実は、この映画の内容は何も知らず、図書館で見つけて「これ、最近、日本で公開されてた映画やん」と、軽い気持ちで観たのですが、ネグレクト、麻薬、移民問題を背景に、大人の身勝手さゆえに施設に預けられた子供たちを描いた思いないようでした。日本の公式サイトはこちら。
ストップアニメーションの登場人物たちは、大きな目に、目の周りのクマというブキミなような、ユーモラスなような造形。表情が実に豊かで子供たちがのお話が、こんなにもシビアだとは思ってもいませんでした。

アル中で育児放棄の母親を、9歳の男の子が意図的ではないにしろ死に至らしめてしまうという、いきなりヘビーに始まった映画は、その後、孤児院にいる子供たちの境遇が語られ、ますますシビアに。主人のズッキーニが赤ん坊のころの両親の写真では、「若い雌鳥を追いかけて」出ていってしまった父親の部分が破り取られています。ズッキーニの宝物は、父と雌鳥を描いた凧と、母の形見の空のビール缶、そして、母が呼んでいたニックネームである「ズッキーニ」。
まん丸い見開いた目や青い髪に、「ブルードッグ」を思い出しました。ブルードッグは、死んだ犬なんだけど…
親切な警官、レイモンに連れられて、ズッキーニは、養護施設に住むことになります。そこに住む子供たちは、現代の大人達の社会問題の被害者です。刑事が嫌いで、レイモンが来ると2階から水をかけるアメッドは、父親がモールで息子のために靴を盗んで捕まり刑務所にいる。車の音がするたびに「ママ?」と、玄関を飛出すアフリカ系のベアは、不法移民の母親が強制収監されている。でも、その母親が収監書を抜け出して会いに来た時には、ベアは隠れてしまうのです。
そして、アフリカ系のベア、母親が精神病のジュジョブ、そして、父親から性的虐待を受けていたことを匂わせるアリス。リーダー的存在のシモンは、両親が重度の麻薬中毒です。壁には、子供たちのその日の気分を示すお天気メーターが貼られていますが、シモンの気分は、いつも土砂降り。このお天気表も含め、小型録音機、紙で折った船、赤いゴーグル、そしてズッキーニの凧… 小物の一つ一つに意味があります。
そこへ、父親が母親を殺して自殺したという、これまたヘビーな過去を持つ女の子、カミーユがやってきます。ズッキーニは彼女に一目惚れ。子供たちは外の学校へ通わず施設内で教育を受け、まるで外の世界から護られているようですが、雪山に泊りがけで遠足に行ったり、ズッキーニとカミーユがレイモンと遊園地に行ったりもするので、決して、隔離され閉じ込められているわけではありません。
子供たちは皆、本当に愛おしいのですが、中でも抱きしめたくなっちゃうのが、悪ガキを気取るシモンです。クールなストリートスマートを気取るシモンが、帰り道のバスの中で眠っている時、指をしゃぶっている。そんな細かい演出が素晴らしい。
2016年のアヌシー国際アニメー ション映画祭で最優秀作品賞と観客賞の2冠に輝いたほか、第89回アカデミー賞でも長編アニメーション賞の候補担っている今作品、Rotten Tomatoesでも高い評価を得ていますが、私もまた、100%を付けたいと思います。素晴らしい、そして心に残る作品でした。

この子達の未来に幸多きことを!
ストップアニメーションの登場人物たちは、大きな目に、目の周りのクマというブキミなような、ユーモラスなような造形。表情が実に豊かで子供たちがのお話が、こんなにもシビアだとは思ってもいませんでした。

アル中で育児放棄の母親を、9歳の男の子が意図的ではないにしろ死に至らしめてしまうという、いきなりヘビーに始まった映画は、その後、孤児院にいる子供たちの境遇が語られ、ますますシビアに。主人のズッキーニが赤ん坊のころの両親の写真では、「若い雌鳥を追いかけて」出ていってしまった父親の部分が破り取られています。ズッキーニの宝物は、父と雌鳥を描いた凧と、母の形見の空のビール缶、そして、母が呼んでいたニックネームである「ズッキーニ」。
まん丸い見開いた目や青い髪に、「ブルードッグ」を思い出しました。ブルードッグは、死んだ犬なんだけど…
親切な警官、レイモンに連れられて、ズッキーニは、養護施設に住むことになります。そこに住む子供たちは、現代の大人達の社会問題の被害者です。刑事が嫌いで、レイモンが来ると2階から水をかけるアメッドは、父親がモールで息子のために靴を盗んで捕まり刑務所にいる。車の音がするたびに「ママ?」と、玄関を飛出すアフリカ系のベアは、不法移民の母親が強制収監されている。でも、その母親が収監書を抜け出して会いに来た時には、ベアは隠れてしまうのです。
そして、アフリカ系のベア、母親が精神病のジュジョブ、そして、父親から性的虐待を受けていたことを匂わせるアリス。リーダー的存在のシモンは、両親が重度の麻薬中毒です。壁には、子供たちのその日の気分を示すお天気メーターが貼られていますが、シモンの気分は、いつも土砂降り。このお天気表も含め、小型録音機、紙で折った船、赤いゴーグル、そしてズッキーニの凧… 小物の一つ一つに意味があります。
そこへ、父親が母親を殺して自殺したという、これまたヘビーな過去を持つ女の子、カミーユがやってきます。ズッキーニは彼女に一目惚れ。子供たちは外の学校へ通わず施設内で教育を受け、まるで外の世界から護られているようですが、雪山に泊りがけで遠足に行ったり、ズッキーニとカミーユがレイモンと遊園地に行ったりもするので、決して、隔離され閉じ込められているわけではありません。
子供たちは皆、本当に愛おしいのですが、中でも抱きしめたくなっちゃうのが、悪ガキを気取るシモンです。クールなストリートスマートを気取るシモンが、帰り道のバスの中で眠っている時、指をしゃぶっている。そんな細かい演出が素晴らしい。
2016年のアヌシー国際アニメー ション映画祭で最優秀作品賞と観客賞の2冠に輝いたほか、第89回アカデミー賞でも長編アニメーション賞の候補担っている今作品、Rotten Tomatoesでも高い評価を得ていますが、私もまた、100%を付けたいと思います。素晴らしい、そして心に残る作品でした。

この子達の未来に幸多きことを!