わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

幸せの名残 Possum Creak Metro Park

2015-11-29 | 田舎暮らし
 気温は低いけど、すっきり晴れ上がった連休最後の日、デイトン郊外ポッサム・クリーク公園の『アルゴンヌの森』遊歩道を歩いてきました。駐車場に他の車はなく、肌寒い今朝の公園に繰り出してきたのは、どうやら私とモカだけみたい。

   
アルゴンヌの森 遊歩道への入り口

   
何かの囲い跡があったり、急に開けたプレーリーに出たり。

  
アルゴンヌ湖にでました。湖というには小さいけど釣りやボート乗りも楽しめます。今日は水鳥は湖面に浮かんでいるだけでした。


路面電車を再利用したキャビンの名残。1941年のお家賃は一ヶ月12ドル。電気も水道もガスも下水もなし。こんなキャビンが何件かありましたが、今は一か所のレール跡を残すだけです。生活するには、かなーり小さいけど、数泊ならキャンプ気分で泊まってみたかったかも。


ここには川を堰止めたプールが有りました。川向うには未だ、飛び込み台や石の階段が残っています。説明看板にあった昔の写真では、向こう側に野球場が見えますが、今はすっかり森に覆われています。水は一年を通して冷たかったそうですが、夏には賑わっていたそうです。


かつては橋がかかっていましたが、今は橋梁が一本だけ


石造りの橋桁造り古写真とその橋桁。私が下を流れる川を覗くと犬も覗くw


自然にこうなったのでしょうか?不思議

   
も一つ、謎の木と紅葉の残る茂み

 この遊歩道コースは、1930年代から40年代始めに存在した、Argonne Forrest Parkの跡地をめぐります。第一次大戦中、フランスのアルゴンヌの森で戦った第332補給部隊に因んで名づけられた娯楽施設で、プールやダンスホール、射撃場、レースコース、野球場があり、キャビンや路面電車が設えられていました。今は、森の中で鳥の声を聴きながら、よく整備された遊歩道を歩いていると、時折、その名残に出会うだけ。

 ダンスホールの跡。わたしも踊ってきました。今日のわたしのいでたちは、ピンクのユニクロ・ダウンに。麦わらの帽子。この姿を遠目に見た人から、「舞踏場跡では、未だなお、桜色のドレスに身を包んだ金髪の女性が踊る姿が見られることがある」なんて幽霊譚が始まるかもよ?

グランマ・モーゼス

2015-11-28 | Museumsとイベント
 ネットで、スパゲティーを茹でる前に数時間水につけておくと、モチモチの食感になって、しかも茹でる時間が削減されて節約という記事を読み、さっそく試してみました。結果はモチモチじゃなくてベタベタ。激マズです。仕方ないんで、アメリカの主婦の最終手段、キャセロールにしてしまいました。日本だと煮物の味付けに失敗したら、カレールー突っ込んでカレーですが、アメリカじゃ失敗作の上にチーズとキャンベル・スープ掛けてオーブンで焼くんである。ベトベトパスタをバターで炒めて、缶詰ツナを乗せ、チーズありったけぶっかけて焼くこと小一時間。美味しくもないけど、取り敢えず食べられるものにはなった。ツナとチーズは偉大。

 連休3日目は、またも雨。さすがに家でゴロゴロも飽きたので、毎度おなじみ、デイトン・アート・インスティテュートへ行きました。今回の目当ては、先週末から始まったグランマ・モーゼスの特別展。古き好きアメリカを独特のタッチで描いた作品は、日本でも人気ですよね。30年近く前に神戸の三宮で開かれたグランマ・モーゼスの展示会に言った時に買った目録、今も時折眺めます。今回の展示の面白いところは、有名な絵画作品だけではなく、その基盤を築いた刺繍作品や、絵のモチーフとなった元絵も展示されている事。刺繍作品は、どんなに公開鮮度の印刷でも、本当の質感は伝わらないものなので、貴重な展示です。

 ネットでは時折、マンガやイラストの「パクリ」が吊るしあげられていますが、モーゼスおばあちゃんは雑誌等で気に入った図柄をカーボン紙でキャンパスに写し取り、作品中でモチーフとして使っていたそうです。そのカーボン紙や、絵画中に見られる馬車等のオリジナルも隣りあわせて展示されており、とても興味深かったです。展示の説明で、たとえ、元々のモチーフは切り抜きから写し取った物とはいえ、それをどう配置し、自分の作品に取り入れるかは全く彼女のオリジナル、と、何度も説明されていましたが、そんなの見れば一目瞭然。

 確かに元絵のパターンは残すものの、独特のタッチは見紛えることなく彼女のもの。元々は、刺繍から始め、78歳でリューマチで針を持つのが難しくなったから、趣味の「手仕事」の方法が絵画へと変わったので、既存のパターンやモチーフを利用するのは、彼女にとって自然な流れだったのかもしれません。現代でも、雑誌等で得た元絵やパターンの刺繍は、ごく普通に使われている方法ですし、彼女に「パクリ」の概念はなかったでしょう。以前は、プロでさえ堂々とグラビア等のポーズやファッションを真似たイラストを発表していましたし、それらが、ごく普通に受け入れられていました。現在はデジタル技術が進み、トレースや加工が簡単にできるようになって、模写や模倣に対する風当たりが強くなり、「インスパイアされた」作品がパクリと批判されかねない傾向があるように思います。

 フランマ・モーゼスの作品群を見ていて、パクリとオリジナルの境界線はどこ?って、ちょっとだけ考えてしまいました。だって彼女の作品って、文句の付けようなく「オリジナル」だもの。彼女の描く「古き好き」アメリカは、全てが彼女が目で見たものではありません。雑誌で見付けた絵や写真を写しとって、自分の世界の中に取り入れました。

    
彼女の作品は「幸せ」を切り取ったよう

   
刺繍作品でも、繊細さではなく、むしろ大胆なタッチが感じられます


 この展示では、グランマ・モーゼスの刺繍、絵画作品だけではなく、彼女愛用のお手製のエプロンや小さなアトリエの複製も見られました。なんとなくなく、ちっちゃなおばあちゃんってイメージが合ったので、けっこう大柄なエプロンにはびっくりでしたが、彼女は農家のおかみさんですものね。他にもアメリカン・サンプラーという刺繍やキルトも、同時代の手仕事作品も。この展示会を回っている間中、ずっと私はニタニタしていたと思います。だって、見ているとなんだか幸せになっちゃうんだもの!

黒い金曜日

2015-11-27 | 田舎暮らし
 って、日本語にすると、まるでホラー映画のタイトルのようですが、事実、今日のWal-Martはホラーなんではないかと。全米最大のお買い物日は、この日までずーっと売上げ赤字だった小売店が、黒字に一転することから、ブラック・フライデーと呼ばれます。サンクスギビングはいつも11月の第4木曜日と決まっているので、当然、その翌日はフライデー。

 毎年、朝早く、時には前夜から、一日セールの開店前に並ぶ買い物客が風物詩でしたが、開店時間がどんどん早まり、遂には午前12時ジャストに開く店が出たかと思えば、翌年には掟破りのサンクスギビング当日午後開店の店が。このまま、もーサンクスギビングも普通に開いててもいいんじゃね?の方向に進むのか、逆に、やっぱり家族が集うことを目的とする日としての伝統は護ろうと、結局は元のように落ち着くのか、はたまた、通販でいいじゃん!で、11月後半がバーゲンシーズンになって終わるのか、将来の行方が興味深いところです。

 家族が共に集う日に働く人がかわいそうだから、感謝祭に店を開けるのは反対と言う人も多いのですが、一人暮らしだと別にすることも無いんで、特別給与でこの日だけバイトしたいくらいよ、あたしは。実際、そんな人も多いんじゃないかな。誰にでも必ず、共に過ごす家族がいるという前提の下で、「それを犠牲にしてまでお金を稼がなければならないなんて可哀相」って、上から目線だなーって思っちゃう。

 そこらじゅうでバーゲンやってる日のお店は、貧乏なくせに物欲の強い私には超が付くほど鬼門。特に必要な物も欲しい物もない。むしろ、要らん物が家中に散らかって、断捨離ってのした方がいいくらい。本当は日本のクレジットカードが欲しいんだけど、そんなモノを手にした日にゃ、電子書籍を買いまくり、いつまで経っても車のローンが返せなくなりそうでキケン。

 今日は周りにお店なんか無い公園で犬の散歩と思ってたら、朝から雨。この辺り、よっぽど日ごろの行いの悪い人が多いのか、週末になるとお天気悪くなるの。だから今日も昨日と同じくネット通してドラマやアニメ見たり、作り置き出来るお料理したり、お掃除の合間に「蒼天航路」を全巻読んだ。なんか、年に一度の恒例行事になってるw 持っているのがお友達が日本からわざわざ送ってくれた文庫版。電子書籍で揃えたいタイトルの筆頭ですが、ほらね、やっぱ日本のクレカなんか入手したらキケンでしょ?

いや、全然良くないから

ところで、平野耕太「ドリフターズ」の4巻いつ出るの~?「よつばと!」の13巻が出たけど、一体何年ぶりだっけ?で、「聖☆おにいさん」の12巻出てる!やっぱり電子書籍を… いやいや!いかん、いかん!!

 

下町ロケット

2015-11-26 | 映画・ドラマ・本
Happy Thanksgiving!

と、言いましても、私、日本人やし、だいたい単身赴任(?)ですやん。特に七面鳥好きでもないし、バーゲンも興味ないし、会社4連休でヒマなだけですやん。Thanksgiving(感謝祭)は、飢えてたピルグリムを現地民が哀れに思って食べ物を分けてあげて「GivingしくれてThanks」が源なので、満腹になっても更に詰め込む勢いで食べまくり、その後は散歩というのが正しいパターンらしく、いつもは無人の公園を歩くご家族やカップルも多い。ならば、誰もいない公園を勝手に犬を走らせるのが好きな私と愛犬としてもつまらん。で、家にお篭りでテレビ見ました。うちには中古で譲ってもらった42インチのテレビがありますが、サテライトもケーブルも入れていないので、ひたすらDVDかPCのストリーミングで使うだけ。昨今は、日本の人気ドラマも、アメリカで直ぐに見られるんだから良い時代になったものです。

 で(前振り長っ!)、人気ドラマだという「下町ロケット」を第6話まで一気見しましたよ。原作の下町ロケットのほうは、文庫本になったときに買って読みましたが、読むだけでは私などにはまるで理解できなかったバルブのシステムや磨き具合の差等が画像で見られるし、CGを使った丁寧な説明もあって、いっそう楽しめました。今回もカリカチュアされたようないやんな銀行員が出てきます。困った時には手を差し伸べず、調子がよくなったらまた取引しろなんてふざけるな!のシーンは、半沢直樹の復讐譚クライマックスを髣髴させる「この印籠が目に入らぬか!」モーメントなんだけど、銀行さんもビジネスだしねぇ… 実際、助けたくても無理と言う状況は多いと思います。娘の、友達の親の会社が倒産しそうだから助けてあげて!という頼みを断る航平と全く同じではないかと。ってゆーか、会社の金を勝手に1億使ったら、いくらオーナー社長でも、それ犯罪だから。娘にもそう説明したほうがいいんじゃないの?

 大企業の監査チーム、下請けの分際で~!中小企業の癖に~!って、偉そうですが、実際は殿村さんの言うとおり、下請け側だって、自分の部品を売る相手を選ぶ権利があるのです。特許を持っていて、他社では作れない製品を持つ部品会社なんか超強いじゃありませんか。ただ、これを言い出したのが、元々は大手都銀の行員であった殿村さんで、ムカついたり、萎縮しちゃった佃製作所側が何も言えなかったのには、下請けとか中小企業の社員であることへのコンプレックスが示唆されていたなら、哀しくも怖い。一方で、大企業に働くエリートであることを鼻に掛ける監査チームの面々は、どうやって洗脳したらこうなるのってほど、自分がその会社の社員であることを誇り(本社勤務ならまだ、現地雇でさえそうだもんね)、当社の部品を作れることを光栄だと思えとかって言い出す某社がモデルなんでしょうけど。私、悪名高き行政監査に付き合ったことあるけど、超エリートなキャリア官僚様ですら、監査中は慇懃な態度を決して崩さなかったものですよ。


 最初のロケットのお話がとてもきれいに大団円を迎えたのに、続き?と、思ったら、今度は心臓弁開発のお話へ。これからも展開が楽しみ。朝日新聞のサイトで原作「下町ロケット2」が始めの数話だけ公開されていますが、本のほうは書き足し部分も多いそうなので、文庫になったら読みたいな。

 「2」は、他の追随を許さない技術力でこの先も安泰と思われた佃製作所にライバル登場、そこへかつての社員の伝手もあり、人工心臓弁の制作に取り掛る決心をしたところで、第6話(ガウディ計画の第一話)が終わりました。トライアル品の中にわざと不良品を混入させた真野の行為は、立派に犯罪だと思うのですが、日本じゃそうはならないのかな?その彼を暖かく迎え入れるのは、いくらなんでも寛容すぎないかと思うのですが。彼とともに製作所を訪れたのは、心臓外科医の一村教授と編み物用の糸の会社を経営する桜田さん。一村教授はゴッドハンドと呼ばれるほどの外科医でありながら、田舎のおっさんって感じの風貌が良いですね。ドラマやアニメの一流外科医といえば、ギラギラした男前って先入観あるんで。「医龍」の浅田とか、天才外科医の代名詞「ブラックジャック」とか(間黒男はハンサムなんです!見た目だって絶対スーパーカッコいいんです!!異論は認めない)。

 桜田さんに、佃が、なぜそれほど臓弁開発にのめり込むのか?と聞いた時、「娘が心臓病で死んだんでしょ~」と思ったら、ホントそうだった。「1」でも、佃製作所を特許侵害で訴えたマネムラこと中村工業へのカウンターメジャーが、「(そんなマネばっかしてる会社なら、特許たくさん持ってる佃の真似してるの他にあるに違いないから、)逆訴訟でしょ~」と思ったら、そのまんまだったように、予定調和が混ざるのも人気の秘密かな?

 このドラマの魅力は当然、熱くなれるお話に加え、演じる役者さん達の魅力ですよね。日本を離れて長く、新しい芸能人に疎い私がたまに日本の映画やドラマを観ると、あの人がこんなオジサン、オバサンに?!と驚くのですが、今回も、かつてはヤンキーの兄ちゃんっぽかった吉川晃司に世良公則の中年ぶりに「ワチャー!」ですよ。佃航平のお母さんが、倍賞美津子さんってのも、ホエー!そりゃ、原節子さんが95歳ですものねぇ…

 吉川氏の財前部長はスタイリッシュで、いかにも高級そうなスーツ姿もかっこいい。昔、デビュー直後の吉川浩晃司さんをお見かけしたことがありますが、背の高い人だなぁという印象でした。体格が良いので、実際以上に高く思えたのもありますが。その吉川さんより、更に頭半分高い阿部寛さん、あんたはどれだけ高いのよ?と。公式によると、吉川さんは182cmで阿部さんは189cmとありますが、絶対どっちかがサバ読んでるよね。あの身長差が7cmなワケないよ~

 一方、世良公則氏は、立派に脂ぎったおっさんになられましたね。名誉と権力に取り憑かれた医師って役割が説得力あります。黒塗り高級車と料亭が似合いすぎ。越前屋お前も悪よのぇ、ってセリフが出てきそうでワクワクする。ライバル会社の社長が小泉くんも、根回し得意な若手政治家風な、頭いいけどコスい男がシャレならんほどハマってます。

 社長の杉良太郎さん、私世代には遠山の金さんなのですが、流石に貫禄ありますね。大企業の社長たるもの、これほどの権力と威信を持つものかと感心しました。ここは議事堂か?ってほどの重圧な会議室へ向かう廊下、007の悪の組織並みに重圧名重役会議室。そこで圧倒的存在感を示す、杉氏の社長。実際社会だと、世界の大企業、トヨタの幹部なんかそんな感じなのかしらん、と、思ったら、タイミングよすぎでトヨタグループの総帥・豊田章男トヨタ社長の親戚で、参加会社の製造本部副本部長が、女子大生に採用と引き換えに完成を迫る、なんてニュースで、トホホ… しかし、そんなに美人でセクシーな女子大生だったのか、ぜひともご尊顔を拝んでみたい。イメージは壇蜜www

 原作者の池井戸潤氏は、半沢直樹も慶応大学出身、今回も主人公たちの出身校が慶応大学の理工学部で、自分の卒業した大学を愛してるんだな、と、思います。でも、ご自身は、経済学部でも理工学部でもなかったんですね。ちなみに、半沢直樹シリーズは、実際に池井戸氏と同学年で、経済学部金融ゼミ出身の私には、身につまされる事が多くて気軽に読めませんでしたよ…

KUCHIRU

2015-11-21 | 田舎暮らし
 隣町にある巨大廃病院、前を通る度に気になっていたのですが、今日は遂に近寄ってみました(物好き)。ネットで廃墟サイトなどを観ていても、日本だと廃病院は、そのおどろおどろしい雰囲気から、心霊がらみで紹介されることも多いようですが、こちら、どんよりした灰色の空と、葉の散った後の寒々しい光景の中というお膳立ては最高にもかかわらず、あっけらかーんと乾いた光景というか、なぜか湿った情緒にかけるのは、アメリカだから?















  


 多くの廃墟に漂う、そこはかない哀愁が感じられない理由のひとつは、このお隣に新しい大病院が建っているからかも。でも、街の中心にこれだけの土地を放ったらかしにしておけると言う事実が、街の廃れ具合を象徴して、そのほうが哀しい…
 

Spectre:007最新作 スペクター

2015-11-15 | 映画・ドラマ・本
 観てまいりました!仕事を保留して、昼食会のお誘いもお断りして(私がタダ飯をパスするとはただ事ではない)、愛犬の恨めしげな目線も無視して隣町へ。存亡の危機が心配される隣町の映画館では、午後4時までの上映回はなんと$3.99という破格のお値段。それでも、興行成績が二週連続最高のこの作品の観客は、ざっと30人程度。ここ以外には近辺に映画館は無いので、先行きが凄く心配…

 「007の作り方」シリーズだったダニエル・クレイグ版ボンド・ムービーも、宿敵スペクターの首領、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドとの対決を描いたこの作品で、一応は役目を終えた感じです。昔っから007シリーズを何度もテレビの洋画劇場等で見てきた世代には、「おっ?!」なオマージュや、キーポイントも多くて、その点は大いに楽しめました。そして、007シリーズと言えば、トンデモなスパイ・ガジェットと、エキゾチックな世界の風景の中で来る広げられるアクション、そして、もちろん、
 欧州車、かっこいー!!(絶叫)

 でも、もう一つの十八番、ボンドガールがゴージャスすぎー!に、関しては、ちょっとトホホ…orz でした。写真や予告編、お話や裏話が紹介されている、日本の新作映画紹介サイトのここ、「007最新作『スペクター』あらすじ、キャスト、公開日まとめ」によると、今回のボンドガールは3人。まずは、冒頭でボンドと格闘するマフィアの未亡人、モニカ・ベルッチ。二番目に出てくるのが、マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)、そして3人目のエストレヤ(ステファニー・シグマン)に至っては、ごめん、どこに出てたっけ?です。

 あの「マレーナ」のエロエロお姉さんももう51歳ですよ。ボンドガールは20年前にやって欲しかった…orz 熟女で、重要人物の奥さんで、ボンドとの濡れ場の後に、あっと言う間に退場、という所も、もちっと若いころに出て欲しかったってとこも、「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」(1999年)のエレクトラをやった時のソフィー・マルソーを思い出す。「ラ・ボエーム」で、日本でも大人気でした。最近の大人の女性の彼女は素敵だけど(フランス人の中年女性って、特に魅力的な気がする)、ボンドガールをやった30歳の頃は、ちょうど旬を過ぎたって感じで、ちょっと哀しかった…
  

  
クレイグ・ボンドは熟女好み?十分に美しくセクシーではあるのですが、やっぱりねぇ…


 そして、世界的悪の組織、スペクターの元暗殺者、Mr. Whiteの娘で物語の鍵を握るドクター・スワンは、役割は、強く、美しく、知的でボンドをめろめろにしちゃうという典型的ボンドガールながら、いかんせん、あんまり魅力ない(ごめん)。ボンドガールは、その時代の最もゴージャスな女優さんが演じてきた役割で、代々、人間離れしたようなセクシー美女が選ばれてきたのですが、クレイグ・ボンドの〆を飾るには、少し物足りない気がしました。アップになるとすきっ歯が気になるし、なによりデカいので、お隣のボンド氏が貧弱に見えちゃうシーンも(><)

あんまり美人じゃない…


ここから先は、ネタばれ満載。日本公開まで待てない方だけ、ご覧くださいまし:




 「死者の日」のパレードで沸くメキシコ・シティー、骸骨面で仮装したボンドは、マフィアのボスを追ってお祭りに参加する人々に紛れ込んでいます。標的である男が屋内に入ったのを見計らい、ボンドと同伴の美女もホテルへ。そこで、あっさりベッド上の美女を置いて追跡続行。あ、上でどこに出てたか謎のボンドガールって、もしかして、このセクシー下着のまま置いてけぼりのお姉さんか?派手な銃撃戦の末、建物の壁は崩壊するわ、ヘリコプター上の揉めあいで、人で溢れる広場上で何度も落っこちそうになるわ、パリのことがあった翌日だけに、このオープニング・セクエンスには、少し複雑な心境でした。始まる前の予告では、アメリカの大統領がテロリストの標的になって、ロンドン中が爆発しまくる映画が紹介されてたんだけど、これってもし、日本だったら中止になりそう。

 メキシコシティーでの派手なスタントは、前のMの非公式な指令による、悪の組織を探るためで、勝手な行動を今の上司のMに責められ、謹慎を言い渡されます。レイフ・ファインズのMはどうも未だ、普通に諜報組織のボスらしすぎて馴染めないな。一方、元Cのマックス・デンビーは、MI6を併合したMI5のボスに納まっています。演じるのは、BBCの「シャーロック」でモリアーティーしてたアンドリュー・スコット。どうしても小物に見えてしまう容貌が、モリアーティーとしては違和感あったんだけど、セコい方法で出世して、自分は巧くやってるつもりが結局は敵・味方(?)双方の掌の上でアタフタしてるだけの、この役にはぴったりでした。そして、引退したおじいちゃんQに替わって、前作から登場した若Q、上で紹介したサイトによる「クールなイケメン」って、それ違うから。全然違うから

いまどきのオタク青年。ノート型PCに色んなシールが貼ってあるのが、いかにもテッキーっぽい
雰囲気がウチの若息子に似てるのもあり、私のお気に入り


 009用のスパイカーをかっぱらい、ボンドは一路、ローマへ。経験豊かなボンドに軽くしてやられちゃうところも、若いQの魅力です。ローマでは自分が退治したマフィアのボスのお葬式中。その未亡人で秘密を知りすぎたルチアさんが、相変わらず美しいけど、やっぱ「ガール」は厳しいモニカ・ベルッチ。マフィアから奪った指輪に刻印されたタコ印の秘密をルチアさんから聞き出し、その悪の組織、スペクターの会合へ。スペクターってのは、英国語で「幽霊」の意味なんだって。だから死者の日なのか。イアン・フレミングの原作や、ショーン・コネリー時代の悪役だけど、映画と原作者の間で揉めて、しばらく使えなかったそうです。初期のボンド・シリーズで暗躍していた組織が、ここで現れたことで、「007の作り方」が完成したのだな、と、感慨。

 その会合で姿を現したスペクターの首領は、フランツ・オーベルハウザー。登山事故で両親をなくした幼きジェイムズ君を引き取ったオーベルハウザーさんの息子で、ジェイムズ君とは兄弟のように育った仲。父と雪崩に巻き込まれて死んだはずでしたが、実は生きていて、せっせと悪の組織を作ってました。その偽名がエルンスト・ストラヴォ・ベルフォルド。この名前でピンとこなくとも、ハゲで片目でいっつも白いペルシアネコ撫でてる悪役、「オースティン・パワーズ」のドクター・イーブルの元ネタといえば、ああ、あれね、になる?白いペルシアネコも出てきます。この映画での私の一番気になるのが、この猫さんの安否だったりする。次の作品では、ちゃんと顔の出ない悪者の膝の上に座ってるかな?しっかし、すごい前振りのあとで顔出ししたスペクターの首領が普通のおっさんだったのは結構ずっこけた。

 その後、クオンタム(スペクターの下部組織)の元・暗殺者Mr.White(慰めの報酬に出てた人ね)に会いに行って、今際で娘のことを頼まれます。雪山に行って飛行機と車でカーチェイスしたり、パリでカーチェイスしたり、風光明媚な街をかっこいい車が走る。007シリーズの醍醐味だねぇ。Mr.ホワイトの娘、マデリン・スワンと合流してからは、モロッコに行ったり、列車の旅したり、砂漠の真ん中に行ったり、拷問にあったり、世界中のインターネット情報を操る本拠地である敵のアジトを爆発したり、ロンドンでM、Q,マニー・ペニーと合流したり、これまで辛苦を共にしてきたマデリンに「アンタはスリルを求める生き方は変えられない男よ、もー、よーついていけんわ」と、三行半下されたり。で、その途端に案の定、フランツに捕まってましたw

 「スカイフォール」で廃墟になっちゃった旧MI6HQ、手の込んだ仕掛けで待ち構えるフランツ。この間の爆発でしっかり、おなじみの片目姿になっています。でも、まだハゲにはなっていない。何度もボンドを仕留める機会があるのに、毎回、持って回ったやり方で逃げられてしまうという、悪役の典型的な失態を犯し続けるフランツ兄さん、やっぱり弟のようなジェイムズが殺せないんでしょ。憎い、でも可愛い、でも憎いっ!なのね、と、変に納得。今回も一気に殺さず、爆発寸前の建物のどこかにマデリンがいると言い、みすみす見殺しにしてしまったヴェスパー(「カジノ・ロワイヤル」のヒロイン。エヴァ・グリーンが美しかったね)のことも蒸し返す。当然、ボンドはマデリンを救出し、フランツはヨタヨタで逮捕されます。「殺しのライセンスは、殺さないライセンスでもある」という台詞が真ん中辺りで出てきますが、その通り、ボンドはフランツを殺さない。兄弟愛だねぇ(←??)

左は一体、どういうシチュエーションなんだろう?


 そして、Mたちを残してボンドはヒロインとかっこいい車に乗って去っていく。ここだけは、往年の007を倣っていますね。一貫、シリアスだったクレイグ・ボンドはこれで一件落着。今度のボンドは、ロジャー・ムーア、ピアース・ブロスナン路線の、軽くて女性にモテモテで、とんでもガジェットがいっぱいのボンドがいいな。でも、この夏ヒットしたメリッサ・マッカーシーの「スパイ」や、ジョニー・イングリッシュ等、パロディーの良作が出てきちゃって、今度は本家のほうがパロディーになっちゃうかしら?

 007の敵の歴史は、宇宙競争、核ときて、今度はITと、時代を反映しています。情報を一手に収めて世界征服を図るって、ちょーっと今時ありがち過ぎる設定だったかな。こないだ観た「Furious 7(ワイルド・スピード SKY MISSION)」と超かぶる。そういや、「キングズ・マン」もITがらみだったわ。二時間半の上映時間は、途中で結構中だるみしたし、入れ替わり立ち代り、セクシーなボンドガールが続々出てくる楽しみも無い、。この映画で一番チャーミングなのは、マニー・ペニーで、またも真ヒロインは旧Mさんだったような気がする。写真とビデオだけで並ならぬ存在感を示す大女優、パねえっす。で、Mは実はインドのマリゴールド・ホテルで悠々自適の第二の人生なんだよね?

以下、おまけ
      
       メキシコでハッスル、と、ネットで見つけたはまりすぎるコラ

秋が行ってしまった

2015-11-08 | 田舎暮らし
 我家の前には、立派な樫の木が立っています。夏の夕方には西日を遮ってくれるし、道路に面した窓の目隠しにもなる有り難い存在ですが、この時期、葉っぱが落ちる、落ちる。黄色い落葉のカーペットは綺麗だし、このまま冬になり雪の下に埋もれて春には堆肥になり、緑の芝を養う豊かな土になってくれるでしょう。でも、いかんせん、それはご近所的には許されない。大家さんに怒られる前に、午前中のうちに、せっせ、せっせと二時間ほど落葉かきしました。明日はきっと筋肉痛。とほほ…orz 

 午後には、Peanuts映画を見に行きたいな、新しい007の映画も観たい。それに、お天気いいから犬連れて遠出したいと思っていたけど、無い体力を使い果たして、コタツに首まで潜って、おやつ食べながらネットしたり、図書館で借りてきた映画を観たり、完全ダメ人間。やーっと4時ごろ、さすがに、これはいかんわ!と、おやつのカロリーを消化すべく犬の散歩へ。いつもより長めに歩きたいけど、わざわざメトロパークまで出掛けるのは…という時の定番は、うちから車で5分程度の古戦場跡、Fort St. Clair 州立公園です。モカは車に乗るのが大好きなので、たとえ5分でもドライブすると大喜び。

 夏場は家族連れで賑わう公園ですが、肌寒くなってくると、めっきり人が減ります。今日も他に誰もいないのをいいことに、犬を勝手に走らせたり、歌ったり、たまに踊ったり(追求しないでください)しながら、小一時間ほど歩いてきました。ただ、この公園は近くに住む上司のジョギング・コースなので要注意。挙動不審な事をやってる最中に限って後ろから走り去って行かれるので注意。なぜっ???!!

 ここも、ほんの二週間ほど前は紅葉が楽しめましたが、今日はすっかり葉が落ちて寒々しい光景になっていました。冬支度なのか、切株が目立ちましたが、中でも下の写真は、かなりの大木です。

         
左は洞周辺の臭いを嗅いでる犬。右は完全に仕込み(無理やり中に入れた)


 この辺りは、つい今月1日に、夏時間が終わったばかり。10月末なんて、全然夏じゃないっ!先週末には氷点下を下回ったし、今秋も寒くなる予報です。もう秋も終わり、すぐ冬になっちゃう。今年は雪が少ないといいな…

超高速!参勤交代

2015-11-05 | 映画・ドラマ・本
 ネットで見つけたので観ました。期待したほどには面白くなかった

 画面下についてる英語字幕のトンデモぶりはかなり爆笑でしたが、中身の方は、たまにクスって程度で、笑ったのは、井戸に落ちて遅れをとったご家老が髪振り乱して吊り橋渡って来るとこくらい。要は、そういう映画を期待してたんです、私は。ドタバタ喜劇で、最後には勧善懲悪でスッキリってのを期待していたので、なんか思ってたのと違う、って…下の絵みたいに、お侍が必死こいて走り回るドキドキ、ハラハラしながら、大笑いって軽い映画だと思ってたけど、意外とまじめな内容でした。

 お殿様と飯盛り女のシンデレラストーリーも、いくらなんでも行き過ぎなんじゃ、と、むしろ興ざめ。斬っても切っても錆びない日本刀、敵はバサバサ死ぬのに、あれだけ斬られても生きてた秋山。そこまでファンタジーにするなら、いっそ、徳川吉宗も暴れん坊将軍並みに、悪徳家老を「成敗!」って一断、湯長谷藩を石上げして、「でかした」と、報奨金上げても良いんじゃないの?って思った。だったら続編作れないけど。同じ台詞が二度出てくるのはいいけど、「死して屍、拾うものなし」の方は、ここに出てくる隠密たちが言っても寒い…orz せめて雲隠段蔵さんレベルになってから言いなさい。

 と、いきなり苦言から始まりましたが、予告で期待しすぎて「なぁ~んだ」になっちゃったのであって、何も知らずに観たら、もっと気に入ったかもしれません。窮地になるたび助けを求められ、トンチまがいの珍アイデア(しかし成功する)を捻り出す藩一番の知恵者、家老の相馬はじめ、弓の名手、鈴木(あんた、ほんまはエルフやろ?)、堅物だけど実はちゃっかり琴姫に気に入られてた秋山(なぜ生きてる?)、お猿の菊千代と名コンビの増田等、家来たちがいい味出してるし、とびっきりのお人好し殿様は、誰も好きにならずにはいられないキャラクター。このお殿様は、史実では31歳という若さで亡くなられているのですね。寂しい…

 下にぃ~、下に~、の参勤交代、うっかり前を通った子供を切り殺したとか、延々、頭を下げていなければならず、庶民には苦行だったとか、通り道の町は搾取されたとか、私の小・中学生時代の歴史の教科書には、支配階級の権力に対する被害者の平民といった風に紹介されていました。作中で旅篭町の町人が、立派な参勤交代を見るのが楽しみと言っているシーンは、確かに大名行列は、いわばパレード。頭下げながら伺い観て、楽しんだのかも、と、気付かせてくれました。そして、街道沿いの町にとっては実は良い実入りの機会だったでしょう。そんな搾取されて苦労するなら、わざわざ店を出さないよね。しかも、産婆と飛脚は行列を抜かして行ってもいいとか、決して横暴な庶民虐めではなかった事が伺われます。「STOP」サインを出して止まっている時は、向かい側斜線も追越絶対禁止!なアメリカのスクールバスより優しい。

 それにしても、5日間走り続けるって、昔の人は体力あったんだなぁ。山道では流石にバテて段蔵にお尻を叩かれてたけど、結局、走りぬいちゃうのは凄い。続編では、更に走るらしいけど、お咲ちゃんも走るのかしら?

 でも、この映画のすべては、吉宗公の「磐木の土を守ってくれ」という言葉に集約されるのではないかと思います。いつの日か磐木を訪れ、スパリゾートハワイアンズでフラダンス見て、大根のお漬物をいただきたいです。