深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

薬が引き起こす予期せぬ症状 2

2005-12-28 14:43:52 | 症例から考える
今来ている患者さんの一人は、主訴が腹部痛である。激痛ではないが、常にシクシクと痛む腹部に悩まされている。4年ほど前に脳梗塞で入院。幸いにして、麻痺などの後遺症はないが、降圧剤を服用している。それに加えて、この腹部痛で、鎮痛剤や制酸剤、そして検査しても何ら異常が出ないことから、抗不安剤など、数種類の薬を処方されている。もちろん、薬を飲んでも症状は改善しない。むしろ、家族も含めて、薬自体が症状の原因になっているのでは、と疑っている。

何度か治療して毎回のように出てくるのが、腸間膜(=腹膜の一部)の弱さ(弱さがあるのは、そこだけではないが、特にそこがちょっと気になっていた)。そして予想通り、そこが弱くなっているのには、薬も関わっているようだ。

治療ポイントとして百会(ひゃくえ=頭頂部にあるツボ)が出てきた時、ちょっと思うところあって、改めて腹部を調べたら、ビンゴ。腹部に若干の下垂が認められたのだ。種明かしすれば、百会は頭頂部にあるため、「何かを引き上げる作用のあるツボ」とされている。そこに反応が出ていたので、あるいは、と思ったワケだ。話を戻すが、そこでもう一度、薬による腹部の影響を調べてみたら、どうも薬は、その下垂を引き起こしていたか、それを強めるかしているようだ、ということがわかった。

…という話を患者にすると、何と、内臓に若干の下垂があるのは既に病院の画像診断で医師から言われていたことだったという。その時、その患者が「先生、それは薬の副作用じゃないんですか?」と尋ねたら「絶対そんなことはない!」と激しく否定されたそうだ(ただ腹部痛に関しては、「薬の影響も全くないとは言えない」ということだったらしい)。

ウチでは、試しに反応の出ていた関元(かんげん=臍下約5cmにあるツボで、小腸の募穴)を使って、腹部の”気”を補う施灸をしたら、腹部の痛みが取れた。ただ、次の回の治療でも、また腹部のシクシクする痛みを訴えていたので、効果は持続しなかったようだ。治療はまだ続いている。

この人の腹部痛の原因が全て薬にある、とは思わないが、どうも薬を飲むことで、体が本来持っている「地力」みたいなものが損なわれている可能性は高い。とは言え、我々のような一介の治療家が、医師が処方した薬を「飲むな」と言うことは(法的にも)できない。ただ、患者も「別の薬に変えてもらうよう、医師と話してみる」とのことなので、それに多少期待している。

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