公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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NAVA

2018年11月04日 | 日記
研修医の鈴木です。11月に入り結構寒くなってきましたね。
再び福島医大で研修をしております。
10月30日夜に当直して明けの31日に福島に向かいました。ちょっと眠かったですが、安全運転で無事福島につきました。当直中に絞扼性イレウスで外科に置き土産してきました。きっと外科で手術して今頃はよくなってきているのではないかなと思います。

私の方は11月からまた新しいところ(NICU)で奮闘しております。朝早いのでそこが少し大変なところではあります。

先日、NICUで新しい人工呼吸器の説明会があったので聴いてきました。新しい人工呼吸器はNAVAという新しい呼吸器モードがあるそうです。人工呼吸は速やかにガス交換を改善して呼吸筋の疲労を軽減することを目的として行われる救命処置ですが、自発呼吸との同期と呼吸努力について考慮する必要があります。そのポイントとしては自発吸気と強制換気のタイミング、人工呼吸器による供給圧と患者の呼吸努力との関係、呼気相での肺虚脱を防止するための圧(PEEP)の設定が重要になります。現在、SIMV(同期式間欠的強制換気)やPSV(プレッシャーサポート)といった患者の自発呼吸に合わせて呼吸補助を行うことのできる人工呼吸モードが広く使われています。患者の自発呼吸を感知するシステムとしては呼吸回路内の圧力や流量の変化を感知して換気圧を調整しています。このモードの欠点は呼吸回路内の圧力や流量の変化を感知してから換気圧を調整しているため自発呼吸とのタイミングにずれが生じていることがあります。特に1歳未満の小児では強制換気のうち50%以上が同期しておらず、このことが人工呼吸からの離脱や人工呼吸中の睡眠障害や人工呼吸管理期間の延長との関連が指摘されています。
今回紹介されたNAVA(neurally adjusted ventilatory assist:神経調節補助換気)はこれまでの人工呼吸器を使用する際に問題となる非同期を改善するために開発された人工呼吸器モードで、患者自身の呼吸中枢から横隔膜へのシグナルである横隔膜電気的活動を感知して換気を調節するモードです。横隔膜電気的活動を感知するセンサーを搭載した胃管をを留置して電気信号をとらえ、それに応じて換気のタイミングを合わせたり、電気信号の程度に応じて換気圧を調整します。これにより患者の呼吸に同期しやすくなり、人工呼吸器による肺損傷を少なくして人工呼吸に伴う苦痛を軽減することが可能になります。

人工呼吸器も進歩してきていますね。少し勉強になりました。まだまだ学ぶべきことは多いですが、これからもがんばっていきます。