千曲川のうた

日本一の長河千曲川。その季節の表情を詩歌とともに。
人生は俳句と釣りさ。あ、それと愛。

大麻販売中

2019年12月16日 | 千曲川のくらし
地元の神社の役員、というか当番に当たっていて、年末にはお札を配ります。
神社のは氏子さんに配布するだけで良いのですが、希望者には伊勢神宮のお札も配り、これは有料。お金を集めて伊勢へ送らなければなりません。



このお札は正しくは「神宮大麻」といいます。むろん、あの大麻が入っているわけではありません。興味のある方は伊勢神宮のサイトをご覧下さい。
大中小と3種類あって、値段(といっていいのか?)は二千円、千二百円、八百円です。
そんなわけで、目下大麻販売に回っています。留守のお宅も多いので、結構大変。私の担当地域は、末端価格で三万円分ほどです。



あと数軒で完売になります。人生いろんな用事があるもんですね。

伊勢参りはしたことがありません。多分一生行かないかなあ。
ちなみに、伊勢参り・伊勢講などは春の季語です。

  恋をして伊勢の寒さは鼻にくる  大木あまり
  水草生ふ絶えてひさしき伊勢詣で 飯田龍太

踊るマエストロ

2019年11月25日 | 千曲川のくらし
千曲河畔、上田市のサントミューゼに群馬交響楽団を聴きに行きました。



武満徹 「鳥は星形の庭に降りる」
ブルックナー 交響曲第7番ホ短調

私はクラシックファンというのでもありませんから、2曲とも聞いたことがありませんでした。またこれらの曲を特に聞きたいと思ったわけではありません。井上さんが見たかった。
いつかNHKの音楽番組で見たことがあって、今回上田に来ることを知ったので「ナマ井上」さん見たさにチケットを取ったのでした。



井上さんはバレエをやっていたそうで「踊るマエストロ」と呼ばれているそうですが、今回もキレていました。バレエ風だけでなく、空手演武風、人形振り風、暗黒舞踏風などあって、最後は「ジャニーズかっ!」という華麗なターン。(あくまで個人の感想です)。

肝心の音楽の方ですが、ブルックナーは疲れました。いつまでたっても終わらない。
荘厳な大音響がクライマックスになったかと思うと、また不協和音の海を漂って何処に行こうとしているのかわからなくなり、また大音響の……という繰り返し。くどいなあ。たぶんワーグナー流のくどさなのでしょう。(あくまで個人の感想です)。

  指揮者の手神の手に似て秋夜統ぶ 文挟夫佐恵
  指揮者への拍手に年を惜みけり  森田峠


井上さんは客席に語りかけます。これもちょっと変わってますね。
客が少ない!こんどは友達を連れてきて!とかおっしゃっていました。

そうそう、会場内を見回して「今日はマスクをしている人が8人います」と言ってましたが、そのうちの一人が私です。ごほごほ。

台風19号・千曲川

2019年10月13日 | 千曲川のくらし
台風19号により千曲川流域では多くの被害がありました。
私の住む地域では全世帯に避難勧告が出て、千曲川は激しい濁流が音を立てていましたが、さいわい氾濫や決壊には至りませんでした。


13日朝の千曲川。




台風や秋霖による洪水は、季語で言うと「秋出水」。
単に「出水」というのは梅雨時のそれを指します。

しかしもう少し心が静まらないと、俳句を案ずるどころじゃないですね。

ふなうた

2019年02月02日 | 千曲川のくらし
その岡を東にめぐる千曲川茨野におこる欸乃のこゑ  太田水穂

随分難しい字を遣うものですが、欸乃はアイダイと読んで「舟歌」の意味なのだそうです。ここではフナウタと訓ずるのでしょう。
現在の千曲川は水量も多くなく、橋ありダムありで船の運航はできません。しかし昔は通船があって利用されていました。江戸時代に、越後の年貢米を江戸に運ぶルートとして千曲川水運の企図があったのですが、難所が多くてうまくゆかず、運行できたのは一部分だけでした。北信濃では飯山・須坂間を結んだ太右衛門船、松代藩の藩営船、善光寺町の厚連船などが就航し、主として米と塩を運んでいました。
明治になると民間の通船会社ができて飯山から上田の間で営業しましたが、明治21年に信越線が開通してからは次第に衰退してしまいました。島崎藤村「千曲川のスケッチ」には、藤村が豊野から飯山まで川船で旅したことが記されています。明治の末のことです。
水穂の唄は明治30年代の作。その頃の情景は想像してみるしかありません。

昭和の俳人に

春障子千曲欸乃満たしたる  加倉井秋を

という句があり、おそらく水穂の歌を意識して詠まれているのでしょう。
この作者も「千曲川の舟歌」を聞いたのでしょうから、今でも伝承されているものかも知れません。しかし私は地元にいながら寡聞にして知らないので、ご紹介できず残念です。





以前は川漁師さんが舟から投網を打ったりしていましたが、近頃ではとんと見掛けません。川舟はみな陸にあげられたままのようです。


溜まった水に氷が張っています。



捨舟のうちそとこほる入江かな 凡兆