深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

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バイオダイナミックなクラニオと施術者の意識のあり方 4

2011-12-25 09:19:27 | 症例から考える

クラニオセイクラル・ワークに何らかの形で時間要素を取り込むことはできないか、というのがしばらく前に私が課題としていたことだった。もちろん「時間要素を取り込む」といっても、子午治療(注1)みたいなことをやろうとしていたのではない。ウチでは時間を操る技法として時遡行(ときそこう)というものを用いているが、それに類することがクラニオでできないか、ということを考えていたのである。

(注1)子午治療とは、経絡と時間を関連づけ、それぞれの経絡をそれが対応する時間に合わせて治療する方法。

そういうわけで、BGMは劇場版アニメ『千年女優』のOSTから「Actress in Time Layers」だ。

時遡行に関しては以前、このブログの「時を駆ける治療家」「時を駆ける治療家 2」に詳しく書いたので、そちらを見ていただきたいが、簡単に言えば「過去の時間の任意の1点を指定し、その時の体の状態を再現させる」というもの。この「過去の時間の任意の1点」はもちろん、好きなように変えることができるので、ある1点(例えば1週間前の同じ時間、つまり24×7時間前)を指定して体の状態を再現させ、そこから30分刻みで(あるいは10分刻みでも)その状態がどのように変化したかを追いかけることもできる。

時遡行を使うシチュエーションとしては、例えば「今は全く痛みはないが、1週間前に激烈な痛みがあってそれが2日ほど続いた」といった場合で、それをもたらしたものが何で、どこからどのように始まったかがほぼ瞬時にわかるので、非常に使いでのある方法ではある。

「クラニオに時間要素を」と考えた時、一番最初に頭に浮かんだのは「時遡行で過去のある時点の体の状態を再現させ、その状態のままクラニオを行う」というものだったが、時遡行した状態で治療を行うというのは当たり前のようにやっていたことだったし、それをクラニオでもやる、というただそれだけの案だったので、それは自分の探しているものではない、ということですぐにボツにした(注2)

(注2)誤解されると困るので補足しておくが、この方法をボツにしたのは、それがクラニオでしかできない方法ではなかった、という理由からだ。この「時遡行で過去のある時点の体の状態を再現させ、そこで治療を行う」というのは、カイロプラクティック、オステオパシー、鍼灸、アロマテラピー、…何でもOKである。

そうやってあれこれ考えていたら、何がキッカケだったのかはもう忘れてしまったが、ある時わかったのだ、クラニオに時間要素を取り込む方法が。それは意外なほど単純なものだった。



──施術者が相手の時間に意識を向ければいい。



そう。たったそれだけ。

笑ってしまうくらい単純だが、それだけで施術者は患者の時間情報を読み出すことができる。もっと具体的に言うと、過去のある1点から現在に至るまでの時間の経過による状態の変化を連続的な情報として見ることができるのだ。

時遡行との違いは、時遡行が静止画なのに対してこちらは動画、といえばわかりやすいだろうか。だが、静止画より動画の方がレベルが高いとかそういうことではない。というのは、そこで得られる情報(=見られる動画)というのは、起こったある事象に対して患者の内側が、それをどう認識し、どう感じ取っていたのかをシンボリックに表したものだということ。つまり、それは患者の内側の主観的なイメージであるので、患者の外側にいる我々は、そのイメージを解釈して客観的な立場で何が起こったのかを再構成しなければならないのである。

決して、テレビの医療番組に出てくるような「その瞬間、体の中では何が起こっていたのかを特殊な方法で撮影した映像です」みたいなものが出てくるわけでないので、誤解なく。


クラニオの本には「施術者がその意識をどのような空間に向けるか」は事細かに書かれている(それについては私もこのシリーズ?ので述べた)が、実は時間に対しては何も記述されていない。そういう発想そのものがないのか、あるけれども秘匿されているのか、それはわからないが、私が知る限り、少なくとも今、公になっているものの中に、そうしたことが書かれているものはない。

なので、上に述べたようなことはまだまだ試行段階にすぎない。もしこれを試してみて何か新しい発見があったら、ぜひ公開をお願いしたい。


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