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西行をよむ

2018-04-26 10:35:16 | 源氏物語
4月からNHKの古典講読で「西行をよむ」が始まった。
講師は、西澤美仁先生、角川ソフィア文庫の「西行 魂の旅路」の著者です。
西行をじっくり取り組みたいと買ってはみたものの、
拾い読み程度しかできていなかったので、とても期待しました。
と同時に、西行の歌をひとつひとつを取り上げて、解説していって、
それを聞くだけで一年間もつのかなー、と危惧もしていたのですが、
予想に反して、聞いているだけでも本当に面白い。
西行の歌に込められた、心の軌跡、とでもいうのでしょうか、
とても深いところを視聴者にもつたえようとする、
講師の先生の熱意が伝わってきます。

毎回、聞くだけでなく、ノートに整理し、
西行の和歌だけでなく、引用の和歌、出典の説話集などもあたり、
古典の講座を受けていたころの勉強が始まり、
それがとても楽しい。

4/19の回では、
文覚、恵心、明恵とのかかわりを、和歌と仏道、数寄ごころ、をキーワードに
西行の為さんとするところの真意が読み解かれていきます。
もろもろの西行の説話、伝説じみたエピソードも、
そこから派生するものであって、芯にあるものはゆるぎのない
風雅の道と仏法の道、
それは、明恵の残した言葉、のなかにあります。

「心の数寄たる人の中に、目出度き仏法者は、昔も今も出来(いできた)るなり。
詩頌を作り、歌連歌にたづさはることは、あながち仏法にてはなけれども、
かやうの事にも心数寄たる人が、やがて仏法にもすきて、智恵もあり、
やさしき心使ひもけだかきなり」
(明恵上人遺訓より)

西行はその「心の数寄たる人」なのですね。
ところで、数寄、数寄者、心数寄たる人、とはどういうものなのでしょうか。
数寄は好きからきていて、中古文学でいうところの「色好み」に通じるものとか、
数寄も色好みも、その当時共有されていた風雅のこころを意味するわけですが、
現代の私たちにはほんとうのところ、理解できるのでしょうか。
数寄は数寄屋造りのように、削ぎ落された日本の美をイメージしますし、
色好みは好色と同義と解してしまいます。
後の世に着せられていくベールを剥がして本来の姿を見出さなければならないのでしょうね。




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