ゴールデンウィークは 連日晴天が続き
行きかう車の数が多くて どこもかしこも賑やかだ。
昨日 僅かな庭のスペースを整理して
ようやく苗を植えつけた。
重い腰を上げて店を午後から再開しながらの苗植えだった。
そこへ予告なしに息子が現れた。
やっぱりあの子は 何かを察する力があるようだ。
色々とお互いの近況を話しながら 息子はデッキの修理(?)をしてくれて
帰る時に 大学いもを買っていった。
「気を使わなくていいのに・・お金はいいよ」
「少しは売上に貢献するよ。久し振りに食べたいし・・」
遠慮なく好意を受け取った。お金の価値ではなく
その気持ちが嬉しかった。
その日はうちの看板を見て 「やっと再開してくれたんですね!」
そう云って 90歳のお母上を連れて 歩きづらい階段を登り
わざわざ買ってくださった。
これから楽しみが増えましたと 云ってくださった!
嬉しかった。
わたしがこの店を再開する決心をした理由は
この二年間 当初からのお客様が わざわざ階段を上り
声をかけてくださる方が多いのに 改めて知った事がその理由でもある。
再開を待ち望んでいる人が居るにもかかわらず
二年前削ぎ落とした時に 全てを封印しようとした。
でも もう一つの大きな理由は
眼に見えない大切なお客様のために再開しようと思ったのだ。
それは去年の6月頃の事だった。
店を始めて16年来のお客様・・
甲府の方で いつもご家族でお芋を食べに来てくださってた。
特に 当時中学生ぐらいの息子さんがうちのお芋の大ファンだった。
その息子さんが うちからそう遠くない所で事故死された事を聞いたのだった。
事故前日まで うちのお芋を食べたいと話してたという。
だから是非、再開を楽しみにしてますと云われた。
それからお父様がお仕事で道を通ると
うちに立ち寄られ 激励をいただいた。
不思議に そんな時のわたしは 再開するのをためらっている時だった。
その度に 亡くなられた息子さんの為にも頑張ってみようかと思いながら
1年が過ぎてしまった。
そして昨日 無理のないペースで始めたのだった。
たった一人の 見えないお客様のために始めようと決心した。
たとえ一人も来なくても その息子さんだけは
喜んでるに違いないと思いながら・・・
彼の24歳の姿は判らないけど
今でも別の次元に居る彼との会話を通して知ったから・・
幾度かお父さんが来られた時に
息子さんは何かを伝えようとしてた。
その時 息子さんに名前を聞いていた。
半信半疑だった。
そして今日 お父さんに再開を知らせたいなと
デッキで思っていたら いらっしゃった。
お父さんは嬉しそうに上がって来られ
わたしは お芋をご仏前に差し上げる為に造りながら
もう一度名前を確認した。
わたしは手渡しながら お名前を聞いてみた。
間違いなかった・・・
息子さんの話をお父さんは話した。
息子さんが高校生の時
電車に乗ってうちの店に行きたいけど駅はどこで降りればよいか、
駅から歩けば小一時間かかるのに 来たかも知れないと言う。
そこまでしても うちに来たがってた事を聞いて
胸が熱くなった。
お父さんは「あきらめるしかないんです・・」そうつぶやいた。
わたしは
「息子さんが わたしのやる勇気を繋げてくれたんですよ」
そう伝え
たった一人の見えない彼のために
再開の決心をして良かったと思った。
わたしは お父さんに簡単に息子さんの意思を伝えた。
彼は とてもお父さんのことを心配してると・・・
お父さんは下を向いて 黙ってうなずいてた。
彼のご仏壇には うちの店やこの通りの写真を供えていると言ってた。
今日は一緒にお芋を供えますとお礼を云われた。
わたしこそ 感謝をしたい気持ちだ。
彼の命日は 5月28日 ちょうど一年前の事だ。
この世の事とはかけ離れてるかも知れないけど
誰もが通る死の道は
この世で何をしてきたか
どう生きたか 心に留める行ないをしたか
見えない世界の導きは 無関係でも
良くも悪くも 今を生きてる人の行いに反映すると思った。
むやみに霊の世界を恐れず
まずは 自分の今の生き方を
胸を張って 云えますか?
導きは 色々な所から色々な形で訪れると思います。
これは まぎれもない本当の出来事なんです。
わたしが店を再開する理由・・ありがとうございます!