紫苑の部屋      

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十二月大歌舞伎夜の部

2007-12-14 00:14:45 | 観劇
若手の寺子屋
いいと思いました。
いつぞや通しの菅原伝授手習鑑、観て、
源蔵と戸波夫婦がどうして主筋の管秀才を預かることになったか、
なぜ死をかけて守らなくてはならない恩義なのか、
わかったので、
この二人は若いはずなのです。
そもそも世間に認められたわけではなく、
御法度の職場恋愛がバレて、ホントは殺されるところを
主君に命を助けられた、そういう恩ある。
“宮仕えのつらさ”は、二重の意味があったわけです。
海老蔵と勘太郎の初コンビ?、よかったと思います。
時評では海老蔵声でかい、とありましたが、
だから直したのかしら?、ことさらでかい!とは思いませんでした。

松王丸*勘三郎と千代*福助も若いほうのコンビになりますよね、
だからちょっと変えてある?
あるいは勘三郎のお家芸かしら、
「お役に立てましたか」のセリフ、
あれは千代のではなかったかしら?
松王丸のモドリで言ってましたねー。
千代が言ったなら、
その後の展開全然違ってきますね。
あんなに最初から慟哭して崩れたりはできない。
いくらできた武家の奥方でも、そうは言えないだろう、
との解釈だとしたら…、問題だわね。

常磐津舞踊の粟餅、
歌舞伎って、ホントによくできてる、こういう間の手の演目が入ると、
息抜きできて、最後までもつのよ。
三津五郎&橋之助コンビ、ぐーでした。

さて、今月の座長は玉三郎です。
ふるあめりかに袖はぬらさじ
さすが有吉佐和子、社会風刺的でもあり、
ひと言では片付かない愚かしく哀しい女、を描けるのね。
玉三郎のために書かれたのではないかしらと思えるほど
フイットしてました。
もちろん故杉村春子に書いたものですが、
10月の四谷怪談、同様、
全然違う芸質なのに、どうしてかしら、
細かいところまでよく似てきている。
それだけ、完璧主義の玉三郎が自分の演目に完成させてきたと言えるのね。
お園さんは本当に当たり役になると思います。

応援団もにぎやかで、楽しくって、
はしゃいだ福助マリヤさん、かわゆいわー。
俳優さんが舞台で楽しんで遊んでいるのって、いいですよー!

おふざけに見せている、ばかりではありません。
真面目に演じた獅童*藤吉、こういう現代劇ぽいの、かれはお上手ね。
忘れてならない、七之助、
亀遊、えっ、このやつれて美しいひと、だれ?
そうだ、七之助だった、役柄をこんなに表現できるのね!
感嘆!!
どんどんきれいになる、楽しみねー。

幕末の世の名もなきひとりの遊女が
淋しくって、ひとりぼっちで、切なすぎて
死ぬしかなかった、
そういう現実、これも確かに存在したことでしょう。
これも残したい歌舞伎です。

2007/12/11歌舞伎座


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