深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

薬を使う時に考えておくべきこと

2006-01-09 09:54:31 | 一治療家の視点
だいたい手技療法だとか、自然療法だとかをやっている人間は、薬というものが好きではない。私も自分では薬を使わないし、人が使っているのを見るのも、本当は好ましいことだとは思っていない。ただ、医師が処方した薬を、医師でもない人間が「使うな」と言うことはできないし、(例え対症療法的な意味合いしかなくても)症状を抑えていくために薬を使わざるを得ないこともある。ただ、薬を使うに当たっては、考えておかなければならないことがある、と私は思う。

例えば、熱がある時、解熱剤を使うことは正しいだろうか? 下痢がひどい時、下痢止めを使うことは?

体には、体温を管理する体温調節中枢がある。発熱は、この体温調節中枢が目標とする体温(セット・ポイント)が通常より高く設定されることによって起こる。多くの場合、このセット・ポイントの設定変更は、細菌やウィルスなどが発熱因子となって生じるわけだが、それは体温を通常より高めにすることで、それらが体内で活動するのを阻害するという意味合いがある。つまり、侵入した外敵の活動を鈍らせて免疫で叩く、という体の自律的な作用である。
だから、ここで解熱剤を使われてしまうと、せっかく高く設定したセット・ポイントが強制的に元に戻されてしまい、体にとってはむしろダメージとなってしまう。

ただし、体温が43℃を越えるような高熱では、脳の変性などを起こす恐れがあるため、体温を下げる処置を取らなければならないが、そういう場合は頚部、腋窩、鼠径部など、太い動脈が皮下近くに通っている部位を氷などで冷やすことが基本になる。

下痢では、それが食中毒性のものかどうかを考慮しなければならない。食中毒性の下痢の場合、体が中の毒素を排出するために下痢を起こすので、そういう下痢は止めてはならない。もう10年近く前のことになるか、始めて病原性大腸菌O-157による集団食中毒が発生した時、(患者の多くは子供だったが)「下痢がひどい」と行った病院で、医師から下痢止めを処方されて飲んだ子が亡くなったり、尿毒症を起こしたことがあった。

さすがに今は、発熱→解熱剤、下痢→下痢止め、のような処方をする病院は少ないとは思うが、これはどうだろうか?

例えば、胃酸過多で胸焼けや胃部不快感がある時、制酸剤を使うことは正しいだろうか?

これはあくまで私見だが…
一過性に胃酸過多が起こったものなら、多分制酸剤を使うことは間違ってはいない。しかし、慢性的に胃酸過多なら、制酸剤を使うことは(胸焼けや胃部不快感を解消する手だてにはなるだろうが)やめた方がいいように思う。なぜか? その人の体には胃酸を過剰に出さなければならない何かの理由がある、と考えられるためである。過剰に胃酸を出して胃を荒らすことは、本来、その人の体にとっては決していいことではないはずだ。それを敢えてやっている、あるいはやらざるを得ない理由とは何か、ということである。

例えば、暴飲暴食の生活習慣があるなら、それを改めなければいけない。しかし、思い当たる明確な理由がないなら、体には胃を荒らして胸焼けを起こしても、回避しなければならないもっと大きな問題があるのかもしれない。これはあくまで一つの想像に過ぎないが…過剰に胃酸を出すことで、どこかで癌が発生するのを抑えているとしたら、制酸剤を使うことで胃の状態は改善するかもしれないが、数年後に癌で亡くなる、といったことも起こり得ないとは言えない。本人は「何でこんなことになってしまったんだろう」と思いながら死ぬのかもしれないが、それが制酸剤を使ったせいだとは、最後まで気づかない。

誤解されるとマズイので、改めて述べるが、上の制酸剤はあくまで一つの思考モデルとしてあげただけで、「制酸剤を使うと癌になる」などということは、何も実証的な根拠はない。ここでは、何か症状があって薬を使う時、その前に、あるいは使用中でも、なぜこんな症状が起こったのか、この薬を使うことが本当にいいのか、を考える必要がある、ということを言いたかった。

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