紫苑の部屋      

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源氏物語ー夕顔を思い起こさせる浮舟の造形

2007-12-09 15:30:32 | 源氏物語
浮舟物語には、夕顔の巻の情景が重なることが多い。
東屋、浮舟の巻を書いているときの紫式部は、
明らかに、源氏の書き初めのころの夕顔とは、
なんのために書くか、という作家魂、が違ってきている、
宇治十帖をじっくり読んでいくと、そう感じます。
でも、情景そのものの描写、物語の主人公たちの魅力、となれば、
それはもう、正編ですねー。

それはともかく、
浮舟の造形にあたっては、式部は意識的に夕顔を思い浮かべるように、
いろいろに仕掛けをしているのです。
夕顔の運命で書ききれなかったところを、熟成させてきた、
ということなのでしょう。

浮舟が匂宮に抱かれて、小舟で対岸の隠れ家でしばしの逢瀬をすごすのも、
夕顔が源氏に抱くようにして車に乗せられて、なにがしの院に連れていかれる、
のを思い起こさせるように、なっているのです。
そして、雪ならぬ霧も深い露けきに、しっとり濡れるなか、
夕顔は心細く、

  山の端の心もしらでゆく月は
  うはの空にてかげや絶えなん

と死の不安をうったえます。
浮舟のうたと同じです。
源氏はただ、をかしく思す、だけです、気づかない。

夕顔の花の白、源氏に差し出した白き扇
白い扇は夏のもので、捨てられる運命、ということになるらしい。
はかない、死を予感させる、白、
浮舟の白の五衣もそうですね。

夕顔と浮舟の似ているところ、似てないところを思い浮かべて、
読み進める読者、それを意識している作者、
これは浮舟を読んでいくときそういう振り返る読み方、をしてください、というメッセージなのですね。
ほんとに恐ろしいほど、何重にも物語を紡いである、奥深さ、です。

源氏物語を題材にしたお能、多いです。
「半蔀」は夕顔の霊と花を供養した能です。
能「半蔀」写真出処↑


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-12-09 15:38:14
ブログに突然のコメント失礼します。具ヒムといいます。日本で音楽活動をしています。もしよければ曲を聞いて、感想を聞かせてくれませんか。よろしくお願いします。
ここで聴けます→www.myspace.com/koohim
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ナ チグム ハングゴ、コンブハゴイッソヨ. (sion)
2007-12-10 09:12:16
日本語お上手ですね。
韓国の四季
というブログも書いていますので、
よろしかったら、そちらにもご訪問ください。
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