アサリの砂抜きを生まれて初めてやった。魚屋の閉店前に、割引きしていたイクラとネギトロとズワイガニを買ったら、さらにアサリを無料で付けてくれたから。
前回は先に冷蔵庫に入れてしまったので、後から塩水に浸しても何の反応も無かった。仕方無く、そのまま洗ってブリと大根と一緒に煮た。それでも美味しかった。
今回は冷蔵庫に入れず、すぐ塩水に浸し、ふたをした。
一晩たった。周りが水しぶきで少し濡れている。ワクワクしてふたを取ると…鍋一杯にアサリが殻からべローンと身を出し、のびのびと、ピュッピュッと…。
けしからん!こいつら、暗い所に隠れて何やってたんだ!
ニューッと伸びたその体は、見れば見るほどエロスそのもの、生命力の象徴。軟体生物は、これだからコワイ。
…シダもコワかった。小学生の頃だったと思うが、母に連れられて、地域のイベントとしての原生林探索に参加した。
そんな子供がワラビだの、コケだの、シダだの見て、何が面白い物か。ところが、シダをさっと裏返して母が僕に見せた時、ハッとするほどショックだった。
何も無いような顔をして、このシダめ、裏には真紅の胞子がびっしり。なんと猛々しい!その妖しさに足がすくんだ。
以来シダには頭が上がらない。出来れば触りたくない。
しかし、最も妖しいのは、アサリだの軟体生物だの、食べてしまう僕ら…人間か。
よろしくお願いします。