公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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鈴木尚広選手と相馬市

2016年10月15日 | 日記
絶賛、緊急オペを呼び込み中の研修医名取です。
お陰様で大変充実した研修になっております。

ところで読売ジャイアンツの鈴木尚広選手が現役引退してしまいました。
釈迦に説法かと思いますが、鈴木尚広と言えば走塁のスペシャリスト、たった1点で試合が決まるような競った試合のときにこそ走塁で1点をもぎとるために起用されます。
スタメンは少なく、起用されない試合もあります。
それでも数秒間の走塁で勝利を引き寄せるプロフェッショナルな仕事をジャイアンツ一筋で続けてきた選手でファンからとても愛されている選手です。
実は鈴木選手は当院がある相馬市の出身で、病院職員にも同級生がいらっしゃるなど当時の話を伺えたりしていました。
そしてご実家が焼肉屋を営んでいるのですが、夏のソフトボール大会を終えその店で打ち上げをしているタイミングでまさに鈴木選手が起用され盗塁を決めた際には店中大喝采でした。
来年もこの大盛り上がりを体験できることを期待していたのですが…とても残念です。
仕方ないです。
引退後のキャリアもぜひ応援しています!


とまあ、これで終わるとただの野球日記で終わってしまうのでもう少し続けようと思います。
鈴木選手は全国的には無名の相馬高校からたった一人でプロ野球界に入ったことになり、甲子園常連校出身の人間関係の中で多少なりとも孤独に奮起してきた面がきっとあると想像するのです。
そのような鈴木選手の境遇が無名進学校出身の孤独に奮起する医学部生の立場と少し重なるように感じました。
医学部も有名進学校出身者がとても多く、先輩後輩のみならず同級生の友達同士が入学しており、学閥のような強固なものではないのですがちょっとした心理的な繋がりを形成しています。
大学の実習などで各科を回ると必ずと言っていいほど出身高校を聞かれます。
共通の話題で話に華が咲くことがあるのですが、そういうとき唯一の高校出身の人は少しだけ疎外感を感じます。
母校の医学部の先生は、自分がそういう経験をしたので息子にはそういう思いをさせたくなく都会の中高一貫の有名進学校に入れたいと言っていました。
医者はよく自分の子供も医者にさせたがります。
こういう心理面も医師を都会に誘導し医師偏在に影を落としているはずです。

じゃあ仕方ないのか。
本当は皆分かっているはずです。
相双地区が医師不足なのは地元出身の医師が殆どいないことにもよると思っています。
相双地区の学校が、地元医師が安心できるくらいに進学校となり医学部生を輩出してくれれば好循環が回り出します。
医師が安心して子供を地元進学校に任せ、地元に愛着のある医学部生がたくさん輩出され、医学部でも寂しい思いをすることなく過ごし、地元に戻って来る。
できないことなのでしょうか。
地元に活気を与えるのはやっぱり地元の頑張りですので、当院だけでなく地域ぐるみで頑張ってもらえたらなと思います。