幕末外交歴史小説。舞台は1853年(嘉永六年)六月、浦賀にその姿を現した四隻のアメリカ軍艦いわゆる黒船。強大な武力をもって日本に開国を求める艦隊司令長官・ペリーの対応に幕府は苦慮していた。開国か攘夷か。
隣国の清国がイギリスとの戦争に敗れ、世界の勢力図が大きく変わろうとするなか、小姓組番士・永井尚志は、老中首座・阿部伊勢守正弘により、昌平坂学問所で教授方を務める岩瀬忠震、一足先に目付になっていた岩瀬の従兄弟・堀利煕とともに、幕府の対外政策を担う海防掛に抜擢される。
強硬な欧米列強を前に、新進の幕臣たちが未曾有の国難に立ち向かう。
老中阿部伊勢守とのやり取りや下田や長崎の出島を始め、その後の外国との交渉に駆けずり回る様子が、現代口調のくだけた会話形式で分かりやすい。
清国と同じようにならない為には攘夷でなく国力を富ませ国を開くしかないと身をもって知り、現代へと繋がる日本の方向性を決定づけた重要な転換期を描がれていて面白い。
2024年8月集英社刊
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