紫苑の部屋      

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團菊祭五月大歌舞伎ー幡随長兵衛

2008-05-05 18:12:37 | 観劇
「極付 幡随長兵衛」
この演目、人気なんでしょうね、
たびたび上演されるのはそういうことなのでしょう。
男伊達の粋、とか、
江戸っ子の侠客のいさぎよさ、とか、
それが現代人にはスカッとする、っていいますが、
本当にそう? 
ちょっと信じがたい。
(今回も最後の幕で、水野切腹の沙汰が下ったこと、カットでしたし…
 この話って、実話だから驚きね!)
後味がすごく悪い!
…と、思ってました。

さて今月、團十郎の長兵衛がカッコ良すぎる!
きりりとした眉、きれい!
ちょっと見直しかも?!
長兵衛は、元は武家の出、身に付いた作法がふっと出なくてはならないのね。
梨園の團十郎には、自然に滲み出るもの。
裃に着替える作法の簡潔さ、(それをも見せてしまう歌舞伎の面白さね)、
とても控えめに女房お時(藤十郎)が着物のしつけに気がつき、引き抜く、
無言で見交わす間(ま)、こういうところたまらないわね。

長兵衛は、
殺されるのはわかっても、水野の屋敷に出向かなくてはならない、
身代わりを立てることは恥、自分を汚す、
たとえ不条理でも、死して名を残すほうを選ぶ、
ここなのね、真骨頂は、
「人は一代、名は末代」
市川宗家とダブルではありませんか。

「綺麗に命を上げまする」
という長兵衛最期のことば、
江戸っ子の心意気、とは解釈したくないなー、
虚しいのですー、
長兵衛のお時に残した、子は堅気にしてくれ、との言葉も虚しい、
旗本組も町奴も仕返しの連鎖になる、ことも、
わかっていたんですね。
この家業、自分自身の虚しさ、
ーー死に場所を選んだ、
そう考えると、この演目、生き残るなー、と思います。

歌舞伎舞踊、六歌仙の「喜撰」
重い演目のあいだに、舞踊というのは、ホントによく考えられた、と思います。
理屈抜きで楽しめます。
三津五郎さんは楽しそうに喜撰法師を踊ります。
祗園のお梶(時蔵)がどうして小町の見立て?
なんて野暮、
半襟が金襴だから、というのも、いいのよね。
お梶から受け取った手ぬぐいで踊る、
これが最高!
踊りの名手、との誉れ、三津五郎さんにはきっと…でしょう。

★山崎権一さん、幡随長兵衛劇中劇「公平法問諍」で上人役でした。
 この劇中劇、なにがどう?筋書き知りたいなー。

(2008/5/2 初日観劇 歌舞伎座)




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2 コメント

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本当にオトコ伊達って……ふぅ~ (かほる)
2008-05-06 00:38:30
「旗本八千石、相手にとって不足なし」だなんて、私も理解できません。実話と思うとなおの事、考えさせられますよね。
死に花咲かせてということこなんでしょうが、ああいう心意気、現実的に考えると本当にくだらない、オトコの勘違い!
でも、芝居としてカッコいい團パパがやると、そりゃもうウットリ(^^)v
何度見てもいいですよねぇ~。
返信する
團パパの品のいい長兵衛なら許すわー (sion)
2008-05-08 21:49:01
実話といっても、
どうも痴話げんかでやられたようで、
ちっともカッコいい話じゃなさそう…、
でも、それをお芝居にして、
イナセな江戸っ子気質にしてしまう、
これはもう、脱帽ですよね。
返信する

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