読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

染井為人著「芸能界」

2024-07-25 | さ行
エンタメ界あるあるを絡めミステリー風7つの短編集。黒い噂で業界から見放され、長年在籍したプロダクションを退所しようとしている俳優。・・・「クランクアップ」。人気女優を10年かけて育て上げ、今度はピン芸人と新人アイドルグループを担当する辣腕マネージャー。新しいファンを獲得しようと・・・「ファン」。Instagramにハマったベテラン女優。・・・「いいね」。容姿端麗な若い男たちをキャストにミュージカルを運営する女性プロデューサー。・・・「終幕」。ハゲやデブといった自虐ネタで笑いをとってきた30年の漫才師、昨今の容姿ネタNGという風潮に対する怒りや、ネタや企画も書かない相方を軽視する発言を繰り返す中、妻から相方の大切さを諭される。ベテラン漫才師のコロナ禍の苦悩を描いた・・・「相方」。誹謗中傷や家族の問題に悩まされているアイドル俳優。・・・「ほんの気の迷い」。「震災の町で芸能界の仕事をする娘を苦々しく思う父親の葛藤・・・「娘は女優」。元芸能マネージャーの経験を活かした著者が、きらびやかな世界の光と影を描いた短編集。特に「いいね」は、50歳のベテラン女優がインスタグラムにはまっていく話で、承認欲求が収まらず、周囲の人間が止めてもどんどん投稿がエスカレートしていく様子が面白く心情がよく理解出来た。
2024年2月光文社刊


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