感動はストレスの強さに一致するのではないでしょうか。楽器の能力の限界を越えてでも表現したくなった時、ストレスが発生します。
今回演奏されたサクソフォンの曲や、ショパンのソナタやリストの「マゼッパ」などは、激しいストレスを内包しています。
一方、ピアノ部門ではハ長調の曲もたくさん聴きました。ハ長調は魅力的ですか?
ピアノは白鍵だけでは大したことは出来ず、黒鍵をふんだんに使う事で華やかなテクニックが弾き易くなります。
ですから作曲家にとって、ハ長調のピアノ曲を作曲するのは大変なストレスであり、挑戦です。
ストレスはエネルギーとなって音楽を複雑にし、緊張感が作られます。
けれどもある瞬間、とても単純できれいなメロディーが出てくる。それは今日、幼児が弾いたピアノのような。
つまり、ストレスを恐れず正面から立ち向かう姿勢、そして訪れる天国的な美しさ…
この両極が大切なのだ、と今回の本選会は教えてくれました。
(第28回島村楽器音楽コンクール本選会で私が述べた講評/紀尾井ホール)
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