰囲気の中で繰り広げられる幽霊、動く死体、謎のメッセージ、そして背後に潜む秘密組織の謎解きも、19世紀だからこその設定で、安易なコスチュームプレイに終わっていない。ワトソンは科学者らしく、「幽霊だなんてバカしい!今は19世紀だぞ!」って言ってましたが、これって笑うとこなんだよね?



 上の画像では、シャーロックはシルクハットを被っていますが、下のポスターのように、ハンチング帽を被ってパイプをふかすシーンもあります。昨年公開された、イアン・マッケランが晩年のホームズを演じた「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」では、ハンチング帽なんて被ったこと無いし、しかも私はタバコ派だ!って言ってましたが、こちらのMr.ホームズは、インバネスコートのハンティング帽の正統派スタイルも披露。ただし、違う帽子をかぶろうとしたホームズに、「帽子はこっちだろう、君はシャーロック・ホームズなんだから!」と、ワトソンがどさくさに紛れてハンチングを渡すシーンがあり、実はワトソンの演出だったのか?と笑っちゃうw

 「Mr.ホームズ」は、同系のBBC Filmが共同制作に関わっているし、挿絵通りにハンチング帽でパイプをくゆらすので、もしかしたら意識して、こちらのシャーロックには、わざとお馴染みスタイルさせたのかな?なんて想像すると、ちょっと面白かった。映像世界でもこのスタイルを決定化したような感のある、ピーター・カッシングがホームズ役の、1968年版テレビシリーズも、やっぱりBBCですものね。下のポスターは、まるっきり、古典版のパロディー(?)じゃない?

 そして、ワトソンのカイザー髭は、すごく似合ってますね。TVシリーズではお馴染みの、 画面上にテキストメッセージやツイッターの文面が飛び交う演出は、19世紀でも健在です。デジタルの代わりに紙媒体が画面を舞うのですが、これがまた、お洒落なの。私はこんな演出を見たことなかったのですが、これって初めての試みかしら?いろんな作品で画面にデジタルメッセージが出てくる演出を観るようになりましたが、このスタイルも今後よく観るようになるかもしれませんね。 

 勿論、阿片も大事な役割を果たし、オリジナルのコナン・ドイル版ホームズをしっかり意識していると感じられました。トラディショナルなシャーロキアンたちをも満足させる出来じゃないかと思います。TVの方は第4シーズンも決まったそうですが(そりゃ、第3シーズンのあの終わり方のままで尻切れトンボじゃあんまりですよね)、そこへつながっていくエピソードでもありました。だから、テレビで人気あるらしいから、入門編として映画を見に行くか、ってお客さんは、ポカーンなっちゃうかも。でも、TVシリーズのファンは楽しめるんじゃないかしら?私は楽しかったよ!

エクストリーム犬の散歩・2016

2016-01-30 | 犬と猫、たまに人間の息子
 久しぶりに暖かく晴天の週末、家から車で20分ほどの公園、ジャーマンタウン・メトロパークに、長めの散歩に行きました。ここには何本かのトレイルが整備されていますが、その中でも最長でアップダウンが多いのがオレンジ・トレイル、7.5マイルのループです。距離的には12キロ強程度ですが、起伏が多いので歩き甲斐があります。とはいえ、険しい坂は少ないし、暫く登ると平坦な場所に出て、もう少し歩くと下り道になり…と、上手く設計されたコース。昨年の春にも同じトレイルを歩きましたが、その時はお花の写真を撮りながら、時間を掛けてのんびり散歩でした。でも今回は、お花も咲いてないしひたすら歩くだけ。道がぬかるんで滑るし、泥に足を取られるし、時には路面が凍っていたりで大変でした。実は二度ほど、滑って転んだですよw


犬、喜ぶ

   
トレイルの途中でこんなんなっちゃてたり

   
でも、ところどころに春の兆し?


 会社の建物が大きいので(なんしか工場だし)、主にデスクワークの私でも、朝夕の犬の散歩も加えれば、平日は大抵8000歩は歩くのですが、これを超えて1万歩となると、ちょっと努力が必要。特に寒い季節はつい犬の散歩もご近所一周で済ませてしまって、あと2000歩がチャレンジです。ここ数週間は、5分間散歩だったりでサボり気味でしたので、今日は実は少し気合入れたの。結果は、自分レベルではけっこう頑張ったんで、


見せびらかしちゃうw

琴奨菊関おめでとう!!!

2016-01-24 | 時の話題
 もう決まったも同然…と、思いつつも、やっぱり胸ドキドキ。でも14勝一敗で見事、賜杯を受け取りました。なんと日本人力士の優勝は10年ぶりだそうです。過去、10年間も、モンゴル出身の横綱たちが日本の国技である相撲を牽引し、ダイナミックな技で楽しませてくれていたのですね。そして、今場所は、朝青龍の優勝額の最後の一枚が降ろされたそうで、10年一昔といいますが、時代が一つ回ったと感慨もひとしおです。私は、琴奨菊関が好きなので、怪我に泣かされ、引退の噂も出た時はがっかりしたものですが、ここに来ての大活躍は本当に嬉しい。春場所でも進撃を続け、ぜひ横綱に!

 琴奨菊関の相撲を見たのは、2008年のロサンゼルス大相撲巡業です。その時の観戦記がここに残っていますが、あれから7年半、期待される若手から、じっくり努力し続けてきた、決して天才型ではない琴奨菊の快挙には、励まされます。この7年半の間には、私を巡る状況も大きく変わりました。環境や状況に流されて来た自分にとって、同じ時間を努力や忍耐で自分を高め、ついに頂点に達した琴奨菊に、目を覚ませ!って怒られた気分も少々。

 ロサンゼルス大相撲順行事には、琴奨菊関はブログを書いておられ、これが実に面白かった。ファンに宛てた短い日々の報告的な内容でしたが、その中に素直な人柄や、相撲への情熱、そしてスイーツへの愛(w)が、行間からにじみ出るようで、本人のまん丸い人の良さそうな童顔もあって、「ほっこりする」という表現がピッタリ。だから、巡業の時には彼に注目していました。実際に琴奨菊の取る相撲を観て、更に応援したくなりました。

 もっと相撲に専念するため!に、ブログは閉鎖されてしまったのですが、その後も大相撲の度に結果が気になるのは大関・琴奨菊の状況でした。そのブログの中で度々触れられていた、琴奨菊関に相撲を教え、鍛えたお祖父さんも、あの世で喜んでおられるでしょう。朝日新聞のウェブサイトでは、待っっ面笑顔の琴奨菊関に、美人の奥様がキスしている写真で、これまた「ほっこり」な一枚。朝日め、あざといぞ…


レヴェナント 蘇りし者(激ネタバレ注意)

2016-01-23 | 映画・ドラマ・本
 劇場で見るもんじゃありませんでした。色々とエグエグです。イテテだったり、ウゲェ…だったり、食べ物はことごとく激マズそうで、舞台は厳冬のモンタナとサウスダコタだけに、ずーっと超寒そうで、なんだか体の芯が冷えてくるような気すらしました。単に劇場が寒かっただけかもしれませんが。

 20世紀フォックス社の公式あらすじを紹介しますと:

 実際の出来事に着想を得た「レヴェナント(死んだはずだよ、お富さん的な、帰ってきた亡霊というか幽霊みたいな人)」は、一人の男の生き残りをかけた壮大な冒険と、人間の精神がもたら凄ましいまでのパワーを捉えた作品である。未踏のアメリカの大自然の中、伝説的開拓者、ヒュー・グラス(ディカプリオ)は熊に襲われ大怪我をするが、同行していたハンターの一団に見捨てられて、森に残される。生き残るためにグラスは、想像を絶する哀しみと、盟友であったはずのジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディー)の裏切りに合う。意志の力と家族への愛のみに導かれ、グラスは生存をかけ、贖罪を求めて、厳しい冬に立ち向かいつつ、過酷な旅を続ける。(わにこの意訳)

 なんか少し「え?」って気もするけど、とにかくレオ様がひたすら不運な目に会い、苦労し続けるお話です、正直、なんで生きてるんだ、アンタ?!という状況が何度もあり、その度ボロボロになるんだけど、そこは主人公なんで、ちゃんと生還して、しかも回復力が凄い。リアリティーを出すために、CDではなく、実際にアメリカのみならず、カナダやアルゼンチンの厳冬の中で撮影したそうで、何度もノミネートされているのに一向にオスカーを受賞できないディカプリオさん(今回もノミネートされてます)には、努力賞を進呈してもいいのではないかと。本人は撮影中の怪我は全く無かったそうですが、寒いのに川に入らにゃならんわ、怪我のメイクアップには5時間かかり、本物の馬の死骸に入ったり、ベジタリアンなのにバイソンの肝臓かじったりと大いに頑張ったし。ただし、レオ様を襲うクマは流石にCGだそうです。ここまで本物にこだわったら、レオ様死んじゃう~

 音楽は坂本龍一教授。グラスとフィッツジェラルドの格闘シーンの、オリエンタルと敢えて音を外したバイオリンの醸し出す音楽は、緊張感を盛り上げるには役立っていなかったような。いえ、いい曲だとは思ったんですけどね。なんとなく、思い出したのは劇場版の「アキラ」とか「攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル」の音楽。つまり、どっかで聞いたような感じで、新しさに欠ける気がしました。ある意味、安定のリューイチ・サカモト。

 ここからは壮絶にネタバレなんで、知りたくない方は見ないでね。



 主人公、ヒュー・グラスは実在の人物です。1823年の8月、クマに襲われて大怪我をした後、同行の二人に置いて行かれ、サバイバルしながら、この二人に復讐を果たすため生き延びました。ノースダコダには、彼に因んだヒュー・グラス・レジャー地区があるそう。実際には、厳冬の出来事ではなく、山岳地ではなく草原が舞台。ヒュー・グラスに息子はおらず、結婚していたかすら記録にないのですが、映画のグラスには、パウニー族の女性との間に生まれた息子がいます。彼女は、まだ息子が幼い頃に、村を襲った兵士によって殺されました。グラスは伝説的ハンターとして、ヘンリー隊長率いる狩猟チームに、息子と一緒に参加しています。あのレオ様が、こーんな大きな息子の父親役をするトシになったとは…

 グラス父子の属するチームは、彼らの集めた毛皮を奪おうとするアリカラ族の襲撃にあい、少人数が命からがら船で逃れ、奪われなかった毛皮を持って前哨地に向かう途中、グラスは子熊を連れた母親グマに襲われます…ってか、子熊がいるのに一人でウロウロしてる「伝説の開拓者」って?しかも、一度目襲われて、すぐ逃げないから、また襲われて、アンタ、なんで生きてるの?状態に。やっと、クマの左肩に一撃の上、何度をナイフを突き立てて母グマを殺します。母を亡くした子熊たちは生き延びることは出来ないでしょう。大怪我を負ったグラスは仲間に助けられます。キャンプファイヤの側に横たわるグラスの後ろに、皮を剥かれたクマが映っています。この皮は、その後グラスが着てたものかと思われます。

 重症のグラスを伴っていては皮の引渡に遅れるので、隊長のヘンリーはグラスの息子のホークと、グラスの友人であるフィッツジェラルド、そして若いブリッジズに、グラスが死んだらちゃんと埋葬するようにと言い残して、4人を後にします。このヘンリー隊長役が、ハリポタ映画のビル・ウィーズリーしてたドーナル・グリーソン。「わたしを離さないで」、「ジャッジ・ドレッド」、「アンナ・カレニーナ」、「フランク」そして「エクス・マキナ」と、まぁ私の好きな映画に出てる、出てる。SWフォースの覚醒にも出てますよ。今までは線の細いナイーブな役が多かったけど、この映画では横顔が厳しい西部の男です。レオ様は子持ちになり、繊細な十代だったドーナル君は大人になった。

 息子は生死を彷徨う父の耳元に、私はずっと側を離れないと囁き続けます。この映画、主人公のグラスは怪我のせい(?)か掠れ声だし、とにかくみんな囁く。ちゃんと喋れ。ホークはどう見てもグラスの息子に見えないんだけど、グラスにとって息子は大事な存在。でもねー、そこが伝わってこない。ディカプリオの演技が絶賛されてるけど、肉親、息子への愛情がしみじみと感じられない。正直、自身の「ギルバート・グレイプス」の神演技や「グレード・ギャッビー」の域には至ってないと思う。

 息子を護るためにも生き延びようと頑張る父。 しかし息子死ぬ クマの恨みかもよ~
 父を置き去りにして報酬だけを手に入れようとするフィッツジェラルドと揉めた結果、殺されてしまうのです。自分が死ぬに任せられたことよりも、最愛の息子を殺されたことが、グラスを復讐に駆り立てる動機となります。ここが映画の創作部ですね。ヨタヨタで肘で這いながらも、復讐を果たすためにフィッツジェラルドを追うグラス。崖下に川を見付けた直後には川沿いに到着しておる。どうやって崖を降りたか謎。

 そこへ運悪く、こないだのドンパチ以来、娘が行方不明で、白人たち(グラスらの狩猟団)に拐われたと思ってるアリカラ族の酋長登場。川の中に隠れるグラス…って、冬の川って相当冷たいでしょうに心臓発作起こさんのかね?との心配は無用、「タイタニック」の彼と違って、氷水に浸かっても平気。しかも魚を生で食べます。超新鮮。横で火を熾してんだから、炙っても良さそうなものなのに。回虫とかいないのか、心配。

お腹すいた~って歩いてたら、バイソンを食べてるパウニー族の男に出会い、肝臓を分けてもらいます。ここんとこ、リアリティーを出すために本物の肝臓を使ったそうですが、「さすが本物の肝臓、リアルだわ!」とは思いませんでした。俺怪我してんだってパウニー語で説明したら、看病してくれました。親切な人です。翌朝、枝と毛皮で作ったぬくぬく簡易テントから出て歩いてたら、昨夜の男が、「Nous sommes tout Sauvage(我々は皆野蛮人だ)」って札をぶら下げて、木に吊られてました。犯人がフランス人だと一目瞭然。ISISなみの自己顕示欲。

 もっと歩いてたら、フランス人の狩猟隊がアリカラ族の女性を犯していたので、銃で脅して馬を奪いました。この人こそ、族長が探している娘。ついでに、彼女はそいつの男根だか睾丸だかを切っちゃいましたよ。二人で逃げてたら、崖から落ちて馬は死亡、でも生きてるグラス。アンタ、なんで生きてるの?第3弾。寒いんで、死んだ馬の内臓を抜き、代わりに自分が中に入ってぬくぬく。

 そのころ、前哨基地では、グラスの物である渦巻き模様のカンティンを持った男が現れます。グラス生きてる?と、ヘンリー隊長が救援に出た間に、フィッツジェラルドが皆の給料を持ってドロン。その追跡にはグラスも同行しますが、この辺り、時間経過が謎。救出された直後に、いきなり元気になって追跡したの?

 ご都合上、隊長は殺され、グラス対フィッツジェラルドの一騎打ちのセッティング。クマと一緒で、フィッツジェラルドを左肩に銃弾の後、ナイフで刺します。死にかけを、「Revenge is in God's hands... not mine.(復讐は神の手の中にある…私ではなく)」と言って、白人にムカついてるアリカラ族が川下に待受ける川に引きずり落とします。いやそれ、単に自分が息の根を止めなかっただけでフツーに自分で復讐実行してますやん。しかも、自分が撃つなり、刺すなりするより、エグい目に合うのが判っててやってますやん…

 グラスもまた、息絶え絶えの中、亡き妻の幻想を見ます。お迎えでしょうか?でも彼女は背を向けて去ってしまうので、グラスが生き延びたことを示唆しているのでしょうか?本物のグラスさんは、しっかり生き延びただけに。



 今年度のアカデミー賞12部門ノミネートと、大変に評価の高い作品ですが、私には向いてなかったみたい。最も、自分好みじゃなさそうと思いながら、ちょうど上映時間が都合よかったから見ただけなので自業自得なのですが。全体に暗めのすっきりしない画面や、訛りも再現(?)のせいか聞取り難い台詞があるのも合わなかった理由でしょうが、観ながら心の中でツッコミどころが多すぎて、のめり込めなかったのも原因だと思います。字幕で見たら、また違った感想になるかしら?

#OscarsSoWhite #HollywoodSoJew

2016-01-18 | 田舎暮らし
 シャレならん寒さです。氷点下40度では、バナナで釘が打てるそうですが、今日の気温、氷点下20度ではどうなのか?に興味は津々なれど、わざわざ外に出て試す根性は私にはありません。ヒートテックを重ね着し、ダウンジャケットの上に更に厚いコートという態勢で外気に挑んでいますが、オフィス内でそんなにモコモコしてたら肩凝ってかなわん。座り仕事だから、上着を重ねるより、お腹と腰がぬくぬなのが大事だと思う。でも、アメリカにはそういう発想はないのか、腹巻きなんて無いし、日本のユニクロで売ってるヒートテックのお腹をカバーするパンツは、アメリカでは販売してない。でも、腹痛を緩和するための、お腹用使い捨てカイロは売ってるのね。だからアメリカに次に流行るべきは、腹巻きだと思うの!ネットで調べたら、イギリスには腹巻きの通販を専門にしてるお店があるのです。アメリカにも腹巻きを!!

腹巻き推進委員会の皆さん


 今日は実は、黒人公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の記念日で、一応は祭日なのですが、白人率96.3%(2010年)のオハイオの片田舎では通常運転、フツーに出勤です。その代わり、ウチの会社は、キリスト教の祝日はお休み。同じアメリカ国内でも、人種だけではなく様々な文化が混在している都会や、比較的リベラルな海岸沿いと、昔ながらの価値観を大事にする白人が大多数の中西部では、何かが根本的に違うように思えます。ですが、昨年に引き続き、今年、アカデミー賞にノミネートされた俳優が全員が白人という事実を鑑みても、アメリカ人は程度の差はあっても、根底では白人至上主義が未だ残っているようです。

 昨年、オスカーの俳優部門候補者20人全員が白人だったことで、#OscarsSoWhiteというハッシュ・タグが出来、一部で喧々囂々でしたが、今年もまた、その繰り返し。オスカー開催側が、わざわざ黒人のクリス・ロックを(前回司会した時の票何が悪かったにもかかわらず)司会者に指名したり、会長に女性を指名する等で多様性を訴えても、白人男性が圧倒的に多いアカデミーの会員に空気を読む人は余りいなかったらしく、高い評価を得ながらも「ストレート・アウタ・コンプトン」のキャストや、「クリード」のマイケル B.ジャクソンなどは無視されてしまったよう。ムカついたスパイク・リー監督は、アカデミー名誉賞を受賞したけれど授賞式はボイコットすると、キング牧師の記念日の今日、発表しました。

 でもね、2002年にはハル・ベリーが主演女優賞を受賞した同じ年の主演男優賞がデンゼル・ワシントン。2005年には、黒人5人が俳優部門で名を連ねました。ハリウッド高収入番付上位の大スターが白人ばっかという事実からしても、ハリウッド映画で目立つ役をしてるのは白人率が高い事を思えば、むしろ、これぞ快挙でしょう。ま、白人映画が多すぎ!って文句言われると、それまでなんですがね。もういっそ、大学入学審査みたいに黒人枠でも設けますか。

 それよりも私が注目しているのは、アカデミーのみならず、放送映画批評家協会(BFCA)が、カトリック神父の性的虐待と、教会がそれを看過していたという事実をすっぱ抜いた「スポットライト・世紀のスキャンダル」を高く買っていることです。お下劣ぬいぐるみのテッドがアカデミー賞でユダヤ人ネタをかましていたのも記憶に新しいですが(「Ted2」でも、ニューヨークのユダヤ人の皆さ~ん、って、やってたねw)、アメリカのマスコミは本当にユダヤ人率が高い。ちなみに、ハリウッド外国人記者クラブ(HFPA)主催のゴールデン・グローブでは「スポットライト」は無冠に終わっています。

 アカデミー賞は年に一度のお祭り騒ぎではありません。授賞式はLAに大きな経済効果を持ちますし、映画の興行収入は勿論、俳優のギャラや国際的な知名度にも大きく影響します。俳優のみならず、映画に関わるプロのキャリアを左右するのです。スパイク・リー監督が、二年続いた白人ばっかり選ばれる状況に不満を表明しているのは、黒人俳優や黒人監督の将来性を擁護しないアカデミーへの鬱憤もあるんじゃないかなと思ったり…

 そして私は、アカデミーが白人優遇というより、ユダヤ人支配下にあることを、まざまざと表しているのではないかと思うのです。だから、オスカーが白百合のように白い(って、リー監督が言ってた)ってより、ハリウッドがとってもユダヤ(Hollywood so Jew)って思うの。だから何?って言われると、別に何でもないですが。

 折しも昨日、フランシス法皇がユダヤ人教会を訪問したそうですが、カトリック教会って、ハリウッド映画じゃ結構、糾弾されてると思う。一方、イスラエルが悪役って映画って思いつかないけど、何かあったっけ?

久しぶりに田舎の怖い話

2016-01-13 | 田舎暮らし
 昨日の地元新聞紙に、道の真中に皮を剥がれた牛の死体が落ちていた、というニュースが載っていました。牛は死んで間もない様子で、動物虐待の疑いがあるということ。なんとも恐ろしげなニュースです。

 一夜明けて、今朝の新聞によりますと、この物騒な落とし物の主は、その牛の飼い主、イーサン・マニュエルさん。お産の直後に死んでしまった牛の皮を剥いで、残りを処理するために、ピックアップトラックで運んでいたのですが、目的地に付いたら、牛がなくなってたんだって。で、元来た道を引き返してみたけど、落し物は見つからなかった。それでマニュエルさんがどう思ったかは知りませんが、ともかく、夜、ニュースを見てたら、路上にでっかい牛が、進撃の巨人みたいな皮なし状態で落ちてたって言う。で、警察に、「それ私んですわ」と届け出たそうです。マニュエルさんには、道路の安全を危険に晒した旨で、裁判所に出頭命令がだされたそうな。いやはや、なんとも…


おまけ:昨日のお天気。いやすぎ

美術館で初詣

2016-01-03 | Museumsとイベント
 元旦は例年通り(ヲイヲイ)の超寝正月、起きて、ご飯食べて、こたつでニュースなど読んでいたら、ついウトウト…でしたが、今日は初詣を兼ねて、若息子と美術館へ。なぜ初詣かといいますと、日本国外で仏様や神様が鎮座なさるのは、美術館だからです。NYCではメトロポリタン美術館、ワシントンDCではフリーア東洋美術館が、私の神社仏閣でした。そして、ここオハイオの片田舎では、デイトンのアート・インスティテュート。日本だけではなく、仏教国各国のお釈迦様が大集合なさっています。で、日本美術のセクションにおわす大仏様や観音様にお参り。

     
DAIにおわすお釈迦様と観音様


 家帰ったら、上息子がこんなんなってた。
   

The Art of the Brick in Cincinnati

2016-01-01 | Museumsとイベント
 3年連続で、大晦日は博物館訪問のわに親子、いっそ、これを伝統にしてしまいたい。今日はシンシナティ・ミュージアムセンターへ、レゴ・アートの第一人者、ネイサン・サワヤ氏の作品展を見に行きました。サワヤ氏とレボブロックで作った作品についてはWIRED紙の記事を御参照ください。入場料が20ドルとお高め(息子らと、同じ展覧会をスミソニアンでやったら、きっと入場無無料だよね、と囁きあった)で、学割も効かないんで3人で60ドル。痛い。でも実は、世界を巡回中のこの展覧会が、ロンドンでオープンした時には、日本でもネットで取り上げられており、興味を持っていました。その実物が、中西部のビッグネームでもない博物館でを見られるのはラッキーなんだ、と、言い聞かせて財布の紐を緩める私。

 実際の展示を見る前に、サワヤ氏のインタビューや制作風景を含む、短い紹介のビデオを観ます。弁護士だったサワヤ氏は、元からアートに興味を抱いていたのですが、レゴをメディアに自分のアートを制作しようと思い立った理由は、誰でも知っていて、簡単に手に入るからだそうです。そして、どんどん写真をとってください!という、係員さんの声とともに、展示会場に入場。最初の展示は、名画をレゴで再現した作品群で、北斎の富獄三十六景やモナ・リザ、レンブラントの自画像、ゴッホの星月夜、そして下の「叫び」等、全く二次元ではなく、レゴならではの3D表現が、陰影を作って面白い。展示全体で、光の当て方が工夫されており、それを含めての「展示」なのでしょう。

 レゴの実物大キャラクター等は、レゴショップの店頭にだって立ってるし、何ら珍しく無い。でも、それを更に進めて自己表現の道具にしたところが、新しいのかと。また、自分の作品を楽しんでくれる子供たちのために、ティラノサウルスの骨格をレゴで作ったり、インタビューの様子でも気さくな感じで、人柄の良さもきっとアーティストとして認められるために貢献したんじゃないかと思います。ヤな奴だっら、はぁ、レゴでアート?レゴ・ランドにでも買ってもらえ、ってなりそうじゃない?昨今は、アーティストですから、って孤高の人してたら売れなさそう。

      
レゴで名画や有名な彫刻が再現されていたり

      
モアイ像があるかと思えば、現代社会を映す作品あり

   
シンシナティの空を豚が飛び、8万個のレゴを使ったティラノの骨もある


 レゴ絵画は、基本的にはドット絵みたいなものでしょうか。下の左の絵は、近くから見るとなんだか判らないけど、少し離れると女性の絵だと判る。作品制作にはコンピューターを使うこともあるそうですが、こういうドット絵的な作品は、コンピューターを使ってるのかな?右の「Yellow」は、多分、サワヤ氏の作品の中でも最も有名なもの。自分自身の変化(メタモルフォーゼ)を表した作品なのだそうです。

   

 私が一番、興味を惹かれたのは、フォトショでレゴ作品を写真内に織り込んだ一連の作品群です。リアリスティックな絵画調の写真の中の人物は皆、一応に表情がなく、孤独が感じられ、エドワード・ホッパーの絵画を髣髴とさせるような寒々しさに満ちています。下の写真のようにレゴ作品という虚構を組み込まれた、どこかレトロなアメリカの風景は、いろいろな解釈が楽しめます。

   

   


 一通り展示を見終わったら、ちゃんと写真撮影用のセットアップを用意されています。ここで、同じポーズをして記念撮影は、お約束。たまにイスを引っ張って、対話する人もいるようですがwww

   


 この後は勿論、レゴで遊べるスペースと、売店。子供たちばかりではなく、子どもと一緒になってお父さん、お母さんが一生懸命、何かを作ってる光景も。見に来ているのは、子供連れが多く、子供たちは子供たちで創造性豊かなレゴの使い方に感化され、大人は、解りやすいモチーフで表わされる現代社会の写し絵に思う所あり。お馴染みのレゴを使い、子供たちにも親しみ易い「Art」は、万人のためのアートであるとも言えそうです。これは、芸術というものの新しい方向を示しているようにも思えました。高かったけど、見応えのある展示だった!