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源氏絵の楽しみー横浜美術館特別展

2008-09-08 11:49:31 | 展覧会&音楽会
五島美術館の式部日記第三段 (↑写真 横浜美術館HPより)
これは酔い乱れた公卿たちが女房たちと戯れている、場面ですが、
この女房はもちろん紫式部ではありません。
第1段に、宮の内侍と紫式部を二人の公卿(藤原実成と斉信)が訪ねる場面があって、御簾の中からちらりと覗かせている式部が描かれているのですが。


源氏物語の1000年 -あこがれの王朝ロマン-
と題された展覧会、
一般向けですので、いいのですが、
きらびやかな源氏絵巻、とはちょっと違って、
展示はかなりマニアック、です。
源氏絵、源氏物語の各巻を絵にしていく、その楽しみを味合う展示です。
ですので、54帖それぞれのどこを切り取るか、を本来楽しむわけです。
往々にして、源氏絵は紋切り型になりがち、
研究者によると、
中世から近世に下るほどに、源氏絵だけが一人歩きしていって、
この巻にはこの絵、と絵柄を見るだけでわかる、
それはそれでいいと思いますが、
本文からすると辻褄の合わない絵柄もでてきてしまう、のです。
千年生きてきた世界に誇る物語をこの先千年残すと考えると、
それはやはり困ることになるでしょうか。
今回の展示では、そういうこと意識しているのかどうか、
若紫以外では、結構、紋切り型ではない源氏絵があって、面白かった。
須磨、といえば、源氏が佇む住いから須磨の浦を遠景にのぞむ、絵を浮かべますが、
須磨出立を前に、財産の管理を委ねるべく、引き継ぎ事務を執る源氏と紫の上、忙しく出入りする女房たち、そんな二条院を描いている、
源氏物語は王朝期の経済社会をしっかり見据えていること、
画家はわかっている!

近代に入ってからの源氏絵、意外に興味深い.
源氏をどう読んでいるかを明瞭に表している。
展示ではデッサンでしたが、上村松園の六条御息所
仕上がった「焔」より、御息所の感じがでていました。
関屋、を月明かりで真っ赤に染めて野花をあしらうとか、
中でも、女三の宮を源氏亡き後、薫を連れて三条宮でひっそりと暮すようす、
これを題材にする下村観山、画家の人間性が伺えます。
sanomiya.jpg

2008/9/6 横浜美術館にて


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