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栃木県北東部に位置する町で民家の塀や壁にひたすら稚拙しか言いようのない絵を描く学習塾を営んでいた男、伊苅の「何故描くのか」という動機やそこに至る人物・人生をノンフィクションライターの鈴木が探っていくミステリードラマ。
犯罪など起きないが、人間の心や世界そのものがミステリーとなった哀しいながらも優しさと救いがある読後感のいい小説でした。
「才能の有無と、その人の価値は、まったく別の問題なの。才能があるからって、ただそれだけで人の価値が決まるわけじゃない。何をしたかがだいじなのよ」(P256)」
2016年10月文藝春秋刊
西條シリーズ第2作目。『後悔と真実の色』続編。誠也とレイというカップルの仕業で白バイ警官が殺され、“警察官連続殺人事件"が発生する。程なく警視庁捜査一課九係が捜査に駆り出されるが、前作で卓抜した推理で名探偵の異名を取った西條輝司が「警視庁の威信を傷つけるスキャンダルで失脚し、警察を追われ」ため、そこで今回西條の代わりを務めるのが、所轄の女刑事高城理那。「陰でブス呼ばわりされている」アラサー女刑事。捜査に情熱的な名探偵であり、女性差別をしない九係・村越警部補と組んで真相に迫っていく。一方、西條は警備員からエリートの兄により転職、よく訪れる古書店主の相談に乗ったことから探偵役を務めることになり、かすかな再生の道のりも・・・幼い日に警察沙汰で離れ離れになった誠也とレイ。二人は大人になって再会して警察への復讐だけを生きる糧にしつつ復讐計画を着実に遂行する。一方、事故か他殺か判然としない警察官の連続死に、捜査本部は混迷。高城理那は、かつて“名探偵"を呼ばれた西條に相談を持ち掛ける。後半の意外な動機と思惑前作以上に面白かった。面白いキャラの登場人物たちと西城の続編を楽しみだ。2017年5月幻冬舎刊
『後悔と真実の色』https://blog.goo.ne.jp/sky7dddd/e/190416392cc8a65748fec7707313eb10
そして事件はすべてのはじまりにすぎなかった。逮捕・拘留された安治川事件の犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。
この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。取材を進めると周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだった。
さらに、仁藤の銀行の元同僚や大学時代の同級生らが不審な死を遂げていることが判明してくる。
仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そして殺害のその理由とは・・・
終盤の意外な展開は問題の回答を読者にまる投げしたような結末でガッカリした。折角のそれまでのいろんな伏線が活かせないまま終わって残念。
「世間の人はみんなわかりやすいストーリーを求めてるんです。わからないのはいやなんです・・・
最終的に理解できる結末があるなんてフィクションの中だけですよ」(p270)
2012年8月実業之日本社刊
「元彼の殺人容疑を晴らして欲しい」探偵・十村の元に舞いこんだ美女からの依頼。
しかし事件に触れると別の事件に行き当たり、さらなる別の事件を呼び起こす、芋づる式に掘り出される死体!死体!
このユーモア探偵小説読みやすいのだが、荒唐無稽なあらすじで貫井さんらしからぬ展開でドタバタな結末ラストも投げ出し状態。題名の為の辻褄あわせで、何だったんだというお粗末小説でした。
2013年6月東京創元社刊
八年前、突然絶筆し、現在、57歳になった作家・咲良怜花を、26歳の若い編集者・渡部敏明が訪ね、熱心に復活をすすめる。
やがて彼女は、半生を語り始める。なぜ、小説の作風が変わったのか。なぜ、突然、絶筆したのか。
そこで明かされたのは、ある男性木之内徹との出会いと恋愛の顛末であった。
主人公の和子(怜花)は作家として成功、名だたる賞を次々と受賞しながらも突然断筆をしている女。
整形手術して外見を変えてブスから美しくなったのに、まわりの人から疎まれるとか、その虚しさに気がつくシーンなど、スリリングに変わっていく彼女の心理や背景が気になって最後まで一気に読ませてくれた。
整形して復讐する女を描いた百田著「モンスター」のようなサスペンスやミステリーでもない呆気ない突然の終り方に失望感が残る。作中主人公が小説を書く苦労語るのは著者自身の愚痴かも。
整形して昔の顔を捨て新しい顔を手に入れた主人公は家族とその男以外は誰にも気付かれることなく賞を取り有名になるが、・・・・人は外見に惑わされる。その人だけが持っている面白さを見落とす。
「そうか、今日は新月なのか。星はいくつか瞬いているものの、夜空を照らす月の姿はない。どこかに行ってしまったわけでなく、確かにそこにあるはずなのに、見えない月。まるでわたしのようだと思った」(P470)
2012年4月 文藝春秋刊
身に覚えのない殺人罪で有罪判決を受けた一人の青年の人生がどのように激変していくかを、強引に自白を迫った刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士、裁いた裁判官の視点で語られる。
身に覚えのない殺人の罪。それが彼から仕事も家族も日常も奪い去った。
理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は服役後復讐を決意する。ほかに道はなかった。七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。
しかしひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、その関連を見出した。しかも江木は行方不明。
単純なストーリーを冤罪を作り出した側である一人一人の立場での物語が時系列をバラバラにして折り込み混ざわさって描かれている。
深く考えさせられる重いテーマで、読んでいて息苦しくなる感じですが最後まで読ませます。
意外な結末の予想は残念ながら付いてしまったし、結局真実が明らかにならずに終るラストに悔いが残りますが
自分ならどうするだろうか、もし自分の家族がと・・・考えさせられた小説でした。
2010年10月 新潮社刊