読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

映画「ブルータリスト」

2025-03-13 | Weblog
2024年米英ハンガリー映画。原題「The Brutalist」ブラディ・コーベット監督作品。215分(前半100分で15分の休憩タイム)。2024年・第81回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。「ブルータリスト」とは、1950年代に見られるようになった建築様式「ブルタリズム」の建築家たち。
第二次世界大戦下のホロコーストを生き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)の30年にわたる数奇な半生を描き出した完全なるフィクションドラマ。
無残にもすべてを奪われた建築家が希望を抱いたアメリカンドリーム。 見知らぬ土地と異なる文化、その光と影に苛まれながら、家族への愛と建築への情熱をたぎらせ続けた30年の切り拓かれていく半生が描かれている。
妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)、姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)と強制的に引き離されてしまい家族と新しい生活を始めるため、アメリカ・ペンシルベニアへと移住したラースローは、裕福で著名な実業家ハリソン(ガイ・ピアース)と出会う。ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、その才能を認め、彼の家族の早期アメリカ移住と引きかえにあらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築をラースローに依頼する。だが母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。ラースローが希望を抱いたアメリカンドリームとはうらはらに、彼を待ち受けていたのは大きな困難と代償だった。長いがそれなり引き付けられて退屈はしないが、戦後イスラエル建国と姪のイスラエル移住が描かれているのだが・・・。見終わって何が言いたいのか解らなかった。
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中山七里著「彷徨う者たち」  

2025-03-10 | な行
生活保護制度を題材にした第一作『護られなかった者たちへ』、震災からの復興とその闇ビジネスを描いた第二作『境界線』に続く、「宮城県警シリーズ」の完結編。復興が進む被災地に根ざす人々の間で激しく揺れ動く心情と人間模様を描きながら完全密室トリックの謎に迫るヒューマンミステリー。災害公営住宅への移転に伴い解体作業が進む仮設住宅の一室で見つかった他殺体。発見場所は出入り口がすべて施錠された完全密室、被害者は町役場の仮設住民の担当者だった。宮城県南三陸署の笘篠誠一郎刑事と蓮田将悟刑事は仮設住民と被害者とのトラブルの可能性を想定し、捜査にあたる。そこで浮上し遭遇したのは、蓮田にとって忘れがたい決別した過去に関わる人物であった。蓮田刑事にとってはあの日、流された絆があった・・・。行き所がない立ち退かない仮設住宅の住人、怪しげなボランティアNPO法人の輩、利権絡みの大物県議、同じく地元の建設会社の沢井建設の幼馴染の森見貢、ケアラーになった看護師の大原知歌、一 解体と復興。二 再建と利権。三 公務と私情。四 獲得と喪失。五 援護と庇護。エピローグ。とどんでん返しの犯人、真相を究明していく。事件の動向よりも進まぬ復興の現実と矛盾に心が動かされた。
2024年1月NHK出版刊  
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吉田修一著「罪名一万年愛す」

2025-03-06 | や・ら・わ行
ミステリーでもありファンタジー風小説。高度成長期45年前平凡な主婦が失踪する。東京の有名なレストランのウェイトレスは梅田丸百貨店の社長と会っていたと証言するが未解決のままであった。横浜で探偵業を営む遠刈田蘭平のもとに、一風変わった依頼が舞い込む。九州を中心にデパートで財をなした有名一族の三代目・梅田豊大から、ある宝石を探してほしいという。宝石の名は「一万年愛す」。25カラット以上のルビーで、時価35億円ともいわれる。蘭平は長崎の九十九島の一つでおこなわれる、創業者・梅田壮吾の米寿の祝いに訪れることになった。豊大の両親などの梅田家一族と、45年前の捜査担当した元警部の坂巻といった面々と梅田翁を祝うため、豪邸で一夜を過ごすことになった蘭平。だがその夜、梅田翁は手紙を残して失踪してしまう。東京の主婦と福岡の梅田翁。なんの接点もない2人がやがて絡み合う。明かされる日本の戦後の混乱期に起きた出来事。絶海の孤島に大型台風によって密封された登場人物たちの前からの失踪という謎仕立て。45年前の女性失踪事件との関連、私室に残されたDVD3作品「飢餓海峡」「砂の器」「人間の証明」。これは感動の愛の物語なのか。しかし違和感抱きながら読み進めて残念な方向に極まった作品と思います。ミステリーとして、意外性のない「意外な展開」、鬼気迫る状況のはずが緊張感に乏しい、読み心地が悪い結末とご都合主義に残念な読後感でした。
2024年10月角川書店刊
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4K完走。マラソン大会

2025-03-03 | Weblog
昨日の第12回愛知県岩倉市民健康マラソン大会。市民1150余名参加。2,7kと4kの部。4k完走。
参加賞の写真です。
名古屋コーチンのケンチン汁が振る舞われました。

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森沢明夫著「桜は散っても」

2025-03-01 | ま行
感動の家族小説。自然災害が引き裂いた家族だがその絆を再びつないだ桜と紫花菜とは。趣味の釣りをきっかけに、週末を桑畑村で過ごすようになった忠彦。現地でできた親友の浩之をはじめ、温かな人々や美しい自然に囲まれた桑畑村は、彼にとって「第二の故郷」と呼べるほどの場所だった。しかし、数年後、自身が勤める建設会社が桑畑村でリゾート開発を進めていることを知る。その事実を知った忠彦は浩之に会いに桑畑村へ向かうが、そこで人生を揺るがす出来事に遭遇してしまう。その日を境に、忠彦と家族の運命は大きく変わり出していき・・・不器用ながらも自分の信念を貫いた男と、その家族の絆を描いた感動の物語。6人の視点から語られています。話の中では、自然の美しさが丹念に描かれていて、思い出の場所の記憶とともにふわりと頭の中に浮かび上がるようでリアルで繊細な描写です。元妻の視点からすれば、元夫は完全に記憶から消したいいほどの存在にも関わらず、元夫の生き方、自己満足を受け入れ、良い思い出としてお思い直せと言われているようで、読んでいて何ともやるせない気持ちがして納得が行かない部分もあるが涙もろくなった私的には感動の家族物語でした。
2024年12月幻冬舎刊
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尾張富士登山

2025-02-27 | 
春らしい陽気に誘われて尾張富士(275m)にハイキング。
犬山の浅間神社に車を停めて登山開始。隣の本宮山との背比べ伝説のあるこの山
負けて悔しいと毎年石上げ祭りが行われている。至処に献石碑が建てられていてその碑を眺めながらごつごつした岩の登山道を上る。神社では1石200円の色違いの石(色により願い事が違うらしい)が願掛け石として用意されていてそれを持って登るようになっている。約30分で標高差197mの頂上神社に登れる。沢山の献石が積み上げられて壮観。頂上は眺望なし。
安全登山を願う路傍で拾った石を献石して下山。往復60分約2k標高差198m



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梅が咲いた

2025-02-24 | Weblog
我が家の小さな庭の梅の木に花が3輪咲いた。昨年は200個近くの梅の実が採れた枯木。今日の朝は薄っすら雪景色だったが直に融け陽当たりのいいぽかぽか陽気に咲いたようだ。
写真を写してから散歩に出かけて、途中の無人販売の露店ではっさくを手に入れた。風が強いが遠くの鈴鹿山脈の山々は良く見えた。今日の散歩6000歩約4k。

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大沢在昌著「魔女の後悔」  

2025-02-21 | 大沢在昌
魔女シリーズ第4弾。通称〝地獄島〟に娼婦として売られた過去を持ち、闇のコンサルタントとして裏社会を生きる女・水原。ある日、山梨の寄宿舎から学校に通う13歳の少女由乃を京都の寺にある墓まで連れてきてほしいという依頼から始まる。ボディーガードとして同行するが、途中で謎の人物に襲われかけ、由乃の亡父が韓国政財界を震撼させた巨額詐欺事件の主犯だったことを知る。被害金は回収されないまますでに死亡している。それを狙って韓国の政府系組織や、主人公に怨みを持つグループなどが入り乱れる展開。新しい登場人物が次ぎから次と現れご都合主義の展開、リアル感の無いドンパチで大沢ワールに没頭しないと読みにくいがハラハラドキドキの筋立ては主人公のキャラと過去と相まって楽しんで読めました。おかまの元刑事星川やドライバーの木崎や公安の湯浅など個性豊かな面々の仲間たちも大活躍でした。
2024年4月文藝春秋社刊  


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名古屋芸大卒展

2025-02-17 | Weblog
2月15日から24日(10時から17時迄土日祝日は18時)名古屋鉄道犬山線徳重名芸大駅から徒歩15分の名古屋芸大西キャンパスで開催中の展示会に行きました。スタンプラリーで学内展示箇所の各棟巡るウォ−キング約3k歩いた。広い校内エレベータを使わず登り降りいい運動になりました。日本画西洋画、陶芸、ガラス工芸、ジュエリー、テキスタイルなどのアートな作品群から映像作品やデザインなどたっぷり楽しめます。





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森沢明夫著「さやかの寿司」

2025-02-17 | ま行
海辺の町のひなビタ商店街にある「江戸前夕凪寿司」という小さなお店を中心に繰り広げられる感動物語。母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人で・・・。かっての大将伊助さん、店員の未來ちゃん、常連さん、個性豊かな面々が登場する心温まる素敵な物語でした。
「自分から身体の向きを変えて・・・するとずっと逆風だった強い海風が、わたしたちの背中を押しはじめた。これは順風だ。要するに、自分がどちらを向いて生きるかで、凍えるような逆風も“追い風”に変えることができる」(P268)
『人生の中からなるべくMUSTをなるべく消して、むしろもっと「いい道があるかも」って考えながら行動すること。従来の狭い価値観で自分を縛らないで、頭も心も身体も、なるべくのびのびと「自由」にしておくこと』(P136)
2024年9月角川春樹事務所刊



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今野敏著「海 風」

2025-02-13 | 今野敏
幕末外交歴史小説。舞台は1853年(嘉永六年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦いわゆる黒船。強大な武力をもって日本に開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に幕府は苦慮していた。開国か攘夷か。
隣国の清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される。
強硬な欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。
老中阿部伊勢守とのやり取りや下田や長崎の出島を始め、その後の外国との交渉に駆けずり回る様子が、現代口調のくだけた会話形式で分かりやすい。
清国と同じようにならない為には攘夷でなく国力を富ませ国を開くしかないと身をもって知り、現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描がれていて面白い。
2024年8月集英社刊


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宮本輝著「よき時を思う」

2025-02-11 | ま行
東小金井にある、中国風四合院造りの建物から始まる。家主である三沢平馬は、夜になり、近くの欅の森の木が囁く言葉を聴いている。そこに、四合院の建物の一角を借りている金井綾乃が帰宅してくる。綾乃は三十歳、海運会社の経理部署で働いている。彼女は帰宅して、祖母の徳子に墨書で手紙を書く。綾乃の手紙に、徳子は朱を入れて、返してくる。九十歳になる祖母の徳子が、孫の世代に対して、未だに大きな影響を与えていることを知る。徳子は、戦後ながらく教職に携わってきた。彼女は、教え子たちに、そして周囲の人に大きな影響を与えてきた。徳子は、なぜ出征が決まった青年と結婚したのか?夫の戦死後、なぜ数年間も婚家にとどまったのか?そしてなぜ、九十歳の記念に晩餐会を開くことにしたのか?孫の綾乃は祖母の生涯を辿り、秘められた苦難と情熱を知る。徳子の生き方、溢れるばかりの知識や教養が人格を貫いている様子が挿話を挟みながら描かれる。よき時、それはかつての栄光ではなく、光あふれる未来のこと。いつか、愛する者たちを招いて晩餐会をと九十歳の記念に祖母の徳子が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、豪華絢爛な晩餐会。子どもたち、孫たちはそれぞれの思いを胸にその日を迎える。一人の命が、今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動物語です。普通の生活者の自分から見ると上流社会に属する幸せそうな金井一家の豪華な食事風景と薀蓄にはちょっとうんざりしたが、個性豊かな登場人物描写と徳子おばあちゃんには感服。徳子おばあちゃんが自分のお気に入りを身内それぞれに生前贈与するくだりは面白いと思った。
2023年1月集英社刊


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薬丸岳著「籠の中のふたり」 

2025-02-04 | や・ら・わ行
恋人に去られ父親を亡くしたばかりの弁護士・村瀬快彦は傷害致死事件を起こし服役中の従兄弟の蓮見亮介の身元引受人となり、釈放後に二人は川越の家で暮らし始める。小学6年生のときに母親が自殺し、それ以来、他人と深く関わるのを避けてきた快彦だったが、明るくてお調子者の亮介と交流することで人として変化成長していく。だが、ある日、母が結婚する前に父親の安彦に送った手紙を見つけ、母は結婚前に快彦を妊娠していて、快彦に知られてはならない秘密を抱えていた衝撃の事実を知る。やがて、その出生の秘密は亮介の傷害致死事件とも繋がっていた。他人と触れ合うことの喜びと難しさ、人殺しの罪と贖罪。つらい過去を背負った二人が共に暮らすことで成長し、全ての過去と罪を受け入れ、本当の友達になれるのか・・・。母親の自殺、亮介の父親の失踪、そして亮介の犯罪そのものの真相とは。展開が予測できてしまう点もあるが、実は二人とも自分に厳しく、他人を思いやれる人達。これから先、決して平坦な道ではないだろうが、籠から抜け出し、助け合いながらささやかな人生が予想される結末は感動物語でした。 2024年7月双葉社刊 
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今野敏著「一夜 隠蔽捜査10」

2025-02-01 | 今野敏
シリーズ第13弾。大森署から神奈川県警刑事部長に栄転した・竜崎伸也のもとに、著名な小説家・北上輝記が小田原で誘拐されたという報が舞い込む。
犯人も目的も安否もわからない中、竜崎はミステリー作家・梅林賢の助言も得ながら捜査に挑むことに。劇場型犯罪の裏に隠された、悲劇の夜の真相とは。
 私利私欲とは無縁で、鮮やかさ、爽やかさ、清々しさの国家公務員。竜崎。
登場する捜査協力者であるミステリー作家は著者今野自らを重ねて書かれているのかな。いつもながら会話形式の展開は読みやすく痛快感一杯で読了。
2024年1月新潮社刊
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今野敏著「審議官 隠蔽捜査9.5 」

2025-01-27 | 今野敏
2006年から続くシリーズ第12弾。(スピンオフでは第三弾)信念のキャリア竜崎の突然の異動。その前後周囲にはこんな波瀾があった人気シリーズの名脇役たちが活躍する9つのスピンオフ短編。
米軍から特別捜査官を迎えた件で、警察庁に呼び出された竜崎伸也。審議官からの追及に、竜崎が取った行動とは・・・「(表題作)審議官」。家族や大森署、神奈川県警の面々など名脇役も活躍する、大人気シリーズのスピンオフ。「斎藤治警務課長は、全身から力が抜けてしまったように感じていた」たった今しがた、大森署を去っていった竜崎。新任の署長が一日遅れの時に事件発生・・・「空席」。「内助」「荷物」「選択」は、それぞれ竜崎の妻・冴子、息子・邦彦、娘・美紀の視点で描かれていて家族小説のようだ。竜崎の後任の大森署署長が新たに登場、美人で魅力的なキャリアの女性署長藍本百合子・・・「非違」神奈川県警に異動してからのエピソードも描かれる・・・「専門官」。「参事官」、「信号」は、「たてまえと本音」の相違、考え方が書かれた。一般の常識ではたてまえというのは表向きの意見で、本当のことは別にあるという意味に捉えられているかもしれないが、竜崎はたてまえこそが、真実だと断ずるのだ。なぜなら、たてまえを重んじることこそが、警察官僚の生きるべき道だと信じているからだ。鮮やかさ、爽やかさ、清々しさは何とも言えず、とにかく胸のすくような快感が、読んでいて全身に湧いてくる竜崎マジックが全編にあり満足感一杯の読後感でした。
2023年1月新潮社刊


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