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五月大歌舞伎夜の部ー新橋演舞場

2007-05-11 14:47:42 | 観劇
たっぷりと正統派の歌舞伎をみせてくれました。
かといって、堅苦しくなく、
正統派の吉右衛門がくだけたもの言いになるところが魅力です。
法界坊、といえば、串田演出平成中村座の勘三郎、がインパクト強すぎて、
正統派のはどんなものだったか、そこがかえって見所でしょうか。
やっぱりもともと面白いものは崩しても面白いんだと、当たり前のことに感心してしまいました。
もとが奇想天外で、見せ場がきっちりあって、観客をぐいぐい引っ張る吸引力がすごいのですね。
それから、富十郎と吉右衛門の立ち回り、しぐさと動きと見得をまじえてのこの立ち回り、いいんですね、歌舞伎の立ち回りのお見本です。今月歌舞伎座の菊五郎劇団のスケールの大きな立ち回りももちろん好きですが、それとは正反対のこのお二人の、そぎ落としたエッセンスだけの所作、ホント格好良かった!

さて、なんといっても素敵なのは、
 浄瑠璃 双面水照月
たっぷりと見せる、染五郎の踊り、初役なのよねー。
(本来なら法界坊の役どころですが、野分姫役の染五郎がつとめている、
吉右衛門がインタビューでこの役を染五郎に伝授していきたい、と言ってました!それだからですね。)
恨みを残して殺された法界坊と野分姫、二人の霊が恋人と道行に出ようとするおくみの姿になって乗り移る、
この設定が奇怪だけど、面白い趣向です。
串田演出では舞踊ではなく、左右半分ずつ2人の顔をつくっての見得、で大切りとしていましたね。
法界坊は、初代吉右衛門、先代の勘三郎の当たり役とか、
それぞれの型が違うということなのかもしれませんが、
霊界の姿を、常磐津にのって踊りで華やかにしめくくる、これぞ江戸の粋ですねー。

ところで、双面(ふたおもて)って、左右の二人の面相にすることをいうのかと思っていましたが、
二人が同じ姿で現れ同じ所作をして、一方が現世、もう一方が亡霊でやがて正体をあらわす、という意味なんですね。
最後の、桜の枝を片手に髪振り乱し、台に乗って、見得をきるあの姿、よくみるあの所作、道成寺ですよね。
なんと、あの定九郎を演出した仲蔵が考案初演、道成寺踊りたくて、立役にもできるもの、というので、この双面を考えたとか…。いいもの残してくれてよかった!!

2007/5/10観劇


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