デビュー作2000年小説すばる新人賞受賞作『8年』の続編。コロナ禍で現時点では延期になっている2020TOKYOのオリンピックゲームの話。20年前、大リーグのニューヨーク・フリーバーズでプレーをしていた藤原雄大。52歳となった今は、マイナーリーグの巡回コーチをしている。ある日藤原は、現役時代のライバルで、大リーグ機構上級副社長であるヘルナンデスの訪問を受けた。東京オリンピックのアメリカ代表監督が亡くなったため、代わりに監督をやってくれないかと打診されたのだ。悩んだ末にその依頼を引き受けた藤原は、戦力補強のため、アメリカと日本の二重国籍を持つ大学生天才スラッガー、芦田をスカウトする。芦田の出身はサンディエゴで、アメリカと日本の二重国籍を持っている。両親はどちらも日本人。長距離打者で、高校野球では甲子園で合計12ホーマー、4割超えの打率を記録しているが、怪我のせいで日本代表には選ばれたことがない。ルール上はアメリカ代表にもなれる。芦田は高校時代の監督に勧められてアメリカ代表入りすることを決める。オリンピックを舞台に、日本国籍と米国国籍を持ちアイデンティティーに悩みながら米国代表になることへの葛藤とチーム内での軋轢等が話の中心。五輪にとって「国籍」とは何か?重要なのは「外見」なのか、「血」なのか、あるいは「その国への忠誠心」か。活躍できる場があるなら、そんなことはどうだっていい、という選手だっているはずだ。日本人だが米チームの監督となった藤原と芦田が主役になり心理描写が考えさせてくれる。
2020年6月集英社刊
NETで調べればいっぱい出てきます。糖分は増えますけどね。晩白柚についてはNETを見てください。もう調べていますかね。おじゃまさま。