海辺の町のひなビタ商店街にある「江戸前夕凪寿司」という小さなお店を中心に繰り広げられる感動物語。母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人で・・・。かっての大将伊助さん、店員の未來ちゃん、常連さん、個性豊かな面々が登場する心温まる素敵な物語でした。
「自分から身体の向きを変えて・・・するとずっと逆風だった強い海風が、わたしたちの背中を押しはじめた。これは順風だ。要するに、自分がどちらを向いて生きるかで、凍えるような逆風も“追い風”に変えることができる」(P268)
『人生の中からなるべくMUSTをなるべく消して、むしろもっと「いい道があるかも」って考えながら行動すること。従来の狭い価値観で自分を縛らないで、頭も心も身体も、なるべくのびのびと「自由」にしておくこと』(P136)
2024年9月角川春樹事務所刊
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