種山壮(shuzanso)NY

ラスベガス編

止まったメモリ- 「パーマネント 野ばら」を観て

2011年03月27日 | 徒然

昨年5月に公開された映画ですが、既にご覧になってる方も多いと思います。

                

美しい空と海に囲まれた田舎町で起こった、すべての人の記憶に残る、ある切ない恋の物がたりです。映画の内容についてはここで説明するより、サイトを見ていただいたほうが良いと思います。 http://www.nobara.jp/

 

この映画には日本のどこにもある町の風景、そしてそこに住む人々の生活が淡々と描かれています。いくつかシーンを拾って見ました。

 

  港の中を行き来する漁船      美容室に集まるのおばさん達

 自転車に子供を乗せて走母    縁側で茶碗酒を飲む親父さん

 小さい孫娘を抱く爺さん       別れを悲しむ子供達   

 車窓から見える海       母娘が一緒に布団の中での会話 

 

私達の毎日の生活がこれらと似たようなものですから、普段ならストーリに集中してそれ程も感じないシーンなのです。

ところが、3月11日の大地震と津波で、多くの町が壊滅的な被害を受け,町の風景と人たちの生活が一瞬のうちに消えてなくなるという大変な事が実際起きてしまいました。

もう港を行き来する漁船もない、井戸端会議する場所もない、縁側で酒も飲めない、孫を抱く事も出ない、遊ぶ場所もなく、友達もばらばら、多くの思い出がこの日で止まってしまいました。

 

映画の其々の場面を観るたび、悲惨な瓦礫の山の映像が重なり、避難生活をやむなく強いられた人たちの姿が目に浮かびます。少女の横で添い寝することも出来なくなった母親もいらっしゃるでしょう。

 

被災に合われた人たちの気持ちを思うと無念でなりません。そして生きて、生活を営んでる「今」がどんなに大事かと、深く感じた映画でした。