最近の治療の中で出会った、ちょっと興味深い症例を一つ。なお、医学的には「○○(ある身体的な部位)より上」と書いた場合、それは「○○より頭方」という意味になるが、ここでは仰臥位(=仰向け)の姿位から「その天井方向」という意味で、「上」という言葉を用いる。
その人はしばらく前に左腓腹筋の肉離れをやって、その影響がまだ左下肢に残っているが、その時の治療では、その左下肢のまだやや不安定で後面の筋力が低下した感じに加えて、胸椎の左縁から左後頭部にかけてのしこり感を訴えた。
左下肢では大腿四頭筋と腓腹筋の弱化があり、その弱さを取れるポイントを探したら、左の中封(ちゅうほう)がそれであることがわかって、そこに置き鍼をした。次に左肩後面に触れた時に弱さがあり、同じようにその弱さを取れるポイントを探して、出てきた右の中都に置き鍼をした。この中封、中都はともに肝経のツボだった。
そこで、今度は肝臓のある右季肋部を中心に調べていくと、その右季肋部の肉体より上のところに弱さがあった。このことは当然、想定の範囲内だったが、波動の反応を調べたところ、「高血糖」と「肝転移癌」を組み合わせた時だけ反応があることがわかって、この組み合わせがちょっと意外だった。と言うのは、血糖値を低下させるホルモン(=インスリン)を分泌するのは膵臓であり、もし組み合わせて反応があるとすれば、例えば「高血糖」+「膵臓癌」のようなペアになるはずだからだ。
ああ、それから誤解されるといけないので、ここで追記しておくが、「肝転移癌」やら「膵臓癌」やらの波動で反応があったからといって、必ずしもその人が癌であるということではない。多くの場合、「その部分の免疫力が低下しているため、仮に癌が生じた場合、すみやかに対応できない状態になっている」ということを示している。ただ、本当に癌になっている場合は、間違いなく反応がある(そのことは、癌になった私の父親の体で実際に試した)。
つまり、「癌である⇒癌の波動で反応がある」は成り立つが、「癌の波動で反応がある⇒癌である」は必ずしも成り立たない。
話を元に戻して…
とにかく上のような結果が出たので、変わった組み合わせだな、とは思いつつも、それを処理した。次いで頭蓋のホールドして、組織、体液、ポーテンシー(=生体エネルギー)の動き/流れを調べると、今度は左季肋部付近にそれを乱しているポイント(「支点」という言い方をする)があることがわかり、それに対処した。ちなみに、左季肋部には胃、膵臓がある。
ところが、この時点で患者に確認すると、左上背部から後頭部の症状が、左肩を中心にむしろ強くなっていることがわかった。
そこで今度は体表面に現れている反応点を調べると、いずれも右の太衝(たいしょう=肝経のツボ)、陰陵泉(いんりょうせん=脾経のツボ)、大包(だいほう=脾経のツボ)、角孫(かくそん=胆経のツボ)の反応が順番に現れた。東洋医学的には肝と胆は表裏の関係にあるから、全体として肝と脾のツボが交互に反応を出していたことになる(ちなみに、脾≒膵臓)。
更に、改めて体より上の弱さを調べると、右季肋部~鎖骨部と左季肋部~鎖骨部の上に弱さがあったのだが、右季肋部~鎖骨部の肉体より上の弱さは左斜め上方(つまり、左季肋部~鎖骨部の上)に、左季肋部~鎖骨部の肉体より上の弱さは右斜め上方(つまり、右季肋部~鎖骨部の上)に出ていたのである。
どうもこの人の場合、肝臓と膵臓(東洋医学的には肝と脾)が、お互いにお互いの弱さをかばい合いながら、両者が絡み合うようにして弱くなっていたのではないかと考えられる。
これらを治療した結果、一時強まっていた左肩の痛みも軽減し、あとは胸椎の左縁付近のしこりを残すのみとなった。そこで今度は筋肉を調べると、左の広背筋、左右の大胸筋鎖骨部の弱化が見つかり、それを治療したら症状は消えた。AK(アプライド・キネシオロジー)では、広背筋は膵臓/脾、大胸筋鎖骨部は胃の関連筋である。東洋医学的には脾と胃は表裏の関係にあるから、全体を通じて見ると、その人のその回の治療は、まさに肝臓/肝に始まり、膵臓/脾に終わったのである。
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