読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

染井為人著「正義の申し子」

2024-09-14 | さ行
告発系ユーチューバーの出来心から燃え広がったクズ野郎たちの大騒動ドタバタ劇。現実では引きこもりなのに正義のユーチューバー“ジョン”として活躍するタイガーマスク姿の佐藤純(2重人格か)。不正請求の悪徳業者に電話をかけ、関西弁の相手、栗山鉄平をおちょくったところ大好評で、キャラの濃い男を懲らしめた動画は爆発的に再生数を伸ばした。味をしめたジョンは、男とリアルに会って対決し、それも配信しようと画策する。一方、馬鹿にされた鉄平も仕返しにジョンを捕まえようと動き始めた。純の妹萌花とその友達である女子高生たち、金に不自由しない医学部の学生たち、鉄平を操る悪徳業者の元締め。面白い展開だが先が読めるし、ちょっと軽すぎてリアル感に乏しい。緊張感不足、痛快ではあるが、底が浅い。もうひとひねり欲しかった。
2018年7月KADOKAWA刊

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染井為人著「悪い夏」

2024-08-04 | さ行
2017年第937回横溝正史ミステリ大賞の優秀賞受賞作。ノワールサスペンス。26歳の佐々木守は人口30万の千葉県船岡市役所の生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、訪問した生活保護受給者の女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して・・・。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へと・・・・。主な登場人物が皆悪人。ちょっとした些細なことで人生が暗転し転落する恐怖。本当に生活保護が必要な人が貰えない日本社会が悲しい。私的には再読不適作品。
2017年9月株式会社KADOKAWA刊



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染井為人著「震える天秤」

2024-08-02 | さ行
サスペンスミステリー。北陸のコンビニFYマートで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。アクセルとブレーキを踏み違えたという86歳男性の運転する軽トラックが店舗に突っ込み、店長を轢き殺したのだ。加害者は認知症の疑いがあり、警察は責任能力を調査している。事故に違和感を覚えた隔週誌「ホリデー」から派遣されたフリーライターの俊藤律(しゅんどう・りつ)は加害者の住んでいた福井県牧野市の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に迎えられて・・・「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。取材に乗り出した律は、目撃者の17歳のアルバイト女店員の七海をきっかけに、続々と予想外の事実を知ることに。高齢化した過疎地、高齢者の運転免許返納問題。高齢者が絡む交通事故の裏側に秘められた真実が明かされた時驚愕の事実が解るのだが読後感は良い。
2019年8月角川書店刊
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染井為人著「芸能界」

2024-07-25 | さ行
エンタメ界あるあるを絡めミステリー風7つの短編集。黒い噂で業界から見放され、長年在籍したプロダクションを退所しようとしている俳優。・・・「クランクアップ」。人気女優を10年かけて育て上げ、今度はピン芸人と新人アイドルグループを担当する辣腕マネージャー。新しいファンを獲得しようと・・・「ファン」。Instagramにハマったベテラン女優。・・・「いいね」。容姿端麗な若い男たちをキャストにミュージカルを運営する女性プロデューサー。・・・「終幕」。ハゲやデブといった自虐ネタで笑いをとってきた30年の漫才師、昨今の容姿ネタNGという風潮に対する怒りや、ネタや企画も書かない相方を軽視する発言を繰り返す中、妻から相方の大切さを諭される。ベテラン漫才師のコロナ禍の苦悩を描いた・・・「相方」。誹謗中傷や家族の問題に悩まされているアイドル俳優。・・・「ほんの気の迷い」。「震災の町で芸能界の仕事をする娘を苦々しく思う父親の葛藤・・・「娘は女優」。元芸能マネージャーの経験を活かした著者が、きらびやかな世界の光と影を描いた短編集。特に「いいね」は、50歳のベテラン女優がインスタグラムにはまっていく話で、承認欲求が収まらず、周囲の人間が止めてもどんどん投稿がエスカレートしていく様子が面白く心情がよく理解出来た。
2024年2月光文社刊

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佐藤青南著「一億円の犬」

2024-07-14 | さ行
犬が絡んだミステリー。六本木のセレブ妻という設定で、SNSにマンガ「保護犬さくら、港区女子になる」を投稿している32歳の独身小筆梨沙。ある日、出版社の編集者から書籍化のオファーが来る。動画サイトで人気になれば億単位の収入も夢ではないという。プロフィールの嘘他人の画像を加工し投稿したサイトを取り繕うため年収一億円を夢見る梨沙は大胆な行動に出るのだが、想定外の“事件”に巻き込まれる・・・。殺人者は誰か、噓をついているのは誰か?人生で何度も嘘をつくことはあるが、嘘で塗り固められた人生とはどんなものなんだろう。SNSで自分を大きく見せることが楽しい人がいるのは想像できるが・・・金があれば何でも解決できるとは幻想にすぎない。嘘にまみれた主人公が保護犬と暮らし、やがて自分自身の人生を取り戻すハーピーエンドの展開に。犬を飼う事の思いが伝わって来る。
2023年11月実業之日本社刊

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染井為人著「黒い糸」 

2024-06-13 | さ行
千葉県松戸市の結婚相談所でアドバイザーとして働くバツイチ子持ちの平山亜紀は、仕事で顧客とトラブルを起こして以降、無言電話などの嫌がらせに苦しめられている。亜紀の息子・小太郎が通う旭ヶ丘小学校の6年2組でも、クラスメイトの女児が失踪するという事件が起きていた。事件後に休職してしまった担任に替わり、小太郎のクラスの担任を引き継いだ長谷川祐介は、クラス委員長の倉持莉世から、クラスの転入生の母親が犯人だという推理を聞かされて戸惑うが、今度はその莉世が何者かに襲われ意識不明の重体となってしまう。特定のクラスの周辺で立て続けにおきる事件の犯人は同一なのか、またその目的とは。・・・多種多彩の怪しい強烈キャラの登場人物たちによって次々に起きる謎が謎を生む展開。誰もが怪しい展開で最後には意外な人物が犯人。繰り返しウザい持論をとなえる男性教師長谷川の兄のキャラも面白い。一気読み出来そう。続編もありか?
2023年8月角川書店刊 

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佐藤青南著「犬を盗む」

2024-06-10 | さ行
著者は「ある少女にまつわる殺人の告白」で第9回『このミステリーがすごい! 』大賞優秀賞を受賞し、2011年同作でデビューした作家。高級住宅地で一人暮らしの老女が殺害された。部屋には、かつて犬を飼っていた痕跡があり、刑事たちは周辺の捜査を開始する。一方、雑誌記者の鶴崎は、あるスクープをモノにするためコンビニでアルバイトを始める。同じコンビニで働く松本の過去を知る鶴崎は、松本が突然犬を飼い始めたことに驚愕するが・・・、時々挿入される犬目線の段落。深まる謎。犬好きの刑事、犬アレルギーの刑事、犬好きのコンビニの店員、犬を飼う推理作家、ドックラン場に集まる犬好きたち読み進めるうち何か引っかかる違和感のある展開で誰が本当に悪者なのかと・・・後半明らかになるどんでん返しの真実に『なるほど』の納得。
2022年9月実業之日本社刊 

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末浦広海著「君と、君がいる彼方」

2024-06-04 | さ行
相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫とそれによる妻のストレス、そして娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にもさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、不思議な認知症の老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに。不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間のファンタジー。DNA鑑定の結果を見ないで燃やすシーンや他人かも知れない人を引取るなど料理が重要な役割を果たすドラマチック仕立てだがファンタジー的ハッピーエンドの小説でした。
2021年2月中央公論社刊
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佐野晶著「毒警官」

2024-05-08 | さ行
2019年第1回警察小説大賞受賞後の第1作目作品。主人公は37歳の鳩裏交番の「ごんぞう」警官阿久津晴也。窃盗の罪で横浜刑務所横須賀刑務支所に収監されていた利根太作は、身柄引受人の保護司が見つかったことで仮釈放され、社会復帰後は、保護司の娘・小海友紀が営む辻堂のレストランを住み込みで手伝うことになる。友紀の同居人である阿久津晴也は、窓際警官として交番に勤務する傍ら、立検しづらい家庭内暴力や性虐待の加害者を、“毒”をもって殺さず粛清していた。利根が見込まれたのは、窃盗のスキルとしての鍵開け技を期待してのことだったのだ。早速盗撮用の機械を忍び込んで設置すると・・・・。毒が効かないどころか、快楽を得るという特異体質の阿久津のキャラが面白い「毒を以て毒を制す」「毒は薬、薬は毒」と毒を快楽の手段と陶酔する姿が面白かった。利根とのコンビもぴったりだった。
2021年10年小学館刊


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佐野晶著「ゴーストアンドポリスGAP」

2024-05-05 | さ行
2019年第1回警察小説大賞受賞作。「ごんぞう」=自主的窓際警官のこと。警察用語で「能力や経験があるのに働かない警察官」。新人の警察官桐野哲也が仮配属となったのは神奈川県辻堂にある鳩裏交番。「聞いてると思うけどさ。俺たちはごんぞうだから。無駄な仕事はしないから。張り切ってガタガタ騒いだりしないでね」いわゆる“ごんぞう”ばかりが集まった交番で、緊急配備の連絡にさえ誰も反応しようとしない。県警幹部も扱いに手を焼く“ごんぞう”たちだが、「巡回」だけは大好きで、住民との世間話をきっかけに事件に首を突っ込んでゆく。そんな中、ホームレスばかりを狙った連続殺人事件が発生。“ごんぞう”たちはやっと犯人に辿り着くのだが・・・。イケメン班長の小貫幸也や斎藤。2班の木本、やまやの高木、隅田たちのごんぞうの過去がエピソードとともに少しずつ明らかになり展開される警察官としての矜持に納得。題名のゴーストと意味合いが不明だったが面白い設定で小貫のキャラが良かった。
2019年12年小学館刊


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笹本稜平著「流転 越境捜査」

2024-04-16 | さ行
21年11月死去された著者の最後の越境捜査シリーズ第9弾。神奈川県警の小悪党刑事宮野裕之は川崎競馬場で負け続けての帰り、国際指名手配されている木津芳樹を見つけた。
木津は12年前の都下の奥多摩で起きた富豪一家惨殺事件の教唆犯である。事件直後20億円が匿名口座に移行され略取された時の犯人が帰って来たのだ。さっそく警視庁捜査一課で迷宮入り事件の継続捜査を担当する鷺沼が捜査に乗り出す。鷺沼智哉・宮野・三好・井上・山中彩香・福富、いつものタスクフォースの面々が活躍する展開。宮野が仕入れてきた行方不明の20億円を過去の事件を暴きながら探し求める。仮想通貨の仕組み等がよく理解出来ないまま最後に経済的制裁でお金を得た人が意外でしたが、好きなシリーズだったのでこれが著者笹本さんの作品の最後でもう読めないと思うとやっぱり寂しい。・・・『合掌』
2022年4月双葉社刊


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佐野広実著「私が消える」

2024-04-05 | さ行
2020年第66回江戸川乱歩賞受賞作。元刑事の藤巻は、交通事故に遭い、自分に軽度認知障碍の症状が出ていたことを知り、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘祐美にも迷惑はかけられない。途方に暮れていると、祐美が藤巻を訪ね、相談を持ちかけてくる。介護実習で通っている施設に、身元不明の老人がいて、施設の門の前で放置されていたことから、「門前さん」と呼ばれており、認知症の疑いがあり意思の疎通ができなくなっていた。これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。そう考えた藤巻は娘の依頼を引き受け、老人の正体を突き止めるためにたった一人で調査に乗り出す。刻一刻と現れる認知障碍の症状と闘いながら調査を続ける藤巻は、「門前さん」の過去に隠された恐るべき真実に近づいていく。自分自身も軽度認知症碍と診断された訳ありの元刑事が競馬で当てた資金を使い活躍する社会派ミステリー。身元不明の認知症患者が何者かということがわかり始めるまでは、ゆっくりとした地味な展開が続きますが、過去の陰謀が明らかになる展開後は、派手なドンパチや適度などんでん返しもあり文章の旨さに最後まで飽きずに読めました。「記憶がポロポロとこぼれ落ちて行ってしまい、なにもわからなく直前、最後に残される記憶は、いったい何だろうか、と。・・・それこそがその人間が生きた証しでもあるように感じる。」(P276)
2020年9月講談社刊

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斎藤詠一著「到達不能極」

2024-03-23 | さ行
第64回江戸川乱歩賞受賞作(平成30年)。冒険SF小説。現在と過去の2つの物語が並行して語られる。2018年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていないナチスドイツの秘密「到達不能極」基地を目指す。一方日本の南極観測隊も原因不明の通信不能の危機に遭遇していた。1945年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチスの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。現在と過去、二つの物語が交錯するとき、極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます・・・。南極大陸を舞台にしたスケールの大きなSFだが後半科学的裏付けが不足したリアル感ない展開で少し残念。読みやすい文章と戦時中のユダヤ人少女との日本人兵士との恋愛部分もあり楽しく読めた。
2018年9月講談社刊
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佐野広実著「シャドウワーク」

2024-03-21 | さ行
シャドウワーク=生活の基盤を維持する不可欠な労働。報酬の支払わない仕事。家庭内暴力・警察官の夫からのDVを受けている千葉県警の女性刑事の北川薫と同じく暴力夫によりケガを負い病院から風変わりなシェルターにたどり着いた紀子の2つの視点から交互に展開する。溺死体の事件を担当したが自殺と処理されたことに納得がいかず個人的に調べる女性刑事の薫。4日に1人、妻が夫に殺されているという、声を上げられないDV被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。命すら奪われかねない状況に置かれながら法に守られず、絶望の果てを見た女たちが生きる世界。シェルターのその家には、ある一つの「ルール」があった。・・・「法律は力のあるものが、踏みにじる側の者が、自分の都合よく作ったものに過ぎないわ。だから・・・万能でもない。・・・世界は法律で裁けない悪意に満ちている。」(P325)現実がどうにもならず、被害者だけが生涯脅えて耐え続けるしかないのなら…「一度だけ他人を押しのける」ことは正当だとさえ思ってしまう。法整備に公的補助や他に方法がなかったのか終わり方に納得感が持てなかったが内容は面白かったし考えさせられた。
2022年9月講談社刊
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佐野広実著「誰かがこの町で」

2024-03-12 | さ行
ミステリーサスペンス。岩田法律事務所に、かつての友人の娘、麻希を名乗る女がやってきた。彼女は孤児で自分の出自を知りたい、ということだった。心に傷を抱える事務所の補助員、真崎雄一はその仕事を引き受けることにしたが、人探しを続けるうちに、ある街にたどり着く。しかし、この街、何がかおかしい・・・人もうらやむ瀟洒な住宅街。その裏側は、忖度と同調圧力が渦巻いていた。やがて誰も理由を知らない村八分が行われ、誰も指示していない犯罪が起きる。外界から隔絶された町で、19年前に何が起きたのか。いま日本中のあらゆる町で起きているかもしれない惨劇の根源を追う。変だと思っている者はあまりいないかもしれない。「この町ではそういうものなのだから、従うのが当たり前だ」と、そのうちに何にも違和感も、感じなくなる。わたしにしても、特に生活に支障がないかぎり、なんとなくそうなっているのを認めているといってもよかった。あらためて口にすると角が立つからだ。背筋が寒くなる不気味度が読み続ける程のグロテスクなサスペンス。「不作為の罪に対する良心の呵責」が誰にも起こり得ると共感できる。オウム弁護士一家殺人事件。安倍政権時代の忖度政治を思い出した。読者を引き込む力を感じ面白かった。「善悪の判断より何かを、つい優先してしまった。その挙句に自らの行為を糊塗し続けた。・・・そんな場面に直面したとき、ブレーキをかけることができるかどうか」(P334)
「強がる人間はいても、実際の人間は弱い。弱いとわかった上で、周囲に流されず、周囲からに立ち向かっていけるかどうか」(P354)
2022年1月講談社刊


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