『源氏物語』41帖 幻(まぼろし)
悲しみに暮れる光源氏、出家を決意
光源氏52歳の一年間 准太上天皇時代
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[光源氏、紫の上を回想]
翌年の春になっても、光源氏は心が晴れなかった。
紫の上の一周忌には、かねて用意しておいた曼荼羅の供養を行った。
巻名は光源氏が紫の上を想って詠んだ歌にちなむ。
「大空をかよふまぼろし夢にだに
見えこぬ魂(たま)の行く方たづねよ」
※写真は、「まぼろしイメージの歪んだ時空」/無料(フリー)写真素材を使用
[光源氏、出家を決意する]
年末になり、光源氏は来年出家するために身辺の整理をし、紫の上の手紙も焼いてしまった。
最愛の紫の上を失った光源氏が、晩年の孤独な心を、菊の花に降りた朝露に託して詠んだ歌。
『もろともにおきゐし菊の朝露も
ひとり袂にかかる秋かな』
※写真は、「野路菊(のじぎく)」/無料(フリー)写真素材を使用
【源氏物語41帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)父・桐壺帝の第二皇子でありながら、母が身分の低い更衣のため、「源氏」という臣下の身分に落とされ、皇位継承権もないままに帝の手元で育てられ、幼い頃から学問をはじめ琴笛に大層優れている。亡き母に大層よく似た継母・藤壷を慕い続けることから、愛の遍歴がはじまる。輝くばかり美しい容貌から光の君と呼ばる。「源氏物語」は光源氏を主人公とした愛と栄華の物語である。
紫の上(むらさきのうえ)父・兵部郷の宮(藤壷の兄)が外につくった姫で、母を亡くし祖母・尼君のもとで育つ。光源氏が北山を訪れた時に見付け、愛しい藤壷の面影に大層良く似ていることから、二条院に引き取り養育する。源氏の君が生涯を通じて愛し続けた姫君である。光源氏40歳の頃、朱雀院の姫・女三の宮(13歳)を妻に迎えてから病につき、出家を願いますが許されないまま、43歳で病死します。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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