『源氏物語』33帖 藤裏葉(ふじのうらば)
夕霧結婚、明石の姫君は東宮の妻に
光源氏39歳春-冬 太政大臣時代
夕霧18歳/雲井雁20歳/紫の上31歳
明石の君30歳/明石の姫君11歳/朱雀院42歳
[夕霧、雲井雁と結ばれる]
3月20日、大宮の一周忌が極楽寺で行われた時、内大臣(もとの頭中将)は夕霧にはじめて親しい言葉をかけた。
4月上旬、内大臣邸で藤の宴が催された時、内大臣は二人の仲を許した。
その夜、夕霧は雲井雁のもとに泊まり、長年にわたった恋が実を結んだ。
巻名は内大臣が詠んだ和歌にちなむ。
「春日さす藤の裏葉のうらとけて
君し思はば我も頼まむ」
※上の写真は、「藤の葉」/無料(フリー)写真素材を使用
[明石の姫君の入内]
その月の下旬、明石の姫君が入内した。
その時、紫の上ははじめて明石の君に会います。
紫の上と明石の君は、お互いに素晴らしい人だと思うのであった。
[光源氏、准太上天皇になる]
秋、光源氏は太上天皇に准ぜられ、内大臣(もとの頭中将)は太政大臣に、夕霧は中納言に昇進した。
10月下旬、冷泉帝と朱雀院が六条院へ行幸した。
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
『世のつねの紅葉とや見るいにしえの
ためしにひける庭の錦を』
※写真は、「紅葉」/無料(フリー)写真素材を使用
この歌は20年後、六条院の紅葉賀で、冷泉帝が昔の宴を思い出して詠んだ歌
【源氏物語33帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
紫の上(むらさきのうえ)
幼い頃は、「若紫」と呼ばれる。
藤壺中宮の姪であり、顔がよく似ている。光源氏が生涯で最も愛した女性。光源氏は、紫の上が幼い頃に自宅にひきとり、育てて結婚した。
正妻ではないが、正妻格として周囲から扱われている。子はできないが、光源氏と明石の君の娘明石の姫君を養育する。
内大臣(もと頭中将)
左大臣家の息子であり、光源氏のいとこ。葵の上の兄である。光源氏にとっては親友であり、恋のライバルでもある。
夕顔との間に娘(玉鬘)をもうける。
雲居の雁(くもいのかり)
頭中将の娘であり、夕霧の正室。
夕霧とは幼馴染で、二人とも大宮に育てられた。子だくさんであった。
夕霧が落葉の宮に心を寄せるようになった際には嫉妬するシーンが描かれている。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏と葵の上の息子。
イケメンだが、真面目で恋愛下手である。雲居の雁と妾の藤典侍だけしか
妻がいなかったが、柏木の没後、未亡人の落葉の宮に惹かれ、妻とする。
明石の姫君(あかしのひめぎみ)
光源氏と明石の君の娘。
紫の上に引き取られて養育される。東宮妃として入内し、四男一女を出産する。
夫の東宮が天皇として即位し、中宮となる。
明石の君(あかしのきみ)
光源氏が須磨・明石に退去していた際に出逢った明石入道の娘。
源氏が帰京してのち明石の姫君を出産する。真面目でプライドが高い。
冷泉帝(れいぜいてい)
表面的には、桐壺帝と藤壺中宮の子であるが、実は光源氏と藤壺中宮の子。
藤壺中宮の没後に、出生の秘密を知り、帝位を源氏に譲ろうとするが断られる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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