読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

雫井脩介著「銀色の絆」

2013-04-21 | さ行
フィギュアスケーを材題に母と娘の絆をテーマにした感動物語。
夫の浮気が原因で離婚、娘の小織とともに実家のある名古屋へと転居し、無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、娘を支えることに生きがいを感じ始める。
「藤里小織の最大の伸びしろは、あなたにあると思ってます」とのコーチの言葉に、娘のためにすべてを懸ける決意をする梨津子。スケートクラブ内の異様な慣習にとまどい、スケート費用の捻出に奔走し、さらには練習方針をめぐってコーチとの間で軋轢が生じるのも厭わず、娘のことだけを考えてクラブの移籍を強引に進める・・・そんな母の姿に葛藤を覚える小織ではあったが、試合での成績も次第に上がっていき、やがて・・・。
母娘の挑戦は、実を結ぶのか?フィギュア独特の師弟関係や育成システムなどの裏話が詳しく語られ面白い。
フィクションとはいえ、この作品でフィギュア競技の繊細さ、親の存在の重さなど良くわかった。
別名で登場するが小織の友人として描かれているが2011年の日本選手権を制した浅田選手がどんなに凄いか、改めて感じた。
愛知県出身の著者らしく名古屋の地名や登場人物・固有名詞等の使い方が実際と想像できて楽しかった。
この物語は、母が娘の成長にどれだけ自分を賭け、覚悟と執念をもって臨んだかという「母」のドラマであるといえる。
娘のやる気のなさと自発性のなさは気になったが、スケートを通して、お母さんを通して凄く人生の勉強したのだと思う。
フィギュアはお金がかかるスポーツっていうのは知ってはいたがあらためてその思いは強くした。

2011年11月PHP研究所刊

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