上橋菜穂子氏の割と最近の本。
上橋氏は、随分長いこと植物に関わる物語を書きたいと思っていたそうな。
でも他の獣や人間のように勝手に動かないので、あまりなかなか書きたい!と実際に動くには至らなかったらしい。
ところが、バナナの話(ロブ・ダン著/世界からバナナがなくなるまえに)や様々な植物に関する著書(高林純示著/虫と草木のネットワーク)(藤井善晴著/アレロパシー)(松井健二・高林純示・東原和也編著/生きものたちをつなぐ「かおり」)等に触れることによって当作品の草稿を書くに至ったとのこと。
獣であろうが、植物であろうが、上橋氏の書く著書に統一されてある概念のようなものは、人間以外のものも鮮やかにその一生を生きて連綿と生と死を繰り返していて人間が全ての支配者というわけではないのだ、というような感じのこと(語彙力)。
また、人間批判に終始するわけでもなく、人間も他の生きものと同じように必死に生きているだけなんだよね、というような人間を含めた世界に対する慈愛に満ちた眼差しみたいなものも感じる。
本著もその本筋から変わらず、豊かな自然描写だった。
ただ、本書ではあたかも主人公自身がロンサムジョージやバナナみたいな感じ(語彙力再び)なので、やっぱりどこかしら寂しさを残すラストであった。
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