先の「位相論的クラニオ、みたいな…」で書いたように、相手から来る情報を受ける部分の位相をあれこれ変えながらバイオダイナミックなクラニオセイクラル・ワークをするようになったら、やたら時間がかかるようになってしまった。それもそのはずで、4位相分クラニオをすれば、単純計算で1位相あたりの処理時間が10分なら40分、1位相当たり15分なら60分になるのだから。
そんな時、アニメ『クロックワーク・プラネット』を見ていて、圧倒的に時間短縮できる方法を閃いた。
まず『クロックワーク・プラネット』について述べると、この物語の中では地球はとっくに滅んでいる。その滅んだ地球を歯車機構によってクロックワーク・プラネットとして再生させた人物がいた。その名はY。それから1000年の時が流れた京都から話は始まる。
特殊な聴覚を有する歯車オタクの見浦ナオトのもとに突然、落ちてきた美少女のオートマタ(自動人形)。動いていなかったそのオートマタを、ナオトは自身の聴覚を頼りに原因を特定し、再起動させることに成功する。そして彼女は毒舌を吐きながらもナオトに服従を誓うのだ。
そのオートマタこそ、Yがその手で作り上げたinitial-Yシリーズ壱番機、「つき従うもの」の二つ名を持つリューズ(竜頭)だった。
で、そのリューズには実数時間と虚数時間という2つの時計による、デュアル・タイム・システムが組み込まれている。イマジナリー・ギア(虚数運動機関)を起動させて自身の活動を実数時間から虚数時間に切り替えると、その間の時間は実数時間、つまり現実の時間には現れない。要するに現実の世界で活動時間を実質ゼロにすることができるのである。
これはまさに究極の時短じゃないか。ならば、これを使わない手はない
物語の中の解説によれば、その原理はミンコフスキー時空において設定される虚数時間によるらしい。確かミンコフスキー時空において、時間と空間はローレンツ変換によって相互に写り合うのだった。とすると、ユークリッド空間の位相でしか使えないが、仮想的にミンコフスキー時空を構築し、ローレンツ変換によって時間を虚数化してしまったらどうだ?──などと考えて、取り敢えずセルフ・クラニオの中でやってみた。
うん、確かに時間が相当短縮できた気がする──のだが、キネシオロジーの筋反射テストで聞いてみると「ダメだ」という答が返ってくる。何度やっても。
残念ながら相対論の専門書が読めるほどの物理の知識はないので、ミンコフスキー時空について勉強し直すため『時空と生命』を読み返してみて、わかった。
実際のミンコフスキー時空は3次元の空間と1次元の時間からなる4次元のユークリッド空間として表されるが、ここでは簡単のため空間も1次元として通常の2次元の座標空間で考える。普通、2次元の座標空間はx軸とy軸という2つの座標軸によって作られるが、ミンコフスキー時空は実軸(実数軸)と虚軸(虚数軸)という2つの座標軸によって作られ、一方の軸が時間、もう一方の軸が空間を表しているとする。
通常は空間を実軸、時間を虚軸に取るのだが、『時空と生命』ではその後の議論の進め方の関係で時間の方を実軸に取っている。ただ、ローレンツ変換によって2つの座標軸は容易に入れ替わるので、時間と空間をどちらの軸に取るかは、本質的な問題ではない。
ここで本質的なのは、実数時間と虚数時間というものがそれぞれ独立して存在するわけではなく、空間との相対的な関係によって時間が実数として解釈される場合と虚数として解釈される場合があるにすぎない、ということである。つまりミンコフスキー時空に根拠を求める限り、「活動を実数時間から虚数時間に切り替えると、その間の時間は実数時間ではゼロにできる」というイマジナリー・ギアの考え方そのものが成立しないのだ。
ちなみに『クロックワーク・プラネット』では、initial-Yシリーズ四番機、「撃滅するもの」アンクルには永久運動機関が組み込まれていることになっている。もちろん、こっちも現実には存在しない。
そういうわけで、今回の試みは失敗に終わったが、懲りずに次の方策を探すつもりだ。
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