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「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

2024年春アニメの感想と評価 2

2024-07-02 07:36:47 | 趣味人的レビュー

2024年春アニメについての、ネタバレなしの感想と評価。今期は全部で16本の作品を見て、途中切りはなし。この「2」は、その中で7月以降も放送が続くものについて。

ちなみにアニメの評価については、私の場合、何より物語が面白いことが重要で、作品全体の評価の少なくとも半分はそれで決まる。逆に萌えやエロといった要素にはさほど興味はないし、作画崩壊も(目に余るほどヒドくなければ)問題にはしない。

以下、並びは50音順で、評価はA~E。

『狼と香辛料』第1クール

かつてアニメ化された作品のリメイク版だが、本作がユニークなのは、主な制作スタッフと声優が旧作と同じであること。なので、リメイクによくある新作叩きがほぼない(ちなみに私は旧作は見ていない)。
荷馬車で各地の町や村を回り行商をしている青年、クラフト・ロレンスは、ある村で「豊穣の神」として崇められていた賢狼の化身、ホロと出会う。時代が中世から近世に移りつつある中、村人からの尊敬も消え無下に扱われるようになったホロは、半ば強引にロレンスの荷馬車に同乗し故郷に帰ることにした。これは2人(あるいは1人と1匹)が旅の途中で起こるさまざまなトラブルを知恵と度胸で乗り切っていく物語である。
放送前、あるアニメYouTuberが『狼と香辛料』について「テーマは経済。見ると経済の勉強になる」と語ってたので、そのつもりで見ていたが、どうにもしっくりこない。そしてやっと気づいた。『狼と香辛料』という作品の本質は、『ライアーゲーム』や『Death Note』などと同じコンゲーム(=騙し合いのゲーム)だったということに。普通のコンゲームは最初にルールの説明があって、その定められたルールの中でいかに相手を出し抜くか、ということが問われるが、『狼と香辛料』ではそこに中世ヨーロッパにける商取引のルールが使われ、加えて当時の市民と教会との関係なども絡んでくるため、物語展開はあまり分かりやすいものではない。だから、これは件(くだん)のアニメYouTuberが言っていたような「見ると経済の勉強にもなる作品」ではない。それでも再アニメ化されるだけあって、途中切りしようとは思わなかった。
評価はC~C+。

『烏は主を選ばない』第1クール

小説「八咫烏(やたがらす)」シリーズが原作の「異世界もの」だが、「異世界もの」の多くが中世ヨーロッパ的な世界を舞台にしているのに対して、『烏は主を選ばない』は中世日本的な世界が舞台。
八咫烏の一族が人の姿に「転身」して住まう“山内(やまうち)”は、族長一家であり帝(みかど)を出す「宗家」と東西南北の大貴族「四家」によって構成される朝廷が治める身分社会だった。その山内で、皇太子である若宮が「四家」の4人の姫たちの中から后となる1人を決めることになる。それは「四家」の覇権を賭けた代理戦争であると同時に、若宮とその兄、長束(なつか)を推す勢力との権力闘争でもあった。
ちょっと癖のあるキャラデザだが、それに慣れてしまえば、視聴者はもう一瞬も目を離すことのできないヒリヒリするような物語の渦中にいる。特に第12話、13話は予想を裏切る超絶的どんでん返しの連続で、政治ドラマとしても人間ドラマとしても、物語の面白さという点では今期ベスト1と言ってもいいだろう。ただ、あるアニメYouTuber(日本人)がこの作品に対して、「(中世ヨーロッパを模した)異世界ものは大好きだが、(中世日本を模した)『烏は主を選ばない』にはどうも馴染めない」と言っていたのが印象深かった。
評価は文句なしのA-~A+。

『銀河英雄伝説 Die Neue These』第2クール

日テレで放送中のリメイク版『銀河英雄伝説 Die Neue These』全48話の第2クール。ここまではNHKで放送されたのを見ていたので、私には初見ではなく再見。原作は田中芳樹による小説で、銀河系に一大王朝を築きあげた帝国と、そこから離反した自由惑星同盟の戦い(対外戦争だけでなく、それぞれの陣営の体制内部の争い)が、帝国の若き将“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムと、同盟が誇る軍略家“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーの2人を軸に描かれる。
物語は「銀河帝国という悪を善なる自由惑星同盟が打ち倒す」といった単純な図式ではなく、現実世界さながらの複雑で重厚なストーリーが展開され、薄っぺらな物語をエフェクト盛り盛りのバトルシーンで誤魔化しているような凡百なアニメとは一線を画す。
評価はA-。

『ささやくように恋を唄う』

元々は2024年冬アニメとして放送予定だったが、監督の病気降板などで製作が遅れ、今期の放送になった。それなのに制作体制が破綻して「万策尽きた」状態になり、全12話中10話までしか放送することができず、残りの2話は放送時期未定となってしまった。制作は横浜アニメーションラボと、その関連会社のクラウドハーツ。この2社の共同制作作品はこれまでも、こうした制作体制破綻による放送延期が繰り返されてきたようだ。
この『ささ恋』は一迅社から刊行されているマンガが原作の、いわゆる百合作品である。
この春に高校生になった木野ひまりは、新人歓迎会でバンド、SSGIRLSのギターボーカル、朝凪依(あさなぎ より)“の演奏”に一目惚れしてしまい、そのことを依に伝えると、依はそんなひまりに一目惚れの恋心を抱いてしまう。ところが、SSGIRLSには密かに依を恋するベース担当の水口亜季がいた…。
百合作品ではあるがドロドロしたどぎつさは全くなく、女子校を舞台とした青春ものという感じ。それぞれの登場人物の背景や心情も丹念に描かれていて、切なさと爽やかさの混じり合った、いい作品だと思う。だから制作体制が破綻してしまったのはとても残念。
途中、作画崩壊のひどさがネットで大きく取り沙汰されていたが、評価については、残りの第11話、12話を見た上で出したいと思う。

『NieR:Automata Ver1.1a』第1クール

タイトルは「ニーア・オートマタ」と読む。ゲーム原作で、元々2023年冬期に放送されていた作品だが、新型コロナの感染拡大などを理由に制作が遅れ、結局その期には第8話までしか放送されなかった(残りの第9~12話は、その後、7月に放送されたようだが、私は見ることができなかった)。今度2期(公式サイトでの呼び名は第2クール)が制作されることになり、それに先駆けて1期というか第1クールが再放送されることになった次第。
突如、地球に飛来したエイリアンと彼らが作った機械生命体によって、人類は追い詰められていく。そこで生き残った人類は月に逃れ、そこを拠点にアンドロイド兵士を使って反攻を開始するが、無限に増殖する機械生命体を前に戦線は膠着。それを打開するため、人類は新型アンドロイド<YoRHa(ヨルハ)>部隊を投入する。そして今回、新たに部隊から2B(ツービー)と9S(ナインエス)が地球に送り込まれるが、そこで彼らが見たものとは――?
アニメ版「生物と無生物の間」とも言えるくらい、生命そして生物進化、あるいは魂と意識というものに対して考えさせられる作品。似たようなコンセプトを持つ作品に『攻殻機動隊』があるが、『攻殻』が情報ネットワークによって意識が拡大し、身体が単なる外殻に過ぎなくなりつつある世界を描いているのに対して、『NieR』は機械生命体に生じた意識が身体そのものを進化させる世界を描いている点が大きく異なる(ついでに言えば、パスカルの村にいる機械生命体たちは機械生命体のネットワークから切り離されている、というのも、ちょっとアンチ『攻殻』っぽくて面白い)。
評価はB-~B。まだ回収されないさまざまな謎が、第2クールで明らかになるのか?

さて、アニメ本編の評価とは別に、私が純粋に自分の趣味で選んだ今期のベストOP曲とED曲。

まずベストOP曲は、『乙女と怪異と神隠し』から、遊遊が歌う「ハザードシンボル」。

次にベストED曲は、『NieR:Automata Ver1.1a』から、amazarashiが歌う「アンチノミー」。

ただ、これは再放送作品なので、今期の新作では、かなり迷ったものの『烏は主を選ばない』から、志方あきこが歌う「とこしえ」を。この「とこしえ」はフルバージョンの公式動画がまだないため、『烏は~』の第13話だけに使われたED動画によるショートバージョンを添付した。


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