私自身もワーキングマザーですが、周囲のワーキングマザーを見ていて思うことがあります。
それは、
やっぱ、ばあちゃんが近くにいると違うよな~。
ということ。
子供が急に病気をしたり、急な残業を余儀なくされるとき、
ばあちゃんが近くにいると、ピンチヒッターとして
安心して代役を任せられる存在だ。
人によっては、「お迎えは基本的にばあちゃん」という
家庭もあり、そうした家では、ごはんを食べて帰ったり、
おかずをもらって帰って、家では温めて食べるのみ、だったりする。
ああ、うらやましい。
これは、何もおばあちゃんでなくてもよい。
パパでも、おじいちゃんでも。
信頼できる家族が、家事育児について、自分で担当できないとき、
替わりにお願いできれば、これ以上安心なことはない。
ただ、そうした家庭でも、悩みはある。
自分と子供のふれあう時間がどうしても少なくなってしまうこと。
病気のときでも、おばあちゃんが家にいることが分かってると、
職場で「おばあちゃんがいるでしょ。」と休みづらく
なってしまうことも考えられる。
子供が病気の時ぐらい一緒にいてあげたい、という気持ちは
やはり、どの親でもあるものだ。
次に、保育園。
やはり、安心して預けられる保育園があるかどうか、というのは大きい。
「子供がこんなに、泣いているのは、いじめられているせいではないか。」
「先生と相性が悪くて、可愛がってもらえてないのではないか。」
「みんなと一斉に同じことをするのが苦手な子なのではないか。」
「他にもっとよい保育園があって、そちらならニコニコ通えるのではないか。」
保育園で普段過ごす様子を見られないだけに、朝分かれるときに
泣かれると、不安は大きい。
いくら、保育士さんに、
「すぐに泣き止んで、元気に遊んでましたよ!」
とか言われても、「ほんまかいな。」という気もしてしまう。
そこは、保育士を、保育園を信頼できるかどうかで、親としての
気持ちの持ちようも変わってくるし、子供の不安や慣れの
度合いも変わってくる。
第一、信頼できない人に、泣いてる子を、
「お願いします!」とか、無理やりおいてくることは不可能に近い。
安心して預けられる保育園があるかどうか、は
働く上で、かなり大きなポイントだ。
保育園と言えば、園と自宅との距離も重要だ。
以前病気になったとき、こうたんを家で見るのは無理~と
必死の思いで保育園に連れていったが、
車で25分の距離。
ふらふらでの運転で、かなり危険だった。
園まで、徒歩3分の家に住んでる人を知っているが、
病気の時のことを考えると、やはり徒歩5分の
ところに住むのがよいと思う。
ところで、これが、勤務地から徒歩5分だったら。
お昼休みやお迎えに行く前に、10分20分で
ちょっとした家事を済ませることができる。
子供がいると、ちょっとしたことなのに、子供がいることで、
すごく時間がかかることがある。
子供なしの隙間時間にギャーっと片付けれる仕事や
ご飯の支度などもしてしまいたい。
職場といえば、やはり、育児休業など、
子供がいる助成が働きやすい制度が整っているかどうか、
制度が実際に運用されているかどうか、なども
重要なポイント。
以前、友人が、「私が使えん人になって、さっさと帰るねん」
と話していたが、それが許される職場かどうかは大きい。
斯く言う私も、ヒンシュクは覚悟で、部分休業を1年取得する
つもりでも職場復帰だった。
しかし。
「1年なんて考えられへん」
と認められず、
「3ヶ月取得して、どうしてもダメだったら再度申請するように」
とのことで、実際働いてみると、
部分休業中でも残業できないか聞かれる日が多く、
伝染性の病気で登園できなくなった時、
「子の看護休暇」を取得しようと話をすると、
「旦那さんにも休んでもらうように」
「実家のお母さんに来てもらえないのか」
と渋られる。
3ヶ月の部分休業があけると、もう遠慮なく、残業するものの
扱いで、夫が遠方に仕事に行っている旨、
実家は双方遠く、すぐには来てもらえない旨、
なんど説明しても、理解してもらえなかった。
あげくに、
「係長ひとり働かせてよく平気な顔で帰れるな」
「ちゃんと働ける体制を整えてから復帰してほしい」
「産後も働くつもりなら、そういうこと(残業)も考えて
就職先を決めるべき(実家の近くに就職しろ」
といったことを言われた。
言った方は、そんなことを言ったことさえ忘れているだろうし、
冗談や軽口のつもりで言ったのかもしれない。
もしかしたら、悪気はなかったのかもしれない。
今は、人間関係もある程度できて、ちょっといやみを言われた
ぐらいでは平気になってきたけれど、
復帰と同時に異動させられて、どういうつもりで、そういうことを
言っているのか、言ってる相手がどういう人なのか理解できず、
言葉のひとつ一つが旨に突き刺さった。
また、自分と課長以外が連日9時10時まで、
直上の係長など12時近くまで残っていることもあり、
土日もほとんど全員が出勤する中で、
私が、補充もない中部分休業を取得したり、残業せず帰宅する
ことで、他の人にしわ寄せがいっているのも事実で、
当時は、ほんとうに辛かった。
やはり、制度があるだけでは、働きやすい、とはとても言えない。
制度がないと話にもならないけど。
子のある職員を支援する制度がきちんと運用されているか、
というのは、ほんとうに重要なポイントなのだ。
女性が、働き続ける上で、必要な条件。
家事育児を手伝ってくれる家族。
信頼して子供を預けられる保育園(又は幼稚園)。
職場の育児支援制度。
最後に、もう一つ。
ワーキングマザー自身の
「働き続けるのだ!」という意志。
働く母にとって、やめる理由なんて、そこここに転がっている。
特に、好きなことで食べてる人なんて数がしれてるし、
「なんでこんな、しんどい思いして、こんな思いと子供にさせてまで
働かな、あかんの。」
「人生はお金じゃない。仕事やめて、家族と自分の心と身体の健康の
ために、もっと時間を使いたい。」
「そうだ。自分には、他にやりたいことがあった。今からでもチャレンジすれば、
子供と一緒の時間を大事にしつつ、収入も得られるんじゃないか。」
と真剣に思ったりする。
実際に、起業する先輩ママも多い。
辞める理由の方が簡単にみつかるなかで、辞めないで
いるためには、実際のところ、「私は辞めないのだ!」
という意志しか、仕事に引き止めるものはないと思う。
私の場合、やはり好きな仕事でもないし、
すぐに辞めたくなるし、イマイチ「辞めない」決意に欠けるところがある。
それでも、今のところ、私が仕事を辞めないのは、
専業主婦で一生過ごすのでなければ、やはり、自分が
フルタイムで勤めにでなければなくなった時、
パートと正職員では収入に雲泥の差があるからだ。
それは、老後の年金にも大きく影響してくる。
子供が大きくなれば、必要なお金も桁が違ってくる。
今は、男性でも、給与の上がり幅が少なくなり、
以前のような家族賃金(注1)を得られなくなってきている。
そうであるならば、今正規労働者としての地位を捨てるのは
リスキーである。
そして、もうひとつ、職場の制度について、実は少しばかりの
期待をもっているということもある。
ここ数年で、実は育児支援について、大きく進展してきているのだ。
育児休業期間が1年から3年に伸び、また、休んでいる間の
年金の取り扱いが変わり、全く増えないのではなく、少し
年金額が増える取り扱いにかわった。
それから、保育園や幼稚園に通わない子が平日普通に集える
スペースがここ数年で急激に増えてきている。
また、朝日新聞によると来年4月には国家公務員について、半日単位の
部分休業が取得できることとなり、補充も入ることとされている。
地方公務員についても同様の改正を同じタイミングで施行するか検討中だとか。
少子化担当大臣が設置され、何か効果的なこと、してるんかいな、
というイメージがあったが、実際に政府に政策を立案する立場にある
大沢真理さんという経済学者が
「ラディカルに語れば・・・」(注2)という本の中で、
「私は悲観的には思っていない。現在の政権でかなり前に進む」
というようなことを語っておられ、ほ~と思った記憶がある。
もっと、働きやすい環境になれば、やめたいと思う機会も少なく
なるだろう。後、1年2年がんばってみようと思う。
(注1)家族賃金については
木本喜美子『家族・ジェンダー・企業社会──ジェンダー・アプローチの模索──』のレビュー参照。
(注2)「ラディカルに語れば・・・」上野千鶴子対談集 しょこらの本棚にアップしました。