2024年冬アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。この「3」では放送を4月に終えたものと、4月以降も放送が続くもの、そして放送は3月末に終えたが、わたしが最終回を見るのが遅れた『魔法少女にあこがれて』を取り上げる。
ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。
以下、並びは50音順で、評価はA~E。
『銀河英雄伝説 Die Neue These』第1クール
リメイクされた『銀河英雄伝説 Die Neue These』全48話が日テレで放送されることになり、今回がその第1クール。私は以前、第2クールまでNHKで放送されたのを見ていたので、今クールは初見ではなく再見になる。原作は田中芳樹による小説で、銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、そこから離反した自由惑星同盟が繰り広げる戦いを、帝国の若き将“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーの2人を軸に描く。
リメイク作品の常として、この『銀英伝』も旧アニメと比較して、ここが悪い、あそこが劣ると攻撃してる人がたくさんいる。それだけ旧アニメの完成度が高く、今も高い評価を受けているということであり、仕方がないことだと思う。私も旧アニメを見ていたら同じことをしたかもしれない。ただ一部に、ただ新アニメを貶めるためだけに批判しているような動画もあり、それが残念だ。
物語は「銀河帝国という悪を善なる自由惑星同盟が打ち倒す」といった単純な図式ではなく、現実世界さながらの複雑で重厚なストーリーが展開されている。
評価はA-。4月からは第2クールに入る。
『魔女と野獣』
横浜アニメーションラボ制作の「魔女もの」なので、つい2023年秋期の『はめつのおうこく』が頭にちらつく。実際『魔女と野獣』もまた、魔女という存在が怖れられ疎まれる世界の話で、主人公の少女、ギドはかつて魔女の呪いを受け、それを解くためにアシャフという魔術師とともに、彼女/彼?を呪った悪しき魔女を追っている。
『はめつのおうこく』がどこか歪んだ熱気を持った作品だったのに対して、『魔女と野獣』はよそよそしくて冷たい空気感を帯びていて、魔女対人間の熱いバトルを期待していた人たちには不評のようだが、こういう乾いた感じ、私は嫌いじゃない。物語はやや陰惨だが、大体2~3話で1つのエピソードが語られる短編集的な作りで、あまり話が重くならないのもいい。原作はまだ続いているようなので、このアニメもちりばめられたさまざまな謎が未解決なまま、「俺たちの戦いはこれからだ」的なスッキリしない終わり方しかしないが、それもまた短編集だと思えば受け入れられる。
評価はB-~B。現時点で2期の発表はない。
『魔法少女にあこがれて』
タイトル通り魔法少女ものだが、いわゆるエチエチ系アニメ。『魔法少女まどか☆マギカ』のパロディにもなっていて、声優陣の演技もかなり『まどマギ』に寄せている。
魔法少女に憧れるごく普通の少女、柊(ひいらぎ)うてなのもとにある日、変身する能力を与えるヤツ(ヴェナリータ)が現れて魔法をかけられてしまう。だが、それは魔法少女に変身する力ではなく、彼女たちと敵対する悪の組織の女幹部に変身する力だった。落胆するうてなだが、悪の女幹部として嫌々魔法少女たちと戦ううちに、自身のドSな性癖に目覚めてしまう…。
最初に述べたようにエチエチ系アニメで、それを目当てに見ていた人も結構いたと思うが、物語も付け足しではなく、作品の根幹とリンクする形でちゃんとあって、エロだけが売りの単なる色物アニメではなかった。
評価はB~B+。
『METALLIC ROUGE メタリックルージュ』
ボンズ制作のオリジナルアニメで、一部では今期の覇権候補とも言われていた作品だが、第1話は設定も用語も一切説明のないまま物語が進行し、結局何も分からないまま終わってしまったので、そこで切ってしまった人も一定数いたようだ。こういう「一切の予備知識を与えないまま、視聴者を物語の真っ只中に放り込む」というやり方はアニメでも小説でもしばしば見られるが、この『METALLIC ROUGE』に関してはそうでない方がよかったのではないか。この作品が物語設定でもヴィジュアルでもBGMでも多大な影響を受けていると思われる映画『ブレードランナー』も冒頭、字幕によって物語の背景を説明していた。
以下に物語の基本設定を青字で述べるが、もしこの作品を未見で、何の予備知識もないまま第1話を見たいと思っている人がいるなら、この青字の部分は飛ばしてほしい。
人間とネアンと呼ばれる人造人間が共存する世界。ネアンには「人間を攻撃してはならない」というアジモフ・コードが埋め込まれているが、そのコードを持たない、人類にとって脅威となる「インモータルナイン(=不死なる9人)」と称される9体のネアンが存在する。ネアンのルジュ・レッドスターと人間のナオミ・オルトマンは、そのインモータルナインを見つけ出し抹殺することを任務とする、政府特務機関〈真理部〉のエージェントである。
つまり、『METALLIC ROUGE』は簡単に言えば『ブレードランナー』の基本設定とストーリーラインに手を加えて、女の子同士のバディものの連続TVアニメに仕立て直したものと言える。とはいえ、決して『ブレードランナー』の劣化コピーではなく、アイデンティティや存在そのものを問う哲学的なテーマを内包した、細部までしっかり作られた作品だ。が、その反面、『ブレードランナー』を超える何かを提示できていたわけでもなく、せいぜい“よくできた普通のアニメ”の域を出なかった。
評価はC+~B-。
最後にアニメ本篇の評価とは別に、2024年冬期に放送されたアニメから、純粋に私の趣味で選んだベストOP曲とED曲を。
私が選ぶベストOP曲は今期はなし。ベストED曲は『銀英伝 Die Neue These』のSennnaRinの歌う「melt」。
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